構築済みデッキ 
 
 

 今回は構築済みデッキのお話です。

 最近構築済みデッキってほとんど話題に登らなくなっちゃいましたね。初期の構築済みデッキにはレアカードが3枚収録されていたのですが、その当時でも構築済みデッキは決してデュエリストが無条件に飛びつけるような魅力のある商品ではなかったようです。1つのエキスパンションが出ると4種類ほどの構築済みデッキが同時発売されるのですが、その中でデュエリストが「このデッキは買う値打ちがありそうだ」と飛び付く物は1つ位しかない。そんな感じだったようです。まあ実際には1つでもあればまだましな方だったみたいですが。

 しかもウィザーズ社は途中から、構築済みデッキに収録するレアの枚数をなぜか2枚に減らしてしまいました。それもどれを見ても人気筋のレアが無いというか「意図的に人気筋を外してるのでは?」と勘ぐりたくなるような内容になっています。おかげで最近は構築済みデッキの話題そのものを見かけなくなりましたし、今ですと仕入れをしているお店の方がむしろ少数派なんじゃないかって気すらします。あいせん君に言わせると「過去に発売された構築済みデッキの中で、お店が黒字を出せたのって多分第5版の物だけだろう。」だそうですので。

 ではウィザーズ社はどういう目的でこの構築済みデッキを発案し、そして今も発売を続けているのでしょうか。

 これについては色々な人にご意見を伺っている(正確にはあいせん君がやってきた意見交換を横で見ていた)のですが、多くの方が「マジック初心者がブロック構築戦用のデッキを発案する際のアイディアを提供しているのではないか。」という見方をしています。確かにそういう事なら発売される構築済みデッキに売れ筋のレアカードが入っていないのも頷けます。あ、うそですごめんなさい。構築済みデッキを初心者向けの物と考えるならば、なおさら多少オーバーパワー気味の人気カードを入れたって問題はないだろうと思いますから。しかもこのいわゆる初心者向け説には、かなり決定的な矛盾点があります。元々ウィザーズ社はエキスパンションをEXPERT(上級者向け)の商品と位置付けています。それなのにそのエキスパンションのカードだけで構成された構築済みデッキを、なぜわざわざ初心者向けにしなければいけないのかという事なのです。

 私に言わせると、ウィザーズ社って初心者向けという言葉の意味をかなり勘違いしているんですよね。今のマジックでは初心者や中級者向け=上級者やそれを目指す人は絶対に買っちゃいけない物という図式になってしまっているのです。でもウィザーズ社は今ほぼすべてのデュエリストを競技プレイヤーにしたい、要するにウィザーズ社の言う上級者にステップアップさせたいんですよね。それなのに初心者や中級者に買わせようとする商品が、なぜか上級者になったときに何の役にも立たない。これはやっぱり変なのです。だから中級者はおろか初心者すら構築済みデッキを買わない。これって普通に考えれば当たり前ですよね。これは前に書いた基本セットについても同じ事が言えるかな。

 そこで「じゃあ皆さんはどういう構築済みデッキが理想だと思いますか?」という質問をすると、実に様々なご意見が出てきます。今よりも更にパワーダウンして値段を下げる。逆にある程度有益なレアを入れて値段を上げる。あともうちょっとデッキとしての機能を高める。その他いろいろあります。ただそういうご意見を下さる皆さんがほぼ共通しておっしゃるのは今まで通りの構築済みデッキなら無くした方がいいという事です。だってデュエリストから見ると魅力に欠け、お店が仕入れれば売れ残って赤字の元になる。そんなウィザーズ社や問屋さんにしかメリットがない商品は誰もいらないでしょう。

 構築済みデッキの問題って、考えれば考えるほど基本セットで起こっている事と根っこは同じなのかなという気がします。だとすると、この問題を解決するのはもの凄く難しいという事が言えるかも知れませんね。マジックが今のように競技志向で走り続けるならば、いっそのこと初心者や中級者向けの商品は無くしちゃってもいいのではないか。そんな乱暴なアイディアすら出てくるかも知れません。でもマジックというTCGが今のような方針で成功を目指すのであれば、いっそそういう方針を打ち出して「それでもマジックをやりたい人だけ着いてこい!」でもいいのかも知れません。少なくともそうすれば売る側も買う側も「今自分が何を買えば(売れば)いいのか?」を迷うことはなくなりますから。

 という事で、次回のテーマはマジックの競技化(仮題)にしたいと思います。最後までお読みいただきありがとうございました。

     

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