一流企業人の教え 
 
 先日、某有名企業が主催する研修会に参加してきました。まあ当然そういう会合ではお馴染みの“社長訓話”なるものがあります。(この企業名も社長も、恐らく皆さんに名前を言えば「ああ、あそこ(あの人)か!」と思い出して頂けるだろうと思いますが、今回はひとまず公表を控えます。)特に学生さんなどはこういったお話を聞く機会も少ないだろうと思うので、取りあえず掻い摘んでご紹介したいと思います。


○ 売れている店には“売る人”がいる

 商品が売れている店、その成功の要因を分析してみると、やはり最終的には“人”の問題になる。売れない商品(あるいは店)というのは、結局ちゃんと売っている人がいないから売れない。

○ 「商品を置いている=売っている」ではない

 特にこういった不景気/デフレの時は、工夫をしないお店で商品は売れない。特に利益の取れる高単価&高粗利の商売をしようと思ったら、販売店がどれだけ汗をかいて努力するかが重要になる。

○ 売る側が商品に自信を持て

 商品知識を身に付ける。お客さんの話を聞いてより良い提案ができるスキルを身に付ける。そして何よりも売る側が自信を持って勧められる商品を扱う。そういう姿勢が常に必要である。

○ ユーザーのニーズをしっかり聞け

 時としてメーカーや販売店は「その商品をユーザーにどう使わせたいか?」に主眼を置いて商品を売りがちになる。そうではなくて、ユーザーが何をしたいのか。その商品がユーザーのニーズを満たせるのか。そういう視点を持った提案をしないと商品は売れない。

 ・・・ええっと、ここまで読まれたうちの常連さんの一部は「これ、なんかどこかで聞いたことある話だなあ。」とか思われたかも知れません。本当私もビックリしたのですが、上に挙げた内容って私自身ここで何度か書いている話だったりするんですよ。 (^^; 繰り返しになりますが、上に書いた話は本当にその研修で社長自らの口から出た内容の抜粋です。また訓話の冒頭部分で社長から“差別化”というキーワードも出たのですが、これも過去に私も何度か取り上げていると思います。あと私自身が販売経験を積む課程で「お客さんにこういう聞き方をすると良いかな?」と思って編み出した話術みたいな物があるのですが、それを社長が「こういう売り方をした方がいいですよ。」とズバリおっしゃったのにもかなり驚きました。「なんだ、自分のやり方って我流の割にはそんなに間違ってなかったんだな。」とか、ちょっと自信を持ったりもしちゃいましたが。

 結局商品というのは、売り手が自信を持って勧められる物でないと売れないみたいです。そして商品を売り込む際の最大のポイントは、何と言ってもユーザーのニーズや趣向なのです。販売店がただ何となく店頭に置いているだけ。ユーザーがその商品を買うことに明るい夢や将来像を持てない。こんな商品は売れなくて当たり前なのです。メーカーや代理店のマスターベイションを見て、自分も気持ちよくなれるユーザーなどこの世にはいないのです(笑)。ただどうもゲームという世界って、そういうメーカーのオナニーに共鳴して自分も射精できちゃう不思議な人種が少なくないようなのですが。(思い切り表現が“下”で申し訳ないです。 (^^;;; )

あいせんの“本音の部分”

 今回の研修では他にも色々と成果があったのですが、その辺の話題は次回以降にします。それで今回の本音は“明治村に見る経済学”というお話を。 (^^; 

 ちょっとその研修の帰りに明治村に寄せて頂いたのですが、実は当初思っていた以上に散財してしまいました。 (^^; 私自身かなり財布の紐は締めて行ったつもりだったのですが、後で振り返るとちゃんとそういうお客さんからお金を出してもらう仕掛けが明治村にはあったようです。

 村内には交通機関として電車とSL、それとバスが走っているのですが、この料金設定が「1回乗ると300円。1日中乗り放題の周遊券が500円。」となっています。(ただし電車&SLとバスの周遊券は別になっています。)大体目の前にSLが来たら、普通なら一度は乗りたくなるでしょう。それで料金体系がこうなっていると、2回以上乗る予定があれば誰でも周遊券を買うだろうと思います。しかも買ってしまえば(タダなので)更に3回・4回と乗るでしょうから、実際に体感する運賃というのにはかなりお得感が感じられます。(私自身も気が付いたら2時間ほどの間に4回も乗っていましたので。)

 そこに、村内のちょっとこじゃれたカフェが「一杯500円」という設定で飲み物を売っていたりします。普通ですと500円という値段はそんなに安くはないのですが、ところが利用者には先程の周遊券の件で“500円で得をした”という感覚が残っているため、その他の出費で500円と言われてもさほど抵抗感を感じなくなっているのです。既に瞬間的にせよ“500円は安い!”というイメージが出来上がっていますから。ですから逆に言うと、村内で売られるある商品が500円を1円でも超えていると、多分利用者は「ちょっと高いんじゃないか?」と感じるだろうと思います。利用者はさっきの500円を超える満足度をその商品から得ようとしますので、途端に商品を見る目が厳しくなるのです。

 そうやって村内が“うちのサービスは500円だよ”という形で価格を統一していると、利用者側は次々と500円というお金を払ってサービスの比較を始めます。さっきの店の500円はうまかった。じゃあこっちはどうだろう。これもまたまた当たり。じゃあ次はこっちも試してみよう。そういう形で利用者は次々と500円を出して物を買い、サービスを買うのです。まあ言うまでもなくその相場価格がもっと安ければ更に利用者の財布の紐は緩むのですが、その辺はある程度のサービスを維持するための必要経費との兼ね合いになるでしょう。そういう点で遊園地やテーマパークといった閉鎖空間は相場を作りやすいと思いますし。

 こういう商売ができるようになると、別に他店が凌ぎを削っている値引き競争に参戦しなくても、お店の生き残りは図れます。これだけ酒類や家電製品の安売り店が台頭してきて、それでも定価売りの販売店が生き残っている。そこにはやはり秘訣みたいな物があるのです。そのキーワードは本編でも述べた“差別化”になるのですが・・・、これ以上書くとエッセイ1本損しちゃうので (^^; この次書くことにします。

   

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