92 平脱蒔絵 (へいだつ)
平文(ひょうもん)とも呼ばれる蒔絵の技法。
金銀の薄い延板を文様に切り、これを漆面に貼り付け、さらに漆で塗込めたのち一面に研出したもの。
また延板上の漆を小刀などで剥ぎ取ったもの。
毛彫りを施したものが多くみられる。
なお、漆面より文様が高いものを平脱と呼び、一様に平らに研出したもの、または錫・鉛板を張放しにしたものを平文と呼んで区別することもある。
奈良時代に日本に伝来して盛んに行われ正倉院「金銀平脱琴」・「銀平脱漆胡瓶」・「金銀平脱背鏡」などが著名である。
平安時代以後、蒔絵技法の一つとして金貝(かながい)などと呼ばれた。
参照
原色茶道大辞典 淡交社
うるしの話 松田権六 著 岩波新書