16 建 水
建水は最初は皆具の一つとして、中に蓋置を仕組んで飾ったものであるが、その後独立した道具として別途に作られるようになりました。
懸水・翻水とも書き、また「水こぼし」あるいは「こぼし」ともいわれます。
材質からの分類
◎ 金属(かね) ○ 唐銅 ○ 砂張 ○ 毛織(モール) ○ 南鐐
◎ 陶磁 ○ 南蛮 ○ 伊賀・信楽・丹波・備前 ○ 朝鮮系 ○
国焼 ○ 京焼
◎ 木・竹
建水の形 ‥昔からの形としては「七種建水」があります。
○大脇差… 利休愛用の形といい、黄瀬戸で好まれた。
いつも腰の傍らに置いたので、腰につける脇差に連想して名付けられたのでしょう。
胴が捻貫のようになっている円筒形で、やや背の高いもの。
○差替… 大脇差の小形。
○棒の先… 駕篭等の担ぎ棒の先端につける金具の形からの命名。
○槍の鞘… 槍の穂先にかぶせる鞘の形。
○箪瓢(たんぴょう)… 瓢箪を逆さまにした形。
○餌 畚(えふご)… 鷹匠がもつ鷹の餌入れの形。
○鉄 盥(てっぱつ)… 浅くて低い平建水。
その他
○合 子(ごうす)… 本来は蓋物の容器のことですが、建水の場合は蓋物の身の方の形で使われます。
○毛 織(もうる)… 袋形で口縁の下にくびれがあり、胴には連弁の彫文、口に
唐花、唐草の打出し文様が施されている。 チベットではこの形の容器のことをモールと呼んでおり、
建水の場合には、材質と形と両方の意味でモール建水と呼んでいます。
参考文献
『角川茶道大事典』 角川書店
千宗左 著「茶の湯表千家」 主婦の友社
野村瑞典 著「茶道具の基礎知識」光村推古書院
《原色茶道大辞典》 淡交社
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