結果をどう評価するか 
 
 今回は久しぶりに Magic という実名を挙げてのお話になります(笑)。単刀直入に本題に入りますが、じゃあ我々は「 Magic 都道府県選手権・福井県大会に20名の参加者が集まった。」という結果を、果たして本当に主催者が言うように“成功”と受け取っていいのか、について考えます。

 主催者側が言う「成功した」という論拠に“単位人口当たりの参加者数”というデータがあります。人口約1000万人の東京大会の参加者が150人ちょっとだったのに対し、人口が80万人ちょっとの福井大会が20人を集めた。つまり単位人口当たりで見ると福井は東京などを上回っていて、それ故成功だと言える。簡単に言うとそういう理論になるかと思います。これは1つの見方としては正解でしょうし、我々も実は事前には、まさか20人も集まるとは夢にも思っていませんでした。 (^^; そういう視点で見るならば“成功”というレッテルを貼る事には異論はありません。

 ところがこの見方には、まあ間違いなくその比較対象になった大都市圏の方々から異論が出るのではないでしょうか。だって「大都市圏の大会は福井ほど頑張らなかった。」と言われたのと同じ訳ですから。あと基本的には同程度の賞品を受け取っておきながら、20人しか集められなかったイベントの主催者が150名以上集めたイベント主催者よりも優位性を主張する。だったら大都市圏の主催者から「来年以降は賞品を完全に地域の人口で比例分配して下さい。」という主張が当然出てくるだろうと思います。そうなれば来年以降の地方のイベント規模が大幅に縮小される可能性すらあり、果たして今年ほどの動員を来年以降稼げるのか、かなり疑問視される事態に陥るのです。福井以外の地方県の担当者にとっては大迷惑ですよね(笑)。つまりこの理論を地方の主催者が自ら持ち出すのは、自分で自分の首を絞める自殺行為以外の何物でもなかったりするのです。 (^^; ただし繰り返しになりますが、こういう視点で見た時に福井県のイベントが一定の成果を挙げた、この事は私も認めていいと思います。

 じゃあ、私個人はこの件に関してどういう見方をしているのか。日本の Magic が以前に比べて低迷傾向にある。これにもはや異論を唱える方はいませんよね。少なくとも代理店があれだけ大幅に売り上げを減らし、それこそ Magic を発売した初年度よりも売り上げを落としている。これを“ Magic の衰退”以外の要因で説明するのは不可能なのです。今回福井の大会が単位人口当たりで見て“大都市並かそれよりちょっと上”の動員を稼いだ。これは事実なのでしょう。しかし、もし福井の Magic 市場が大都市圏での衰退傾向に反して現状維持、あるいは逆に伸びているとすれば、単位人口当たりで見た福井の参加者は大都市圏よりも大幅に多いはずなのです。でも現実はそうならなかった。そして大都市圏で Magic は確実に衰退している。つまり今回の結果は「福井の Magic も大都市圏と同様に衰退している」事の証明にしかなっていないのです。その衰退の進み方が大都市圏よりもちょっと遅いのかも知れませんが。

 あと、都道府県単位で見た参加者数で“20”というのは、恐らくは最下位に近い数字ですよね。その地域の担当者が早々に「このイベントは成功した」と宣言してしまう。そうなると果たしてこのイベント全体の振り返りって行われるのでしょうか。現実には参加者が60名とか70名いた地域ですら、参加者の中から「もうちょっと来ると思ったのに・・・」という反応があるのです。これは選手権の担当者にしても同じでしょう。その振り返りとか反省をしようとしていた矢先に、動員数で最下位争いをした地域から「うちは大成功だ!」というコメントが早々に出てしまう。はっきり言って私がどこかの担当者だったら「・・・はぁ?」という感じでしょう。 (^^; これじゃあ今回の結果を振り返って、次回以降動員を更に増やすための考察とか対策なんて実施されないでしょう。それでなくとも我々 Magic プレイヤーは、既に過去に幾度となく、WoCやHJから「 Magic を盛り上げるから競技イベントに協力してくれ。」という空手形を切られ続けているのですが。

 何度も言いますが、私はこの件に関しては“両論併記”でいいだろうと思っています。ただ現状ではあまりにも今回の結果に関して肯定派が多すぎて、しかもこのままですと過去の失敗がまたしても活かされずに世論誘導によって話が有耶無耶になりそうな気がしたので、あえて声を大にして&強い口調で否定意見を出してみました。ただ申し訳ないですが、過去における日本での Magic 衰退論に関しては、メーカー寄りの方々が出した楽観論よりも、私が出した悲観論の方が確実に現実になってきています。皆さんはこれからもその歴史を繰り返されるおつもりなのでしょうか。

 あとは何よりも「今回の結果を販売店やユーザーがどう見るか?」という話でしょう。福井県内でも確実に Magic 販売店は減っています。それで新たな販路を開拓するのに、未だ Magic を扱ったことがないおもちゃ屋にこの数字を見せて「どうです、福井の Magic には将来発展する可能性が大いにありますよ。是非売ってみませんか?」と言えるのかどうか、という事です。でも、さすがに“20”という数字にそれだけのパワーを求めることは不可能だと思いますが。私が最近の競技 Magic 関連で出される発表を“大本営発表”と言い切る理由はこれです。実態を伴わない作戦成功の報は、最後には国そのものを滅ぼしましたのです。(注:公開後に←の誤植を見つけましたが、なんかまほろチックで面白いのでそのままにしておきます。 (^^; )現実問題として日本の Magic は確実に売れなくなっている。何よりもこの事実に本気で向き合って欲しいものですし、もし向き合ったとすればこんなに安直に“作戦は成功”という一報は出せないと思うのですが。

あいせんの“本音の部分”

 まあ、現実には「これだけ言っても現実は何も変わらない。それは日本の Magic の低迷傾向を含めて同じである。」というのが悲しい限りですが(溜息)。

 あと1つ。今回の選手権には全国で約1800人の方々が参加されたそうです。でも確か日本国内で開催されるグランプリって、うまく行くと1000人近くとかそれを越える参加者を集めるんですよね。つまりこれだけ経費をかけてイベントをすべての都道府県に分散したのに、その結果として参加者総数は倍程度にしか増えなかった。そういう見方ができます。これは費用対効果という観点で見ると明らかに負けなんじゃないでしょうか。私がWoCの社長や監査担当だったら、来年以降こんな効率の悪いイベントに予算は出しませんけどね。 (^^; 

   

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