“温故知新”開催ポリシー

 この大会のコンセプトについて追記しておきます。

 どうも世間には、大会などで自分が勝てないと気が済まないデュエリストが相当数いらっしゃるようです。ただその勝利を得るために努力奮闘しているならそれでいいのですが、実際には自分が勝てないのをカード資産や情報のせいにして、他人のカード使用を規制する事で自分に勝機を呼び込もうとする人すら少なからずいます。しかし少なくともそのカードをたくさん持っているプレイヤーはそのカードを得るためにそれなりに努力はしている訳で、それを「そんなカードを持ってるのは卑怯だ!」の一言で否定するのはかなり間違っていると思います。

 これについて過去に見たクイズ番組の1場面を、私は今でも鮮明に覚えています。外国語である単語を挙げ、それが何を指すのかを当てるという問題が出題された時に、ある有名な数学者が一言「これ知ってるよ。」と漏らしたのが事の発端です。その方は4カ国語くらい堪能に話されるそうで、その言葉は既に知っていた訳です。すると他の回答者から一斉に「それは卑怯だ!」というブーイングが起こります。そしてその数学者はどういう訳か司会者に回答する権利を剥奪され、結局山勘で当てた他のチームが正解しました。しかもその問題は最後の最後、一発逆転のかかった重要な問題だったため、その回答したチームが自動的に優勝となった訳です。はっきり言いますが、これのどこが“卑怯”なんでしょうか。自分が知らない事を知っている人間がいて、その知識を活用して自分よりも有利な立場に立つ。もしそれが本当に卑怯だとすれば、多分自分に取って周りにいる人間すべてが卑怯な人間でしょう(笑)。私は Magic のカード資産もこれと同じだと思っています。あなたよりも数倍 Magic に投資している人間は、当然あなたより数倍 Magic が強いしうまい、要するにあなたの数倍勝利に近い人間なのです。

 しかし同時に現在 Magic では、デュエリストが経験年数や投資額によって大きくクラス分けされているのも事実です。そしてクラス間のプレイヤーの相互交流を図る手段が少なくとも競技 Magic には用意されていない。それが Magic というゲームを遊びにくくして衰退の一因にすらなっている。これが現実だと思われます。それだったらカード資産の差をできる限り緩和して、多くの人達が参加できるフォーマットでイベントを開いてみよう。これが今回の試みです。ただ、だからといって我々はデュエリスト個人のスキルとか経験、またセンスといった部分まで補うことはできません。また補おうとも思いません。それはあくまでその個人が過去の投資で身につけた能力であり、それまで初心者に合わせさせられたのでは意味がないからです。何よりも手加減してもらって勝ってもうれしくないでしょう?

 しかも Magic では過去の歴史において、この手のブロック構築フォーマットは(少なくとも各ブロックが発売されていた年には)遊ばれ続けてきています。そういう情報を調べれば具体的にどういうデッキが強そうで、自分のカード資産の範囲でどういうデッキが作れそうかは見当が付くだろうと思います。もしあなたがこのイベントで本気で勝利を得たいと思うのであれば、やれる事はいくらでもあるのです。我々はそういう手間暇をかけてこのイベントに臨む方はむしろ大歓迎します。そして逆に過去のカードやデッキについて全く勉強をせず、それで当日になって「こんなカードは知らなかった。強すぎるから禁止にしろ!」とか「こんな強いデッキで参戦するのは卑怯だ!」という泣き言を言う参加者はお断りします。これが要するに“デッキはきっちり組もう”という事です。

 しかし我々は同時に、そういうデッキでのデュエルをそれこそ競技イベントのようにカツカツでやる気は更々ありません。多少の巻き戻しは全く問題にしませんし、自分が知らないカードについては対戦相手や周囲の人達にどんどん聞けばいいと思います。最近のデュエリストの多くが昔のカードを知らないように、我々古参デュエリストの多くが最近のカードを知りません(爆)。そういうデュエリスト同士が互いの情報を交換し合い、場合によっては絶版カードと最新カードのトレードなんかで盛り上がる。そういう場を作りたい訳です。自分が事前にきっちりとデッキを組んであれば、少なくとも当日になって土地事故を起こすような事態はかなり避けられるはずです。そうなれば勝っても負けても笑ってデュエルができるでしょう。これが要するに“まったりと遊ぼう”という事です。あ、ちなみに知り合いから指摘があったので書いておきますが、私が言う“まったり”の語源は“おじゃる丸”です(笑)。北島三郎さんが歌うテーマ曲の中に出てくるあれです。

 このフォーマットなら現在最前線で競技 Magic に関わっている方々でも参加できるはずですし、古参デュエリストも自分のカード資産に合わせたデッキで参戦できると思います。とにかくこういうイベントは参加者が増えることが大事なので、できるだけ多くの方にご参加頂ければと思っています。あと古参デュエリスト向けにちょっと補足ですが、皆さんがお持ちのコモンやアンコモンの絶版カード、例えば《稲妻/Lightning Bolt》《火葬/Incinerate》《剣を鍬に/Swords to Plowshares》といった能力が高いカードは、この手のイベント会場では意外と高値で取り引きされています(笑)。さすがにショップ内でのイベントで現金トレードはお断りせざるを得ないのですが、持ってくればそれなりにトレードの対価にはなります。どうせ Magic から離れて幾久しいのであれば、ご自分のカード資産を後進に託してみるのも宜しいのではないでしょうか。というか、私自身隠し持ってた絶版カードを既に大部分放出しちゃって、もう後から来られた方に供給できないんですよ。 (^^; 


   
なお、このページの内容に関する文責はすべて私 あいせん にあります。