続・日本の Magic に起こっていること
〜 解析編 〜
 
 
 最初にこんな話を書くのもどうかと思うのですが、うちや他のWebサイトで過去に幾度となく行われてきた「 Magic は本当に廃れてきているのか?」という議論ですが、私としては今回のデータによってある程度の決着が図られたと思っています。やはり“少なくとも日本で Magic は売れていない”という意見は、もはや客観的な事実として受け止めざるを得ないのだろうと思います。ただ私自身、まさかHJが利益を出せない位 Magic の販売が落ち込んでいるとは、このデータを調べるまでは夢にも思っていなかったですが。

 さて、それでは改めて本題に入りましょうか。今回のデータを見て一部の方は「じゃあその落ち込む以前って Magic はちゃんと売れていたんじゃないか。」と思われるかも知れません。それでですが、それを客観的に検討する参考資料として、私の方で「国内の主要TCGの販売額と販売数量」という資料を作ってみました。(グラフをクリックすると更に大きく表示されます。)

 ここではっきりとお断りしておきますが、この資料はかなり試算の前提条件を簡素化した“仮の物”だと考えて下さい。( Magic の出荷額はHJの売上の半分と試算しています。あと遊戯王OCGは日本国内向け出荷額の資料がないので、アジア向けの出荷額をそのまま使っています。)ただしこれと同様の、というか更に精密な内容の物を、大手のTCGショップなどは独自に作成しているはずです。(私自身もそういう資料を幾つか実際に目にしていますし。)そして自店で売る商品としてどれを重視するかを、販売店や問屋はその資料を基に決めているのです。でもこうやってグラフにしてみると、 Magic がどれだけ売れ行きが伸びた/落ちたと言っても、遊戯王OCGと比べるとそれこそ“誤差の範囲”だったりするのですが。 (^^; 

 今回私は仮に Magic を“日本の主力TCGの1つ”としてグラフに入れたのですが、でも特に出荷数量で見た場合 Magic のそれは遊戯王OCGの前では霞んで見えません。しかも後発のデュエル・マスターズにまでこうもあっさり抜かれてぶっちぎられる。そのくせメーカーや一部の遊び手は「 Magic こそ“King of TCG”だ!」とばかりに、これだけの販売不振にも関わらず、相も変わらずお高く止まっている。それ故 Magic は“売ってもらえない商材”として多くの販売店に嫌われた。そんな気もします。つまり日本における Magic というゲームは、そもそも盛り上がっているとか廃れたとかいう話ができるほど、日本国内で売れた人気ゲームなんかじゃない、という事なのです。そしてそれは、何よりも実際に今 Magic を遊んでいる皆さん自身、感覚として実感なされている事実なんじゃないでしょうか。ではなぜ我々はそういう Magic に特別な意識を持っているのか。それはやはりユーザーというかファンとしてのひいき目、そして遊戯王OCGやデュエル・マスターズという大ヒットゲームの母体になったという“ Magic への特権階級意識”があるように感じられます。

 ただ、一時期HJやPHに莫大な利益をもたらした Magic を、しかし両社はそれこそ勢いだけで売れ続けると信じ込み、勢いのある時にそれを更に増したり日本に完全定着させるための施策をほとんどやってこなかった。もっと平たく言ってしまうと、代理店が自社の在庫を問屋に押し付ける算段にのみ頭を使い、それ以降ちゃんとユーザーにまで行き届いて遊ばれるための工夫をしてこなかった。だから当然のようにそのツケが今になって覿面に回ってきた。今回の件はそう考えるのが普通だろうと思います。うちでも過去に何度か“ Magic のローカライズ”という話題が出てます。やはりHJはWoCに対して、日本で Magic が継続的に売れ続けるための施策や工夫、あるいはカードデザインそのものについての提案をガンガン挙げるべきだっただろうと思います。でもこんな話はそれこそ私自身、それこそ指にタコができるくらい書き続けてきた訳で (^^; なんか今更それを繰り返している事にはある種の虚脱感すら感じちゃうのですが。

 さてそこで問題になるのは、この落ち込みが果たして一時的な物なのか、それとも永続的に続くのか、という問題です。

 私が手元に持っている資料を総合的に見てみると、やはり Magic には自力による拡販に成功した歴史がどうも無さそうな印象を受けます。確かに第4版〜クロニクルの頃は Magic ユーザー自身が拡販に頑張っていました。しかしラースサイクル〜ウルザサイクルの頃の第一次ブームは、結局のところ少年ジャンプに掲載された紹介記事がその発端となっています。またインベイジョン〜オデッセイにかけてのちょっとした山も、今になって分析してみると「遊戯王OCGに飽きたデュエリストの一部が(遊戯王OCGの母体となった) Magic に流れてきた。」と見て取れるのです。(実際これは両者の売上の推移に良く現れています。)あと( Magic マンガだった時代の)デュエル・マスターズが Magic 拡販に相当の貢献をしていたのであれば、ある日突然全く別のTCGマンガになったりはしないでしょう。 (^^; つまり日本での7年ちょっとという歴史の中で Magic 自身が明確な形で拡販に成功した歴史は未だないのです。そうなると「7年以上できなかった事が今更できる訳がないよ。」という結論を出すのは、そんなに発想として飛躍ではないだろうと思います。 (^^; ましてや日本の Magic には、相変わらず競技イベント以外に満足な販促手段がないですし。

 「じゃあ、一体この後どうするの?」という事です。これについてはもう私は何度も繰り返し書きすぎて指のタコが傷むので (^^; 今回はあえて書かないでおきます。ただ過去にも言っているように「このまま放置したらじり貧だよ。」という事だけは間違いないでしょう。

   

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