お店が生き残るために 
 
 

 今回は日本のマジックショップが生き残るためにというお話です。

 少し前から私が考えてるアイディアがあります。それは簡単に言うとマジック販売店が競技プレイヤーと契約を結ぶというものです。

 例えばこんな感じです。マジックでは年に3つ〜4つのカードセットが発売されます。このうち独立型エキスパンションには大体300種類以上のカードが収録されてます。レアだけでも100種類以上になります。これだけのカードを競技プレイヤーが毎回自分で揃えるのは大変だろうと思うんです。そこでお店との契約を結びます。お店は契約を結んだプレイヤーに、新製品のコンプリートセットを販売します。実際の値段は熟慮する必要があるんですけど、仮にレアが100枚のセットですべてのカードを4枚ずつ揃えたセットを15万円程度としましょうか。(これは1枚ずつのコンプリートセットを4万円と考え、4セットをお買い上げいただくということで値引きをして決めた数字です。)この位の値段なら自分でカードを揃える手間を考えれば「買ってもいいかな?」という感じになると思うんです。もっと安くできるんでしたらもちろんその方がいいですけど。

 そうするとお店には大量のコモンやアンコモン、ひょっとすると基本地形も残るかもしれません。それを今度は初心者向けに格安にセット販売するんです。元々コンプリートセットの販売で開封したパック分の元が取れれば、この余剰カードはかなり格安で売れるはずです。またお店にドラフト用のカードセットを常備することもできるでしょう。コモンやアンコモンは本物のカードを使い、レアはカラーコピーなどで作った代理カードでもよい気がします。こうすることで初心者が感じるマジックへの敷居を少しでも低くし、また競技プレイヤーの活動が初心者にも直接的な恩恵を与える形にするんです。あ、ただしその場合は販売するカードが間違いなく英語版になるでしょうから、英語版への抵抗感をいかにして和らげるかもポイントになりますね。

 さらにパック販売についても報奨制度を導入します。例えば「DCIのポイントが1700以上の人は全品5%引き、1800以上の人は全品10%引きにします。」といった感じです。ただし当然ですが一見さんまでも割引の対象にするわけじゃなくて、お店と契約して僕はこのお店の常連ですよという形で名前を使わせてくれることを承諾したプレイヤーにのみ割引を適用します。そしてその契約プレイヤーについては、例えば半年に1度くらい初心者育成のためのイベントへの参加を義務づけます。この際お弁当くらいは出してあげればいいと思うんですけど、でもマジックに志を持つプレイヤーなら自ら進んで手弁当で馳せ参じると思うんですけどね。またこの報奨制度を更に飛躍させることもできます。例えば日本選手権での戦績に応じてパックをプレゼントする。プレミアイベントの本戦出場が決まったら渡航費の一部を助成する。そんな感じです。ただしこの契約はそのプレイヤーがお店である一定以上の買い物をしてくれる限り有効とします。あとそのプレイヤーがプレミアイベントなどで失格処分を受けたり、その違反行為で公認トーナメントへの出場権が停止した場合などには無条件に終了します。そんな方を優遇してもお店にはよいことはないでしょう。

 あとこれはあいせん君も過去にやってたんですけど、お店で独自に構築済みデッキを販売するという手があります。特にそういった強いプレイヤーが手がけたものなら間違いなく人気が出ると思います。デッキ構築力やカード資産に乏しいデュエリストが手軽に強いデッキを手にできる。そうなればマジックに対する入れ込み方もかなり変わると思います。ただしその場合でも「デッキの回し方や改造方法は自分で編み出してね。」とある意味でデュエリストを突き放すことが大事です。デッキレシピを公開して改造デッキコンテストなんかを企画してもいいかもしれません。

 …とまあ、こういったお話は今となってはかなり夢物語な感じもします。それでは今度はもうちょっと現実的なお話をしましょう。例えばデュエルルームやイベントの利用についてです。少なくとも最近のマジックプレイヤーの多くが並行輸入の英語版を買ってる以上、お店がデュエリストに対して無条件にデュエルルームやイベントを解放するのは時勢に合わない気がします。でもあまり高額な負担を求めたのでは、いよいよデュエリスト達はそのお店に寄りつかなくなってしまうでしょう。例えばそういうものをチケット制で運用することは考えるべきかもしれません。1パックでも買ってくれたらその月はデュエルルームの利用ができる。イベントは参加費の設定は多少高めだけどパックを一定数買ってくれたら無料で参加できる。そんな感じです。せっかくお店がそういうユーザーサポートを持ち出しでやるのなら、それをお店の売り上げに結びつけないと問題がある気がします。それでなくても日本のデュエリストの素行には問題がありそうですし。

 あとこれもあいせん君がやってたんですけど、お店がマジックコレクターのコレクションをサポートするということです。コレクター情報をお客さんに流し、そのカードを引き当てたお客さんがいたら一旦店員が回収してコレクターに渡す。そういう形でトレードを活性化させるわけです。でもこれって今となっては実現できそうにないですね。そもそもマジックコレクターなんて今の日本のマジックに生き残ってるのかしら。そんな印象すらありますから。

 でも、そういうお店単位での販促には間違いなく限界があります。遊戯王OCGがなぜ成功したかといえば、間違いなくその知名度の高さに理由があります。日本のマジックはやたら競技イベントに力を入れてますけど、でもそれ以外の販促はほとんどやってません。特に知名度アップのための施策を全くと言っていいほどしてない。これじゃあお店がいくら頑張ってもなかなかお客さんは増えないです。そうやってやる気のあるお店ですら経営が行き詰まり、泣く泣くマジックの世界からリムーブせざるをえなかった。そういうケースを私もいくつか伺ってます。本当にもったいないですよね。

 という事で、次回のテーマはウィザーズ社やホビージャパンが取るべきショップ支援策にしたいと思います。最後までお読みいただきありがとうございました。

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