◎注意することは、釜を上げる前に炉や風炉の火が弱まって、釜の湯がぬるくなっていてはいけないということです。
あまり火か落ちてきたら、炭を足して釜をもう一度たぎらせてから、しまうようにするとよいでしょう。
水屋で水を掛けて洗うと釜の温度が下がってしまい、拭きあげて炉や風炉に掛けてもなかなか乾燥しません。 またその際、水に含まれているカルシウム・マグネシウムなどが釜肌に付着してしまい釜肌の色が白く変化します。
◎釜は、残り火と温もりとで三十分程度で乾き切ります。
残り火は、釜の乾いた頃すべて灰になるように火の大きさを見て取ることが肝心で、釜が乾いた後に火が残ると釜の底をいためる原因となります。
◎釜肌には塩分・水分・油分などが大敵です。素手でさわらない様にしてください。
◎釜蓋は大体、唐銅(銅・錫・鉛の合金)で出来ています。
乾いた布巾で拭くだけで十分でしょう。釜蓋表面の色は漆を塗って焼いて仕上げてありますからごしごし擦らないほうがよいです。
釜の鉄粉で蓋に傷がつくため、釜を拭いた 同じ布では拭かないようにします。
まれに共蓋の場合(雲竜釜・裏甲釜など)もありますがその場合は、温かいうちに押さえ拭きします。
◎釜に使用する水は、金気(鉄分)のあるものは特に悪く、良質の井戸水、自然の水、水道水などが適している。
やむおえず使用する場合は、前日にポリバケツに水を汲んで おき、水漉しで漉して使用する。
◎釜は前述の方法で水分を十分追い出した後、一昼夜かできれば二昼夜、風通しのよい直射日光のあたらない所に置いて、完全に湿気をのぞくことが必要です。 釜は伏せて、口を風上に向けて陰干しをする。
この場合、蓋の撮の元の部分の湿気にも十分注意し、撮を下に向けて乾かす方が良いでしょう。
参考文献
千宗左著「茶の湯表千家」 主婦の友社
堀内宗完著「茶の湯歳時記」炉編 主婦と生活社
大西・小田 「釜・香合」 主婦の友社
加藤義一郎 「釜」 河原書店
鈴木友也 編 日本の美術「茶湯釜」至文堂