第二話!?:目の前に大きな石が… 
 
 

あ い こ :さて、 DCI Reporter 導入記の第2回ですが…なんかあいせん君の様子が前回と違うんですけど。」
あいせん:…ええっとだなあ、今回は『この企画を続行するのか?』について2人で話し合ってみたいと思う。」
あ い こ :なんか2回目にして大変なことになってるんですけど。 (^^; でも確かにその必要はあるかもしれませんね。」
 
 
あいせん:それじゃあ最初に現状を整理しようか。まずオンスロートの日本語版に相当量の誤訳が発見されてる。これはイコール『現状の日本語版はDCI公認トーナメントでの使用に到底耐えられる物ではない。』と断言できるレベルだと思う。」
あ い こ :確かに、ルール上致命的な誤訳もかなり含まれてますから。」
あいせん:うちは一応日本でのマジックの普及に日本語版は必要だろうという立場を取ってる…つもりです。 (^^; ですからこういう状況で公認トーナメントを推進することにはかなりの抵抗感を感じざるを得ないんだ。」
あ い こ :はい、それについては私も同意見です。日本語版と公認トーナメント、どちらを取るかと言われれば私は日本語版の普及を選びたいです。」
あいせん:ただねえ…なんかオンスロート日本語版にレアが入ってないパックが相当数見つかってるそうなんだけど。」
あ い こ :なんか“泣きっ面に蜂”ってこういうことを言うんでしょうか。」
あいせん:そして今度は今まで開催された日本の公認トーナメントで書類上の不備が相当数見つかって、ポイントやランキングの信憑性が相当怪しくなってる。今回は多分こっちの問題が主題になるだろうな。」
あ い こ :件数にして870件ちょっとというところでしょうか。さすがに自分で数えるのはイヤになったんで、フリーウェアでリストをテキストに変換してEmEditorさんに数えてもらいましたけど。」
あいせん:おお〜(拍手)。あいこ先生も随分と賢くなったねえ(笑)。」
あ い こ :こんなことで誉められてもうれしくないです。 (^^; 」
あいせん:とにかく800件オーバーというと、日本で開催されてる公認トーナメントの丸々2ヶ月分くらいかな。以前DCIジャパンが『日本の公認トーナメントは月に400件ほどだ。』とか言ってるから。ただしこれはピーク時のお話だと思うけど。」
あ い こ :そうすると日本のマジックの歴史が約6年と考えると、単純計算でおよそ全体の2%ものイベントが対象外になっちゃうんですね。」
あいせん:その見方はちょっと正しくないかもよ。正確にはこのリストは2001年1月1日以降を対象にしていると思われるから、実質的な期間は2年ないんだ。約1年10ヶ月、要するに22ヶ月と考えると、その期間に開かれた日本の公認トーナメントの実に1割近くがレーティングから消える計算になる。」
あ い こ :え!?、そうなんですか。」
あいせん:まあ“このまま主催者が名乗り出なければ”ということだけどね。そしてそれ以前の分についてはどういう処理がなされたか全く不明。さすがにそういう状況で、それでも『公認トーナメントをやるぞ!』と言えるのかどうか。まあ今回のテーマはそういうことだな。」
あ い こ :で、あいせん君はどう思ってるんですか?」
あいせん:うん、まあはっきり言っちゃうけど『やめちまうか!』って感じだな(笑)。」
あ い こ :もう、相変わらずそういう言いにくい結論をあっさり言いますね、この人は。」
あいせん:前にも話したことあるよね。僕自身参加者としてエントリーした公認トーナメントが半分ほどしかレーティングに反映されてないって。」
あ い こ :勘違いってことはないんですよね?」
あいせん:それはあり得ないな。だって例えばエクテンだけど、僕が3回連続で最下位になったイベントは登録されてるのに、その後2〜3回続けて勝ち越してポイントを取り返したイベントは登録されてないんだ。これで見間違うわけがないでしょう。」
あ い こ :確かに、それだけ分かりやすいと勘違いしようがないですよね(笑)。」
あいせん:あとタイプワンもやっぱり半分しか登録されてない。こっちは出た回数を覚えてただけだけど。」
あ い こ :その大会って、今回のリストに名前は載ってないんですか?」
あいせん:いや、そもそも僕の件は1990年代のお話だから。」
あ い こ :じゃあ今さら追跡しようがないですね。」
あいせん:まあそういったこともあって、僕は前から『DCIジャパンの仕事なんて信用できないぞ。』と言ってきたんだ。実際には相当数のデュエリストが真に受けてさえくれなかったわけだけど、こうやってDCIの手で実態が暴かれると『ああ、やっぱりね。』という感じだな。」
あ い こ :さすがにずさんすぎますよね。特にGAMEぎゃざとかホビージャパンが主催/協賛したイベントが多数含まれてる辺りが。」
あいせん:元々公認トーナメントのコーディネイターは登録制なんだ。だから僕も嫌々ながらホビージャパンに自分の個人情報を開示してコーディネイターとして登録してる。でもマジック販売店に対してそういう指導をしていなかった。そしてそういう実情を知りつつ事務を続けていた。実態はそういうことなんだろうなあ。」
あ い こ :そんな面倒なことは販売店にはさせられない。やれと言えば多くの販売店がイベントの開催をやめちゃう。そういうことなんでしょうか。」
あいせん:かもね。しかもそこまでのことをさせておいて、いざイベントを開いても何らのサポートもしやがらない。さすがにこれじゃあ公認トーナメントの開催が滞るのはムリもないだろう。」
あ い こ :で、販売店相手にナアナアでやってきたのがここに来てばれた。」
あいせん:そういうことでしょうな。」
あ い こ :でも思うんですけど、今回DCIがあえてそういうリストをこの時期に公開した、これにはどういう意味があるんでしょうか。」
あいせん:うん、掲示板に『絶縁状だろう』という意見が書かれてたけど、確かにそう見て取れないことはないな。あとリストを吟味してみると、こういう異常な状態は日本での公認トーナメントの事務がDCIジャパンからホビージャパンのトーナメント運営事務局に移ってからも続いていたことが分かるよ。」
あ い こ :…あ、本当だ。トーナメント運営事務局が公認トーナメントの業務を始めたのは今年の4月か5月頃みたいなんですけど、それ以降もこの手のエラーが収束してる気配はないですよね。」
あいせん:しかもこの時期はジャッジメントの翻訳作業がなされていたであろう時期にも近い。あと8月には日本語版独占販売の契約更改も予定されていたはずなんだ。多分この頃にウィザーズからホビージャパンに対して何らかの“最後通告”が行われたんじゃないかな。」
あ い こ :それでホビージャパンは日本語版製作の任を解かれ、公認トーナメントの受付窓口が変更された。でもホビージャパンの仕事ぶりは改善される気配がない。」
あいせん:だからついにDCIは我慢できずにブチ切れた。」
あ い こ :これで何となく話の筋は通りましたね。」
あいせん:まあ裏付けがあるわけじゃないから推測の域を出ないんだけど。」
 
 
あ い こ :さて、じゃあこの企画の続行云々をお話しする前に、日本の公認トーナメントを今後どうすればいいのかお話ししてみましょうか。そこから企画の続行/中止を考えるヒントも得られそうな気がしますので。」
あいせん:うん、いいですよ。」
あ い こ :はっきり言っちゃうんですけど、こうなるともはや販売店さんに『公認トーナメントをやって下さいよ。』とは言えないと思うんですよ。だってこれだけ信用を無くしちゃった組織と改めて組んでお仕事をしようなんて普通思えませんもの。」
あいせん:それは間違いないかな。たとえ1つでも自分が開催したトーナメントが不正扱いされて、しかもその非が自分にない。そうなると『やってられるか!』って感じにはなるだろう。」
あ い こ :あと確かにDCIは DCI Reporter による公認トーナメントの開催を推進しようとしてますけど、私達が今やってる企画があまり進んでないのを見れば分かるように、そんなに簡単じゃないですよ。」
あいせん:確かになあ。何しろコーディネイター登録1つ取っても手探り状態だから。少なくとも完全日本語版の DCI Reporter とか登録ガイダンスがないと販売店には勧められないだろうな。それでなくてもイベント会場にプリンタ付きのパソコンがいるとか色々とハードルが高いのに。」
あ い こ :そもそも公認トーナメントって、厳正に管理/運営されて結果がレーティングに反映される。だから手間が面倒でも賞品が出なくてもみなさん開いてくれたわけじゃないですか。その前提がこれだけ崩れちゃった以上、もう日本の公認トーナメントは“死んだ”と言っても言い過ぎじゃない気がしますよ。」
あいせん:『日本の公認トーナメントは死んだ』か…まあ僕個人はそういう意見をずっと前から言ってきたんだけど、こういう状況になってみると改めてそう実感せざるを得ないかな。」
あ い こ :そこで問題になるのは、そういう半ば死に体になった公認トーナメントを続けるメリットがあるのか。そういうことですよね。」
あいせん:少なくとも公認トーナメントが日本語版の拡販には全く役に立っていない。それは間違いないと思う。むしろ日本語版が売れなくなる元凶にすらなってるくらいだし。」
あ い こ :そしてお店のイベントに通ってきて『競技だ!』『公認だ!』と騒いでた人達も、今回のことで一気に興ざめする可能性がありますよ。」
あいせん:自分が頑張って上位に入った公認トーナメントがレーティングの対象外になった。そんな事例が1つでもあったら普通は興ざめするだろう。僕ですら自分が勝ち越したトーナメントの結果が反映されてないのを見たときはショック受けたもん。」
あ い こ :そしてお店から見ても今回の件でホビージャパンに対する不信感は決定的になるはず。」
あいせん:唯一まともな販促だと思ってた公認トーナメントで、こういうずさんな事務しかしていなかったわけだから。それで『このイベントのコーディネイターは名乗り出やがれ!』って言われてもねえ。 (^^; 何よりもあのリストを見ても、どれが自分の開いた大会かなんて分からないよ。」
あ い こ :え、そうなんですか?」
あいせん:だって“Odyssey Prerelease Party - Japan”なんて名前でゾロゾロ並んでてもねえ。僕みたいに“YAKINIKU Value Set”なんて訳わからん名前にしていれば一発だろうけど(笑)。あとDCIrepで事後報告をしていれば認定番号の控えがあるけど、手書きで処理した人が控えのコピーを取ってるとも思えない。」
あ い こ :じゃあ実際にはコーディネイターが名乗り出ない物が相当数出てきそうなんだ。」
あいせん:特に問題なのはイベント名を画一化しちゃってるホビージャパン絡みのイベントだね。全く持って皮肉な話だけど。」
あ い こ :それでも公認トーナメントを続けるのか…ムリなんじゃないですか?」
あいせん:普通に考えれば不可能だろうな。というか、これで公認トーナメントをマジック販促の主軸に据えること自体が不可能になったと言えると思うよ。」
あ い こ :でも多分ウィザーズやホビージャパンは、それでも公認トーナメントを開かせたいんですよね。」
あいせん:正確には『ウィザーズと、ホビージャパンの中にいる競技マジック崇拝者グループ』だろうな。ただ今回の件を見る限り、少なくともウィザーズは日本に見られる“猫も杓子も公認トーナメント”という傾向を嫌ってる気がするよ。むしろ質の向上を狙ってて、その意に添わない人にはもう公認トーナメントは開いてくれなくてもいい。そう思ってるんじゃないかな。」
あ い こ :それを実現するために今後具体的にどうするのか…どうするんでしょう?」
あいせん:難しい問題だろうなあ。そもそも公認トーナメントが世界統一フォーマットで開催される以上、だからといって日本の公認トーナメントにだけ優遇措置を講じることは表向きできないんだ。」
あ い こ :でも、あいせん君は『日本には日本の事情があるんだ。何とかしろ!』って言ってきたじゃないですか。」
あいせん:そうだよ。実際に世の中はそうやって動いてるもん。例えばあるチェーン店が同じ商品を地方に散らばった各店舗で売ってるとする。各店舗の周辺には当然競合店があるわけで、そこよりも高い価格設定では商品は売れない。するとどうするか。各店舗は同じ仕入れ値で仕入れた同じ商品を、各店舗の事情により値段を変えて売るんだ。当然サービスもそう。本来はそのくらい融通性を持たせないと物は売れないよ。」
あ い こ :でも、そういう発想の柔軟さってマジックには無さそうですよね。」
あいせん:というか、前から書いてるけど結局マジックって“白人至上主義”なんじゃないの。しかもそういうやり方を何1つ逆らわずにホビージャパンが受け入れちゃってるし。この前のプロモの件もそうだけどさ。」
あ い こ :本来は『日本でマジックを売りたければこのくらいのサービスはしてくれ!』という主張をホビージャパンがすべきだった。そういうことですよね。」
あいせん:あとは日本のデュエリスト、特にウィザーズやDCIとパイプを持つ競技プレイヤーとか公認ジャッジだね。」
あ い こ :でも、今となってはそれも実現しそうにない。本当どうしましょう?」
あいせん:ただ1つあるのは、ここで公認トーナメントをやめちゃうと、本気で日本のマジックって販促活動がほぼ完全にストップしちゃうんだよ。だって今まで日本のマジックの販促は公認トーナメントにおんぶにだっこだったから。」
あ い こ :そしてGAMEぎゃざもその尻馬に乗って…あ、今思ったんですけど、あのリストってGAMEぎゃざに載せるんでしょうか?」
あいせん:普通は載せなきゃウソだろう…と言いたいところだけど、何しろリストが膨大な上にさっきの話があって載せても意味があるかどうか。ただ何だかんだ言って自分達に落ち度があるんだから、それを隠蔽するようだといよいよ販売店やデュエリストの信用を無くすぞ。でも今のところホビージャパンは自社サイトでこのリストのことは取り上げていないから、実質的に黙殺する気なんじゃないかな。」
あ い こ :とにかく今回の件で、公認トーナメントに対する今まで通りのモティベイションの維持は難しくなった。それだけは言えそうですね。」
あいせん:そうだねえ。僕みたいな人間ですら一気にやる気が失せたくらいだから。」
 
 
あ い こ :じゃあそこで改めて“本題”に入りたいんですけど。」
あいせん:企画を続けるかどうかのお話ね。じゃあ逆に聞きたいんだけど、あいこ先生はどう思ってるの?」
あ い こ :はい、私としてはせっかく始めた企画なんだから続けたいなあ、と思ってます。」
あいせん:それはまたなぜ?」
あ い こ :今回の件で、ひょっとすると日本の公認トーナメントが逆に面白くなる可能性はあると思うんですよ。例えばDCIが直接サポートに乗り出して、今までのお詫びも兼ねて賞品を大盤振る舞いしてくれるとか。そういう事態になったときに、うちが『じゃあうちの真似をして皆さんも公認トーナメントを開いてみよう!』とか言えると格好いいじゃないですか。」
あいせん:確かにそれはあるか。まあ現状を見る限り可能性は低そうだけど。」
あ い こ :それはそうなんですけどね。ただ日本では今まで公認トーナメントを唯一の柱にしたマジック拡販をやってきて、それがここに来て一気に破綻しちゃった。それでウィザーズなりDCIが何もしてくれないとしたら、それは要するに『日本のマジックは見捨てられた』ということだと思うんです。確かにウィザーズは今やホビージャパンを見捨てようとしてるように思えます。でもそれで日本のデュエリストまでは見捨てないと思うんですよ。だって日本のマジックはそれなりに大きな市場なんですから。」
あいせん:まあ確かにね。」
あ い こ :あとうちは今まで、特にホビージャパンのやり方について色々とクレームを付けてきたWebサイトじゃないですか。それで結果的にこういう形でホビージャパンの悪行が露呈したら『やっぱりそうだったか。じゃあバイバイ。』というのは無責任だと思うんです。そういうときに、誰も聞いてないかもしれない、言っても何も変わらないかもしれない、でもダメ元で『では、どうすればいいのか?』を提案する。それがうちのポリシーなんじゃないですか?」
あいせん:…あいこ先生、なんか今日は熱く語りますねえ。 (^^;;; 」
あ い こ :いえ、こういう機会でもないとあいせん君を論破できないかな、と思って(笑)。」
あいせん:でも、うちはそこまで崇高な志で運営してないぞ(爆)。」
あ い こ :それを言っちゃったらお話が終わっちゃうじゃないですか。 (^^;;; 」
あいせん:あとそもそも君が僕を論破する必要なんかないじゃない。あいこ先生がちょっとへそ曲げてプチ家出でもすれば、僕は『ごめんなさい、言うこと聞きますから帰ってきて! <(ToT)> 』とかなるんだし(汗)。」
あ い こ :あ、言われてみればそうでした(てへ)。」
あいせん:まあそういうことなら、この企画は当面存続しますよ。ただし僕の中でのこの企画の優先順位は相当低くなる。それは承知してよね。場合によっては一旦 Archives 行きにして、そこから再始動することになるかもしれないし。」
あ い こ :それはやむを得ないと思います。だって今回のドタバタが収束しないようなら、私達が12月に新方式で公認トーナメントを開く意義そのものが疑わしいですから。」
あいせん:何とか“雨降って地固まる”的な結末を迎えて欲しいけどね。取りあえず今後の動きに注目しましょう。」


     

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