マジックのお店が○○なわけ 
 
 

 今回はでは、なぜマジックのお店は○○なのか?というお話です。この○○の中には色々なキーワードが入る気がします。元気がない、魅力のあるものが少ない、廃業するところが多い、そして何よりもマジックを好きで商売をしてると思えるところが少ないという感じでしょうか。

 マジックのお店って、そもそも売り手がプロじゃないケースが多い気がします。言ってしまうとホビージャパンの口車に乗せられて、あるいは雑誌か何かで見てあまり何も考えずに流行り物(!?)に手を出しちゃった。そんな印象が強いです。あとあいせん君によると、ホビージャパンの出版物を有利に仕入れるために、書店がマジック販売店になるケースも以前はかなりあったそうです。売り手がマジックについて事前に多少の知識があれば、少なくとも定価売りのフレッシュパック売りにくい商品であるということは分かりそうな気がします。でも世の中には相変わらず、定価売りで堂々と「うちはマジック売ってます!」という顔をしてるお店って日本には多いんですよね。あ、そういえばポストホビーの直営店って今でもそうなんでしたっけ。また日本のマジックって売り手がマジックを好きで売ってるわけじゃないという印象も受けます。でもマジックくらい売るのに手間がかかる遊びってあまりない気もします。それを単に定価で店頭に並べただけでお店は儲かったりしないでしょう。

 あと日本で頑張ってマジックを売ってるお店には競技指向の強いお店が結構あります。そういうお店って商品を売り込む際に必要となる、お客さんを巻き込んだ楽しい商売ができてるんでしょうか。言い方を変えるとお客さんにマジックの楽しさをちゃんとPRできてるのかということです。デュエルルームは常に競技指向が強い常連客で固められ、開くイベントはすべてスタンダードなりリミテッドの公認トーナメント。そういうお店の様子を見せながら「マジックは初心者にもお勧めですよ。」と言っても多分説得力はないですよ。というか、多分そういうお店って常連の中に「初心者や小中学生は別の店に行ってくれ!」「いや、そもそも邪魔だからマジックなんか始めるんじゃねえ!」という気運すらありそうです。ひょっとするとお店のスタッフ自身もそういう発想かもしれません。これじゃあお店としてニューカマーさんは獲得できないでしょう。しかも昔からのお客さんは競技指向に疲れてどんどんマジックをやめていく。これじゃあマジックが衰退傾向に陥るのは無理もないんです。

 では、なぜそうなっちゃったんでしょうか。私は以前あいせん君に、ホビージャパンがマジック販売店に配布してる、マジック販売に関する説明資料を見せてもらったことがあります。これにはマジックに関する美辞麗句がずらりと並べられてるんですけど、でも「じゃあどうすれば自分もマジック稼業で成功できるのか?」といった内容はほとんど触れられてませんでした。つまりお店にこれだけ難しい商品を扱わせるのに、代理店が小売店を満足に指導してないんです。それって代理店失格ですよね。最近は証券会社や銀行ですら、資産運用の際に生じるリスクについて顧客に十分な説明をすることが義務づけられてます。そういう中で代理店が小売店を指導せず、とにかく小売店にマジックを置かせる、要するに代理店や問屋の在庫をさばくことしか頭にない。これじゃあ日本のマジックがこうなっちゃったのは当然でしょう。

 さらにここにホビージャパン自身の商売のやり方が追い打ちをかけてる気もします。パックは500円で直営店はすべて定価売り。プレミアイベントや渋谷のセンターには高い参加費や利用料をかける。競技マジック以外のユーザーサポートは一切しない。そういう売り方でマジックが成功例になってるとお店が思い込めば、そのやり方を真似するのはおそらく当然の発想です。じゃあうちも定価売りでいこう。デュエルルームやイベントの利用料は高めにしてやろう。競技マジック以外のイベントなんか考えなくてもいいや。そうなっちゃうんです。実際にはホビージャパンのやり方って全然成功例なんかじゃなかったんですが、でもそれに気が付いたのはお店が経営に行き詰まる直前辺り。そんな感じじゃないでしょうか。

 という事で、次回からは2回にわたって私なりに考えた改善に向けての提案を書いてみたいと思います。最後までお読みいただきありがとうございました。

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