初心者が書くモノポリー論 | ||
今回モノポリーのイベントに参加する事になり、始めてモノポリーというゲームに本腰を入れて取り組む機会に恵まれました。その経験から“初心者が書くモノポリー論”を書いてみようと思い立ちました。そこで今回は“モノポリーは面白いゲームなのか?”という、熱狂的モノポラーの方々から石など投げられそうなテーマをあえて選んでみました。 (^^;
私自身、今回北陸予選のサポートに入るという事で改めてモノポリーに触ってみるまで、モノポリーのプレー経験は“2〜3回”という有様でした。そしてもっとひどい事に、私はそれまでモノポリーで勝ったという記憶が全くありませんでした(爆)。人生ゲームは結構強いと自分では思っているのですが(ぉ。実は北陸予選開催を契機に、私の知り合いに少なくとも2名のモノポラーがいる事が分かったりしています。2人ともモノポリーに関してはかなりのレベルのようで、今回 Duelist Fukui メンバーのレベルアップを目指したスパーリング(!?)を何度かして頂きました。約1週間程文字通りモノポリー漬けになったのですが、この間に私のモノポリーに対する印象は随分と変わってしまいました。
それまで私がモノポリーに対して抱いていた印象は、簡単に言うと“運ゲー”であり“自分には向かないゲーム”という物でした。もっと簡単に言っちゃえば「つまんない。」だったのです(汗)。交渉はお互いが自分の利益しか見ていないから大して進まない。そしてレンタル料の高い土地に家4件とかホテル等を立てられちゃうと実質リカバリ不可。サイコロを振ってまだ売れていない土地に止まれればラッキーで、止まれなかったらそのままじり貧で負けるだけ。まあそんな感じでした。
ところが実際(というか最近のモノポリー)は違っていたのです。どうやら中・上級者が遊ぶ最近のモノポリーは“サクサク交渉をまとめるゲーム”に変わっているようです。確かにサイコロの出目による運/不運はあります。実際ある日のスパーリングで、やまけん氏が1ゲームの間に4回も所得税を踏んで沈んでいった事例すらありました(笑・・・っていいのか? (^^; )。しかし最近のモノポリーは、そういった不運を交渉で巻き返すゲームになっていた訳です。もちろん交渉ですべてがうまく行く訳ではありません。誰だって自分が有利になる交渉をしたがりますし、物件が1つも無いといったどうしようもない場面もあります。しかしそれでも“何とかなる”“何とかする”のが最近のモノポリーだ。どうやらそういう事らしいのです。
↑は2000年世界チャンピオンの岡田豊さんから頂いたアドバイスなのですが、この事は私自身も最近の経験から実感しています。(それにしてもラジオのニュースで「今年のモノポリー世界チャンピオンは日本人です。」と紹介されたそのご本人と、まさか福井でのイベント開催で協力させて頂く事になるとは夢にも思いませんでした。 (^^; ちなみにそのニュースを聞いた場所が病院《ちょうど左足を折って入院していた最中》だったというのは、まだ自分の中で“想い出”として処理できる状態ではなかったりしますが。 (^^;;; )最近感じるのは「モノポリーは実社会の縮図である。」という事です。人が成功するためには多少の資本と少々の運、そして巧みな交渉術と経済感覚が必要だ。それが私個人の印象です。「損して得取れ!」というのは浪速の商人(多分この場合は“あきんど”と読むのが正解)の言葉だそうですが (^^; それとはちょっと違う気がします。言うなれば「将来取り戻せる見込みのある損なら積極的にしろ!」という感じでしょうか。私はモノポリーでの交渉って自分が絶対に損をしちゃいけない物だと思っていましたから、これが何よりも“目から鱗”な感じでした。
あと何よりも私が驚いたのが“土地の価値観”でした。私はそれこそ“ド”が付く位のモノポリー素人なので、土地はダークブルーが最強で続いてグリーンだと思っていました(爆)。あと“他人には絶対に色を揃えさせるな”“土地を抵当にお金を借りるのは負けにつながる(レンタル料を徴収できなくなるから)”という、かなり間違った固定観念を持っていました。 (^^; しかし実際に上手なモノポラーのプレイングを見ていると、まあその私が持っているタブーを次から次へと破ってくれて、それで最終的には勝っている。最初は全く以て「なんでよ?」という感じでしたが、しかし理屈が分かると「なるほど!」なのです。
モノポリーのゲームシステム自体は非常に単純ですし、その内容は(地名等の若干の変更を除いて)発売当時からそれ程変わっていないんですよね?。でもその中に凝縮された内容は物凄いし、ある意味でそのプレイヤーの“人間としての強さ”を要求している。これは凄いゲームかも知れない、と素人なりに感じている今日この頃です。
ただこれは本当に素人なりの意見なのですが、やっぱりモノポリーには“素直に面白さを感じる事ができない要素”がある。私はそういう意見も持っています。最近のモノポリーは結構競技化しているそうで、それ故に“全体の利益”を見る傾向が強くなっているという印象を私は受けています。例えばあるプレイヤーが仮破産して首が回らなくなった。本人は「もう破産してジュースでも飲みに行きたいなあ。」とか思っている。(少なくともそのゲームに対するモティベイションは地の底まで落ちているはず。)そこでどこかの金持ちがニッコリ笑顔で「僕が助けてあげよう!」と持ちかける。仮破産したプレイヤーは救済の申し出を断れない。まあ少なからず「俺を助けるんじゃねえ!」と思うのです(笑)。実際救済された後に別のプレイヤーが(それこそ核爆弾級の地雷を踏んで)一気に破産し、それにより順位が上がる事があるのですが、しかしその“取りあえず生かされただけのプレイヤー”はあまり面白くないのではないかと私は思うのです。
※ これは要するに「自分が半ば死に体モードになってサイコロだけを振らされ続ける事に意義を見出せるのか否か?」という問題なのだと思います。確かに競技として考えるとそこに意義はあるのでしょうが、でも実際にはそれを楽しくないと感じる人の方が多分多数派だろうと思います。 それとこれは世の中に存在するすべての遊びに言える話なのですが、モノポリーもプレイヤーやプレイングが高度になればなるほど、初心者との間の溝が深まってしまうのです。これは私がTCGに関する意見でも書いている話で、要するに“初心者から見た敷居が高くなる”訳です。例えば北陸地方で日本選手権の予選があるからと言って、初心者が集まっていくら経験を積んでも最近のモノポリーには着いて行けなさそうです。私が考えていたモノポリーと最近のモノポリーは次元が違いすぎるのです。これがゲームが持つ奥の深さの裏返しなのですが、なかなか解決が難しい問題ではあります。
※ 私の調査不足なのかも知れませんが、モノポリーって将棋の駒落ちのような“特定のプレイヤーにハンディキャップを与える仕組み”が無いように思います。これはTCGもそうなのですが、結構これが初心者がその世界に入ろうと思った際に少なからず影響してくる気がします。 最近モノポリー人口はやや減少傾向にあると伺っています。私個人はそういう傾向を淋しいと思う反面、ある意味で納得できる部分もあるのです。いや冗談抜きの話、モノポリーって難しいですよ(笑)。もちろんそういう難しさをある程度クリアした先には面白さがあるのですが、でもそこまで辿り着くのが結構大変そうです。我々みたいに身近に“最近のモノポリーを知っているプレイヤー”がいればラッキーなのですが。
という事で結論を先延ばしにしてきましたが、私個人は「最近のモノポリーは面白い。」と感じています。私はTCGの世界では「萌え萌えぇ〜!」とか戯言を言っていますが (^^; 実を言うともう30を遙かに過ぎたいい親父です(爆)。そういう人間がモノポリーを遊んでみると、大抵1回のゲームで1〜2度は“自分自身と直面する”場面があります。敗色が濃厚になって半ば捨てゼリフのように「もう救済しないで下さい。」と言っている自分がいたり、逆に見事オレンジを独占してホテルを建てて内心悦に入っている自分がいる。そういう時に自分がどう振る舞えばいいのか?。それを最近は常に自分自身に問いかける日々が続いています。
モノポリーは所詮ゲームですから、その中ではいくら失敗しても構わないのです。逆に言うと「モノポリーは“人生の挫折”を味わうためのシミュレーションだ。」という気すらします。4人あるいは6人で1つのゲームを遊んだ場合、そのうち本当の勝者になれるのはたった1人なのです。ゲームなんだから負ける事には何のデメリットもないし、自分と同じ“負け組”の人達が周りにいる(笑)。だから安心して負けて良いのです。
これはTCG関連の記事でも書いているのですが、どうも日本人って自分が勝ち組に入らないと気が済まない人が多いみたいで、中には勝ち組に入るためには手段を選ばないという人も少なくないようです。確かに勝利を目指すところに人間の成長はありますし、誰も負ける事を目的でモノポリー(というかゲーム)は遊ばないでしょう。しかしモノポリーは“裏付けのない勝利への執着が何も生み出さないゲーム”でもあります。相手にオレンジを揃えさせるのが嫌で1枚延々と握ったままにしていたら、別のプレイヤーにダークパープルやレッドを揃えられてそこを踏み、結局は救済措置と称して格安に買い叩かれた。こんな事例は山ほどあるでしょう。(実際私みたいな少ないプレイング経験の中でもあったし。)
自分が成功するためには他人にも利益をもたらす事が必要だ。自分の利益のみを追求して目がくらんだ人間にはろくな事がない。そういう事例をモノポリーは嫌と言うほど我々プレイヤーに突き付けてくれます。負けた原因は他のプレイヤーでもなければサイコロでもなく自分自身である。慣れてくるとそういう理解ができる訳で、そうなるとモノポリーは面白くてやめられないゲームになりそうです。ただ私自身はまだまだそういう境地には至っていませんが。 (^^;
ここしばらくの経験から気が付いたのは「モノポラーは“大人”でなければいけない。」という事です。TCGって結構かつてのドラゴンボール的な部分があって (^^; プレイヤー同士が素手で殴り合ったりかめはめ波を撃ち合ったりして雌雄を決するような部分があるのです。モノポリーにはそういう形でのバトルは無い印象がありますが、ただそれ故逆にプレイヤーの取り組み方次第では、陰湿で「モノポリーやると友達無くすぞ!」的なゲームにもなりかねない気がしますが。 (^^;;;はっきり言ってしまうと、モノポリーってある程度社会生活を経験した大人が遊ぶゲームだと思います。箱には「対象年齢8歳以上」とか書いてあるのですが、私個人は「これ“18歳以上”の間違いでは?」という気さえします。しかし逆に言うと、中学生とか高校生辺りが物凄く巧みなモノポラーになったとすると“末恐ろしい”という気はします。 (^^; 個人的には中級者〜上級者が集まったゲームで、社会人から交渉でオレンジを出させる中学生とか見てみたいもん(爆)。
ただやはり問題なのは「そういうモノポリーの魅力をどうやってモノポリー未経験者、あるいは1度モノポリーに手を出して『つまんないからやめた。』と言って離れた人達に理解してもらうか?」ではないかと私は感じています。実際問題として、日本国内でのモノポリーの稼働率ってあまり高くなさそうな気がします。 (^^; 私としては今回の北陸予選は成功させたいし、また是非とも来年以降にも定例化させたいのです。それには北陸地方のモノポリー人口の拡大とプレイヤーの底上げが必須な訳で、まあ素人なりにどこまでできるかやってみたいです。
以上の話はあくまで素人が書いている内容なので、勘違い等もあって多くのモノポラーの方からご批判を受けるかも知れません。しかし少なくともこれが“ある素人が見たモノポリー感”である事は紛れもない事実です。まあ読まれた方(特に中級者〜上級者のモノポラー諸氏)に参考になったかどうかは分かりませんが(汗)。