69 越 州 窯 (えつしゅうよう)

中国漢代末期から宗代まで浙江省の越州地方で青磁を焼いた窯。
六朝時代から随代にかけて「古越磁」と呼ばれる釉にむらはあるが緑色を増した青磁が焼かれ、越州窯は中国の青磁生産の中心地となった。

青磁は釉中の鉄分が還元状態により青く発色することからその名が付けられた。
青磁といっても釉・磁土・窯の状態・燃料などによりその色は千差万別で黄色・薄青色・緑色などになる。

唐末五代は越州窯の最盛期であり「秘色」と呼ばれ、天下の名窯として当時の文献に書きのこされるに至った。
素地は灰色で硬く、釉は緑がかった灰褐色であるが、明るいもの暗いものがあり一様ではない。
碗・盤のほか水注・合子などが焼かれた。

しかし宋代に入り華北の諸窯や龍泉窯が抬頭するにつれて越州窯は衰退していった。
中国では唐代に喫茶の流行を見たが、越州窯の製品は茶碗として盛んに用いられた。


                                                  参考  『原色茶道大辞典』 淡交社