特集: Magic の今と未来
 メディア展開について 
 

○ 現状をどう見るか

  Magic の話題は一般メディアへの露出が少ないというか、ほとんどないですね。これは世の中で発信されている Magic 関連の情報を拾ってみると、かなりはっきりと実感できると思います。あるゲーム関連のニュースサイトが Magic に関する特集を掲載した事があります。ところがその数ヶ月後に、この同サイトは米国で開催された遊戯王OCG世界選手権の話題をニュースで取り上げ、その一方で同時期に開催された Magic 世界選手権を全く取り上げなかったのです。その前に公開された Magic の特集は、一種の“記事内広告(詳細は後述)”だったと思われるのですが、そんなちょっと信じられないケースすら実際にありました。また先日のプロツアー神戸での日本人選手の優勝も、結局のところ Magic 関連以外のニュースサイトで話題になっているのを私個人は発見できませんでした。(ちなみに遊戯王OCG世界選手権で日本人選手が“3位入賞して健闘した”というニュースは見ました。 (^^; )つまりそれが一般世間での Magic の扱いである。我々はそういう認識を持つべきなのでしょう。

 じゃあ、なぜ今はそういう状況になっているのか。その理由は多分そんなに難しくはありません。遊戯王OCGやデュエル・マスターズといった人気ゲームは知名度が高く、実際に遊んでいるユーザーも多い。そうなるとニュースサイトがそういうゲームの話題を取り上げることで、単純に視聴率(!?)のアップが期待できます。TVやラジオの視聴率(聴取率)、雑誌の購読数やWebサイトのアクセス数は、そのメディアに広告を掲載する際の料金の基準となるため、実はメディアの収入に如実に反映されるのです。それと遊戯王OCGやデュエル・マスターズは、いわゆる“メディア・ミックス”に成功している事例と言えます。原作のマンガが連載されている雑誌が売れ単行本が売れている。TV放映されているアニメを多くの人達が見ている。そしてカードゲームが売れTVゲームが売れている。そうなると実に多くの企業がそれらのゲームから恩恵を受けている形になります。じゃあ Magic はどうかというと、基本的にその利権はWoCとHJが独占しています。つまりニュースサイトが Magic のことを取り上げても、結局はWoCとHJの懐を潤す事だけにしか貢献しないのです。WoCやHJがそういうニュースサイトの強力なスポンサーという訳でもないので、 Magic の話題をニュースサイトが取り上げる事には自身に旨味がないのです。

 またこんな見方もあります。以前にも書いているのですが、情報というのは発散されなければ意味がありません。そして情報が発散されるためには、情報の受け手側が自ら情報を吸収する体勢になっていないといけないのです。有名なマンガ雑誌に Magic の広告が載っている。 Magic の世界にはそれだけで「 Magic は有名なんだ」と判断される方すらいらっしゃるだろうと思います。じゃあ皆さんにお伺いしますが、その Magic の広告が載っていたのと同じマンガ雑誌に、他にどんなゲームの広告が載っていたか皆様ご記憶でしょうか。多分正確に答えられる人はほとんどいないだろうと思います。要するに皆さんは Magic の広告を“自分が知っている Magic の事だから”記憶に留めているに過ぎないのです。つまり全く同じ事が Magic を知らない大多数の読者に当てはまる、という事です。 Magic に興味も関心もない読者には、恐らく Magic の広告などそもそも目に留まってすらいないだろうと思います。 Magic の広告がもの凄く斬新かつ秀逸で、他の広告よりも強い存在感で目立っている。あるいは超有名人を起用していたり高額のプレゼントがある。そういうことなら話は別ですが。

 じゃあなぜHJは、決して十分とは言えないであろう販促予算を割いて、そんな効果の薄い広告を打ち続けるのか。それは“今現在 Magic を遊んでいる人達へのサービス”と言ってもいいかと思います。 Magic というゲームがこの先もあり続けるという安心感。こういう広告を打てるだけのパワーがあるぞというアピール。そして他TCGとの差別化の一環。恐らく狙いはその辺でしょう。これはかつての某ラジオの深夜番組での企画ですら多分例外ではありません。当然それ自体は決して悪い事じゃないんです。ただそういう広告を見て Magic を過大評価、あるいは勘違いする人が少なからずいる。これは競技イベントにしても同じでしょう。そういう過大評価や勘違いが Magic を拡大・発展させるパワーになるなら、それはそれで結構なことなのです。しかし実際には、それが本来必要な工夫や施策をなおざりにさせて Magic を衰退させてしまう。残念な事に今はそういう傾向の方が強く見られる気がします。

 HJという企業には、自力で Magic を日本国内で有名にできるようなパワーはなかったと思います。それはスタッフのレベルとかスキルといった問題ではなくて、そもそも企業が持っている経済力とか影響力がそこまで至っていないのです。私は別にその事自体を問題視してはいません。規模の小さい企業でも頑張っている、そして結果を出している所はいくらでもあるからです。ただ Magic を日本で売り込むという視点に立った時に、果たしてHJは“企業としてできうる最善の策”を取っていたのか。それをやっていないと思われるから私は怒っているだけです。しかも Magic は少年ジャンプへのマンガ連載のチャンスを逃し、コロコロコミックに連載されたマンガの話題性を販促に活かし切れませんでした。そしてあの悪名高き日本語版 Magic のロゴ(爆)。日本における Magic のマネージメントがいかにまずかったかは、これらの事象が象徴的に現しているでしょう。あとこの部分に関してはもうちょっと言いたい事があるのですが、内容的に個人攻撃になってしまうので今回はやめます。 (^^; 

○ ひいきの引き倒しが招いた結果

  Magic ユーザーの多くは、今でも多くが「日本の Magic はそれなりに賑やかだ。」という印象を持っているかと思います。しかし世の中で起こっている Magic に関する事象について、多くの Magic ユーザーはそれをひいき目に見る傾向がある。この事を我々は忘れてはいけないと思います。例えばある Magic イベントに10人のプレイヤーが参加した。それを我々は“10人も来ている”と捉えることもできるし“10人しか来ていない”とも受け取れるのです。そして世の Magic ユーザーの多くは、ひいき目に“10人も来ている”という見方しかされようとしないのです。ただそういう人ばかりでは世の中の真相が見えてこないので、私はその全く逆の視点で意見を書いているだけです。そして現実問題としては私がやってきた物の見方の方が、今は正確な現状把握と将来予測に成功していると思われる。これが現実だろうと思います。

 これは情報やメディア展開にしても全く同じ事が言えます。これだけ多くの人達が熱心に Magic を遊んでいるんだから、その様子を皆どこかで見ているだろう。有名なマンガ雑誌に広告を載せたのだから、皆 Magic の名前くらいは知っているだろう。それは明らかに Magic に対してひいき目の見方でしかありません。でも実際には皆さん自身がいつもやっているように、世の人達は自分にとって興味や関心がない情報など見ちゃいないし、ましてや記憶になど留めてはいないのです。誰かが Magic を遊んでいる様子を見ても、普通多くの人達は「なんか人が集まって何かしてる」程度の印象しか持たないのです。ましてや雑誌に載った広告なんか、皆さん自身だって大抵は読み飛ばしているんじゃないですか。 (^^; それを「いや Magic は世界で売れてる優秀なゲームなんだから、その印象は多くの人達が留めているはずだ。」と考えるのはおかしいです。それは Magic プレイヤーの多くが、恐らくは囲碁や将棋の最近の動向を知らないのと多分理屈は同じです。ちょっと皆さんにお尋ねしますが、かつて将棋の7冠を独占して話題になった羽生善治氏は、今現在そのうち何冠を今も保持しているでしょう。(正解は2004年3月20日現在で2冠です。ちなみに今は3人の棋士が2冠を分け合ってトップに君臨している形になっています。)恐らくこの答えを、聞かれた瞬間にすんなり出せる Magic プレイヤーはそんなにいないだろうと思います。将棋ほど知名度や完成度が高いと言われる遊びであっても、興味がないことを人は見もしないし覚えてもいない。こんな事は人間であれば当たり前なのです。

  Magic のメディア広告が多くの人々の目に留まらないもう1つの理由。それは“見ても自分に得がない”からです。言い方を変えると Magic の広告って、結局のところHJの Magic の売り方、すなわち“俺達が利益をあげることが最優先”&“でもプレゼントなんかに金は使わん”という発想に凝り固まっていて、ぶっちゃけた話“見ても面白くも何ともない”のですよ。あなたが Magic を買って遊ぶとこんな楽しいことがある。あるいは Magic のことを知るとこんなお得なことが起こるかも知れない。そういうアピールすらあのCMにはないのです。だから Magic に全く無関心な状態にある人達の目を引くことができない。これは極めて当然だろうと思います。要するに新聞の折り込みチラシと同じだと思えばいいでしょう。自分がほとんど無関心な分野で、しかも自分にとってお得な情報がないチラシなど、皆さんだって見もせずに捨てちゃうか廃品回収行きにしちゃうでしょう。それと同じ行動を、我々は自らの脳内でも自然に行っているのです。 Magic プレイヤーにとってはそれこそ“永久保存版”的な価値のある広告でも、その他の人達にとっては“お尻を拭くにしてもちょっと固すぎる紙切れ”でしかないのです。 (^^; あ、チラシでお尻を拭くなんて、最近の人は感覚的に理解できないかも知れませんね(笑)。こういう表現は昔はよくネタとして使われていました。私自身も実際にやった事はないですが(汗)。

 ですからはっきり言ってしまうと、まあ恐らくHJ自身、あの一連の広告宣伝で新規の Magic ユーザーが現れることなんか期待していないんじゃないでしょうか。申し訳ないですが、私にはあの一連の広告の内容が、それを狙って行われている物だとは到底思えないです。そしてそんな事は、仮にも出版業界のプロ組織であるHJは一番良く分かっているでしょう。しかもちょっと金をかけたかと思ったら、なんかPH直営店の販促を兼ねてか関東地方限定だったりする。さすがにこれでは Magic は現状維持すら難しい。私はそういう意見を何度となく書いてきて、そして現実にそうなっているのです。こんな素人にですら読めていた未来予想図が、ましてやその道で飯を食っているプロの皆さんにまさか読めていなかった、なんて事はないんでしょうが。 (^^; 少なくとも言えるのは、今まで日本で Magic に関して行われた販促で、最も有効かつ有益だったのは“少年ジャンプへの紹介記事掲載”ではなかったかと思われます。その次がデュエル・マスターズの連載で、その次は・・・HJが食らった公取委勧告の新聞記事かな(誤爆)。

○ こちらが出向くか、向こうに出向かせるか、それが問題だ。

 TVゲーム関連の雑誌では、かなり以前から“記事内広告”という手法が用いられています。例えば発売が近くなると大々的に載る人気CRPGの特集記事。あの辺はほとんどそれだと思って間違いないはずです。要するに“メーカーが誌面を買って”いかにもライターがゲームを遊んで書いたかのような形式で広告を載せている訳です。しかし現実問題として、そういう超が付く程の話題作の紹介記事は、まあ間違いなく情報誌の販売部数を伸ばすはずです。しかも載せる内容はメーカーから丸々落ちてくるので記事を書く手間も省ける(笑)。つまり雑誌出版社にとってはかなりおいしい話なのです。ですから逆に言うと雑誌編集部は人気ゲームの記事内広告を積極的に載せたがるでしょうし、そのために掲載料の大幅な値引きも行っているかも知れません。

 また遊戯王OCGやデュエル・マスターズは、マンガ雑誌/TVアニメ/TVゲーム&カードゲームというメディア・ミックスに成功し、メーカー以外の多くの企業に利益をもたらしています。人気を博したマンガはアニメでも成功が期待できる。だから異業種の企業がTVアニメ放映の際にスポンサー提供を持ちかけてくるのです。ひょっとするとゲームイベントにスポンサーとして参加してくれる企業も現れるかも知れません。実際過去にミニ四駆がブームになった際には、それとは全く無関係な業種が集客のためにミニ四駆大会を開くこともしょっちゅうでした。(私はそういう大会を仕切るイベント屋紛いをやっていた時期もあるもので。 (^^; )そういう形で一度歯車が噛み合って回り始めると、それらは一気に勢いを得て、いわゆる“ブーム”という状態に至る可能性が高くなるのです。

 じゃあ Magic で同じことができないのか、という事です。それにはまず何はさておき、 Magic が自助努力によって市場を今の何倍かの大きさに育てる必要があると思います。以前にWoCは「全世界での Magic 人口は約600万人だ」と言っています。これは数字をそのまま鵜呑みにしてしまうと将棋人口のちょうど半分程度です。しかし実際にはその Magic の倍の人口を持った将棋ですら、そういうメディア展開には必ずしも成功しているとは言えないでしょう。確かに新聞やTVで話題にはなりますが、しかし未だに興味がある人とそうでない人との格差が大きいのも事実です。ただそれでも前の章で触れた羽生善治氏の7冠達成などは大きな話題になりました。つまり“土壌はできていた”と言えるかもしれません。じゃあ、なぜ Magic プロツアーにおける日本人プレイヤーの世界初制覇が話題にならないのか。そこに我々は注目すべきであり、やはり善後策を考えて実行すべきなのです。

 それとこれはこの後公開するプレミアイベントの回でも述べるかと思いますが、 Magic って普通に対戦を見ても面白くないんですよ。 (^^; プレイヤーが見た目に派手な特別な技巧を駆使している訳でもない。派手な演出もない。しかも Magic を全く知らない人に「結局強いカードを集めて強いデッキを作ったから強いだけなんじゃないの?」とか「結局はその場の引きの問題だよね。これって運ゲーでは?」と言われて、それをすっきり納得させられるだけの決め手にも欠ける。(そんな蘊蓄は、一般の人達が聞いても意味が分からないでしょうし、いよいよ面白くないでしょう。)対戦を見て少しでも面白さを感じたければ、それこそ Magic のルールやカードやデッキに関して十二分な知識がないと無理。何よりも上位に入るであろうデッキが事前に予想できちゃうという意外性の無さ。まあ俗っぽく言っちゃうと“一般受けしない遊び”の典型と言えるでしょう。だから無理にメディア展開しても費用の無駄。そこまでWoCやHJが判断して広告宣伝費をケチっているのであれば、私個人はそれはそれで構わないと思います。 (^^; ただしその分の予算を別の形で Magic の知名度アップのために役立てるべきだとは思いますけどね。

 本当に目立つ広告というのは、大量に資金と手間をかけてこちらから頼んで出してもらうか、話題性を高めて向こうから取りに来させるか、そのいずれかでないと世に送り出されないのです。そして実際には、例えば年末の紅白歌合戦で話題になった楽曲が、その後2年連続でオリコンの首位になった、あるいは小さな解体業者の社歌がCD売上10万枚を越えるヒット曲になったように、やはり向こうから見に来させた方が費用対効果は遙かに高いのです。少なくとも日本では、根本的な話として多くの人達に「 Magic って何だろう?」と振り向かせることができていないのです。だから広告を打っても目立たない。大きな大会を開いても取り上げられない。日本人が世界を獲ってもニュースにならない。そういうことだろうと思います。

○ 提案

 さて、では以上のお話を踏まえて Magic のメディア展開に関する私なりの提案を。

 ・・・とは言っても、正直言ってこの辺のお話は難しいんですよ。 (^^; 恐らくは「 Magic の世界を扱ったマンガやアニメを製作して知名度アップを図るのが最善策だ。」という事になるのですが、しかし既に Magic はそのチャンスを2度も逃しています。おまけにその最初にして最大のチャンスを逃した結果、 Magic は強力なライバルTCGを世に送り出されて、今の苦境を招いた恐らくは最大の要因まで生み出している訳です。しかも相変わらず Magic には「 Magic にマンガやアニメは不要!」という論者が少なくないようですし。(ただ、そのご意見に必ずしも説得力があるかというと・・・というところが問題なのですが。 (^^; そういう論者から現状の苦境を打開する具体的な代案が出されている様子もあまり見られませんし。)あとWoC自身がデュエル・マスターズにその方針を取り入れて一定の成功を収めている現時点では、もう二番煎じどころか・・・という感じがします。さすがに柳の下のドジョウも、もう採り尽くされて残っていない気がしますから。 (^^; 

 そこでちょっと皆さん思い出してみて下さい。皆さんが Magic というゲームの情報を、取りあえず脳内に取り込んで記憶に留めるようになった、そのきっかけって何でしたでしょうか。ちなみに私個人は“全く別のゲームで知り合った友人の紹介”でした。自分と似通った価値観でゲームを遊んでいる人達から「これは絶対に面白いよ!」と言われて Magic を勧められた。こうなるとさすがに誰だって記憶の中に Magic という名前を留めざるを得ないだろうと思うのです。偶然にも同じ経験をされた方がうちの掲示板にご登場されましたし、他にも同じ経験をされた Magic プレイヤーは多いと思われます。つまり結局のところ、やっぱり Magic は“口コミ”による広め方しかないし、それが実は最善手なのかも知れない。そういう見方ができます。

 過去少なくとも日本における Magic 普及に貢献した最大の広告メディアが“口コミ”であった。だとすれば、そういう歴史はこの先そう簡単に変わる事はないんじゃないでしょうか。じゃあその口コミをマンガやアニメに負けないだけのパワーにするにはどうすればいいのか。それには何よりも“ Magic 人口を増やす”以外にないんですよ。口コミのパワーアップに口コミの力が必要。この部分は自分で言ってて矛盾があることは重々承知しているのですが (^^; でも昔の Magic は実際にそれである程度成功している歴史があるのです。 Magic の間口を広げる。色々な趣味・趣向を持っている人達を受け入れる。そして個人に出来うる範囲で末永く Magic と付き合ってもらう。そういう当たり前の事を地道にやって行くしかないのです。じゃあなぜ最近の Magic には元気がないのか。それは、そういう当たり前にやるべき努力や積み重ねをやって来なかったからです。ユーザー自身が自信を持って Magic を人に勧められない。そんな状況で Magic が広がっていく訳がないのです。

 それと以前から私は「 Magic はプレミアイベントでの入賞歴を、履歴書に堂々と書けるような知名度獲得を目指すべきだ。」という意見を言っています。それだけの知名度と競技としての認知度があれば、 Magic ユーザーが口コミで他の人を Magic に誘うのもやりやすいのです。しかし今のままでは全然ダメでしょう。やはりもう少し競技イベントへの参加資格を厳しくし、よりレベルの高い世界でプレイヤーが競うようにすべきだと思います。そしてそういう競技の世界とはある意味一線を画した“楽しむ Magic ”も同時に、しかもある意味“競う Magic ”以上に真剣に広める工夫をすべきです。まあ今みたいにプレミアイベントが開かれるたびに、やれ失格者が出ただのマッチ売買があっただのとWebサイト上で騒動が起こるようではお話になりませんって。 (^^; 

  Magic をマンガやアニメの力を借りて有名にするのは嫌だ。だったらそれこそ囲碁や将棋と肩を並べられる位の文化として定着させるしか、皆さんが思っている競技による Magic の定着や発展はあり得ないのです。しかしはっきり言いますが、それってマンガやアニメによる成功を狙うよりも遙かに修羅の道です。 Magic の世界で現在競技に傾倒し、同時にマンガや萌えによる Magic 普及を否定される方々は、それを分かった上で発言なさっているのでしょうか。あるいはそうなるように具体的な行動を起こされているのでしょうか。自分では何もせずに、ただ自分の好みに合わないマンガや萌えを否定しているだけ。もしもそういうプレイヤーが Magic の中で主流派を占めているとしたら、まあこの先 Magic は更に廃れることはあっても盛り返すことなど到底期待できないでしょう。マンガやアニメによる話題性の発信をする気がないのであれば、別の話題性を創り出して向こうから Magic の話題を集めに来させるしかないのです。それも Magic のことを全く知らない人達までが注目するような、皆が笑顔でその話題で盛り上がれる明るい話題でないといけないのです。ただし私個人は、今の Magic にそんな話題を生み出す力が残っているとはちょっと思えないのですが。 (^^; ・・・って、これが今回の結論になっちゃうの?(汗)。

○ 補足

 これは囲碁や将棋も決して例外ではないのですが、遊びというのは一旦“賭博として(金をかけて)遊ぶ”世界から火が付いて広まっている物が多いです。しかしそのままでは文化としての定着はできません。パチンコほどの巨大産業が、それでも“文化”としての定着を疑問視される理由もそこにあります。(あの業界も中はかなりドロドロしてますしねえ。 (^^; )これは麻雀や多くの公営ギャンプルも同じでしょう。(ただし競馬だけはちょっと別格になりつつありますし、競艇や競輪も二匹目のドジョウを狙っている印象がありますが。)でも囲碁や将棋は先人の努力によってその域を脱し、今や“文化”である事に異議を唱える方はそんなにはいないと思います。

 そういう意味で Magic も、今はその“過去に多くの遊戯が踏み込み、そして乗り越えるべき領域”に至っているようです。最近Webサイト上で取り上げられている話題を拾ってみると、どうも Magic が“賭事”として遊ばれている様子が少なからず伺えます。これは麻雀辺りとかなり状況としては似通っていると思われます。しかもそういう様子がプレミアイベントでも見られる。というか、むしろプレミアイベントがそういうプレイヤーの憩いの場になっている印象すらあります。 (^^; イベント会場で多くのプレイヤーがマネードラフトに参加するために目を血走らせて相手を探している。そういう目撃談も実際に伺っていますし。

 じゃあ囲碁や将棋はどうやってその領域から脱したのでしょうか。それは競技主催組織がプレイヤーを厳格に管理し、その代わり給与や高額の賞金、あるいは仕事や名誉を与える事でプレイヤーを優遇してきたからだと思います。スポンサーを獲得して競技イベントを大きくして賞金総額を増す。普及イベントやライターなどの安定した仕事を与える。世の注目度や知名度を上げてビッグタイトル保持者に大きな名誉を与える。しかし囲碁や将棋で賭けをして、それがばれたらそういう待遇は受けられなくなる。それが本気で困る状況になった。賭けによって得られる収入とは比較にならない多くの物を失う危険があるから、プレイヤーは自らを律するようになったはずです。そこまでの事をしないとやはり遊びは競技になれないのだと思います。だからマスコミが進んで取り上げるようになる。これはある意味自然な流れでしょう。新聞社やNHKなどは「我が社は日本の文化の育成に貢献している」という姿勢を見せたいわけで、それ故囲碁や将棋の振興にはかなり積極的に参与しているようですので。

 はっきり言ってしまいますが、例えば今ここで私が“マネードラフト撲滅キャンペーン”なんて企画を始めたって、世の中の動向が変わるなんて事はあり得ません(笑)。ただ Magic を本当の意味で成功させたいと思うのであれば、WoCやHJが“プレイヤーが自発的に Magic で賭事をしなくなる環境”を整える必要が間違いなくあります。最近の Magic が“賭けでもしないと遊ぶ気がしない”ゲームになっているとしたら、多分 Magic に本当の意味での勝利は訪れないのです。問題はWoCやHJがそういう現状に気が付いているのか。そしてそれをどう考え、今後どうしようとしているのか。その部分だろうと思います。まあ過去の経緯を見る限り“放置プレー”の可能性が高いのがかなり嫌ですが。 (^^; 

 多分今ですと、プレミアイベントの取材に来たマスコミに「今、これは何を遊んでるんですか?」と聞かれて、堂々と「マネードラフトです。」と答えちゃうプレイヤーは少なからずいると思います(笑)。あまり認めたくはないのですが、今はある意味それは仕方ないだろうと思います。 (^^; だってそれを楽しみにイベント会場に来られる方すらいらっしゃるのでしょうし、それ故主催組織も“黙認”状態じゃないかと思われますので。でもそういう空気なり雰囲気が変わらない限り、堂々と Magic の話題を一般のマスコミに発信し、それを多くの人達に見てもらう事は無理だろうと思います。じゃあ、どうすればその流れは変わるのか。そんなの他の成功事例からやり方はいくらでも学べるでしょう。ただしまあ、7年以上かかってできなかったことが、この先1〜2年で急にできるようになるとは私には到底思えないですが。

   

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