10周年記念イベント編 
 
 

あいせん:あいこ先生、ちょっとよろしいでしょうか。」
あ い こ :あ、はい、いいですよ。というか、そろそろお声がかかる頃だと思ってましたから(笑)。」
あいせん:やはり読まれてたか。 (^^; という事で、例の第零部の2回目です。まあ言うまでもないけど、今回のテーマは“あれ”だ。」
あ い こ :11日の某発表会のお話ですね。」
あいせん:あんまり情報がなかったらやめようかと思ってたんだけど、某ネット店員さんのサイトがかなり詳細な情報を出してくれたからね。」
あ い こ :でも勝手に取り上げちゃっていいんですか?」
あいせん:いいのいいの。うちも以前そこの店長さんの日記で話題にされてるからお互い様(爆)。」
 
 
あいせん:まあ内容に関する詳細を突っ込んでも仕方ないと思うんだ。実際“マジックの売り上げの推移”といった、本来うちが取り上げたいような情報は出てきてないし。」
あ い こ :確かにそうですね。」
あいせん:で、あれを読んで気になった点が1つあるんだ。具体的に言うと“プロモカードに対する各社の姿勢の違い”なんだけど。」
あ い こ :確かに。立場によって随分と考え方が違うんだなあ、という気がしました。」
あいせん:今回は久しぶりに表でも挿入してまとめてみようか。」


マジック・プロモカードに対する各サイドの姿勢と思惑(推測)
組織基本姿勢その理由や背景
ウィザーズ社プロモカードは出す気はない。
現状のFoilやプレリイベント時に配布するプロモカードがそもそも話題になっておらず、発行による効果が疑問視される。(競技偏重によるコレクション市場の崩壊が要因か!?)
日本市場に欧米にはない人気カードを配って、日本人デュエリストが欧米人デュエリストから搾取するような事態は避けたい。
そもそも競技指向で売っているマジックにプロモカードは要らない。
国産TCG(モンコレやアクエリ)の失敗を繰り返したくない。(これについては“口実”という見方もできる。)
ホビージャパンプロモカードは発行したい。
日本でのマジックのブーム化が諦めきれない。
日本語版を買ってくれる競技指向にないデュエリストを増やしたい。
GAMEぎゃざの付録化による販売部数アップ、あるいは自社主催イベントで賞品にして集客力アップを狙いたい。
他の国産TCGよりもサービスやサポートが劣っているという汚名を少しでも返上したい。(それも自社の経費をかけずに《笑・・・えない》。)
問屋プロモカードは発行させたい。
キャンペーンの実施により販売店からの購入量アップが期待できる。
自分達は米国市場よりも高いカードで商売をさせられているのだから、せめてその位のサポートはしてくれないと困る。
他に有効なアイディアがあれば実行してもらいたいが、ウィザーズやホビージャパンにそれが期待できるとは思えない。
小売店プロモカードには必ずしも拘らない。
確かにキャンペーン実施は魅力だが、モンコレやアクエリのようにプロモカードが理由でゲームをやめちゃう人が現れても困る。(乱発されるくらいならむしろ要らない。)
キャンペーンをやっていない時の売り上げが無いのでは結局商売としてはやっていけない。


あいせん:…とまあ、おおよそこんな感じかな。」
あ い こ :あの〜、すいません。某レポートに書かれていない内容が随分と追加されてるんですけど(笑)。」
あいせん:ああ、そりゃそうだよ。表題にも書いたとおり、この内容は僕自身の推察や推測がかなり含まれているからね。」
あ い こ :でも実際には『ああ、確かにそうかも。』と思える内容になってますよね。」
あいせん:この話って、実は日本のマジックがどう扱われ、どう売られてきたのかを象徴的に現していると思うんだ。そして同時に“なぜ失敗したのか”も現してる。」
あ い こ :どういうことですか?」
あいせん:そもそも日本のマジックを競技指向に牽引したのは多分ウィザーズなんだよ。そして日本でのマジックの値段を決めたのもウィザーズなんだ。要するにそういうユーザー層に買ってもらえればウィザーズは満足だったんだ。ひょっとすると米国から安いカードが輸入されちゃうかもしれないけど、でも結果的にマジックは売れるんだからそれでもいい。そういう半ば確信犯的に今の仕組みを決めたと思われる。」
あ い こ :でもホビージャパンはマジックを若年齢層でブーム化して大きな利益を出そうと考えた。しかし値段や売り方はウィザーズからの制約を強く受けてるので、それ以外の部分でブーム化を図った。」
あいせん:でもそんなのうまく行くわけないよね。1パック500円のマジックを競技指向の強いデッキが作れるほど買える小中学生なんてほとんどいないと思うぞ。」
あ い こ :で、その狭間で問屋や販売店が被害を被って、相当な数が潰れちゃった。残ったお店の多くも今や主力は並行輸入の英語版になっちゃってる。」
あいせん:そんな感じかな。だからこうなっちゃった。案外話としては単純な気がするね。」
あ い こ :でもそうなると、今後どうすればいいんでしょうか。」
あいせん:今回のレポートを読む限り、日本のマジック市場には売り手に共通認識がないよね。ウィザーズだけは相変わらず今の仕組みを維持して、競技指向でマジックを成功させたいと思ってる。しかしホビージャパン以下の販売サイドは『冗談じゃねえよ!』と思ってる。ただそのやり方についてはホビージャパンの方針が必ずしも支持されていないんだけど、実際には誰も新たな方向性を示せていない。」
あ い こ :確かに、このまま競技指向を発展させたら、いよいよ日本語版なんか売れなくなっちゃいますよね。というか、ひょっとするとホビージャパン経由のマジック流通そのものが不要になっちゃいますよ。」
あいせん:実際もう不要なのでは?(爆)」
あ い こ :それを言っちゃうとお話が終わっちゃうじゃないですか! (^^;」
あいせん:そもそも日本でのマジック販売を今の価格設定で認めさせてしまった。その時点で“日本のマジックは負けた”んだよ。元々勝てる見込みのない戦いを6年も続けてきて、これからも続けようとしている。そんな気がするね。」
あ い こ :あんまり悲観的になるようなこと言わないでくださいよ…と言いたいところなんですけど、確かに現状を見るとそう思えちゃいますよね。」
あいせん:あと、やっぱりいろいろと突っ込み所があるんだよなあ、今回のレポートって。」
あ い こ :例えば?」
あいせん:10周年のメガイベントで“カードミュージアム”をやるそうなんだ。過去に発行されたマジックのカードをすべて展示するらしいんだけど、そもそもこの企画って意味があるの?」
あ い こ :でもあいせん君だって見てみたいでしょう?」
あいせん:もちろん僕個人はぜひとも見てみたいさ。でも最近ウィザーズは“ここ1〜2年の間に発行されたカード”しか遊ばせようとしてないんだよ。エクテンを入れたってせいぜい5年前までのカードなんだ。それなのに今さらヴィンテージのカードをデュエリストに見せて、ウィザーズは我々に一体何をさせたいのかね?」
あ い こ :『ああ、やっぱり昔のカードのイラストは良かったなあ。』と思い出に浸らせたい(笑)。」
あいせん:それはないだろう。 (^^; 大体その頃のカードを見て懐かしもうなんてデュエリストが、日本のマジック界にどの位生き残ってるのかね。」
あ い こ :確かにそう言われると、この企画って昨今のマジックの販売方針とは必ずしも合致した物にはなってないですよね。」
あいせん:あとはやはり“店頭ディスプレイコンテスト”かな。」
あ い こ :これって他の国産TCGでも既にやってるんですよね。」
あいせん:うん、メーカーが自社製品を多く仕入れさせようとするときによくやる手さ。まあ今回は多分“一番多く日本語版を仕入れて店頭に積み上げたお店が優勝”なんだろうけど(爆)。」
あ い こ :本当、あいせん君にかかると夢もへったくれもなくなっちゃいますよね。」
あいせん:でも多分多くの販売店がそう考えると思うよ。その位ホビージャパンはお店に信用されてないと思うから。」
あ い こ :でも…やっぱり頭から否定できないんですよね。何しろ過去のいきさつがいきさつですから。」
あいせん:さてと、一応内容の考察というか突っ込みはこんな感じなんだけど。」
あ い こ :じゃあ率直に聞きたいんですけど、あいせん君はこれを読んで日本のマジックの将来に希望は持てたんでしょうか?」
あいせん:う〜ん、正直言って『やっぱりダメかなあ。』という印象が強いね。」
あ い こ :なんで?」
あいせん:そもそも根本的な話として、日本で6年間も商売を続けてるのに、未だにウィザーズは日本の市場が分かってないじゃん。例えば意見交換の場で出た“キャラクタライゼーション”の件にしても、日本で若年齢層相手に商売をするのにこれの必要性が分かってない。そんなの変だって。」
あ い こ :それは確かにありますね。実際日本ではあのマクドナルドにしても、子供に人気のある有名キャラクタを商品に組み入れて販促を展開してるくらいなんですから。」
あいせん:要するにやっぱりウィザーズは“日本の市場なんかどうでもいい”と思ってるんじゃないの。口先だけならいくらでも『大事に思ってますよ。』とか言えるけど、でも日本でのマーケティング・リサーチをしていないという時点で重要視してるとは到底思えないね。実際にそれを実感できる事例もほとんどないしさ。」
あ い こ :ウィザーズ社は横浜での世界選手権の開催をあげてるみたいですが。」
あいせん:ああ、あれは米国の方が Pok?mon 人気で沸きかえっちゃって、米国で開いても話題になりそうもなかったので日本に持ってきただけです(笑)。米国のバイヤーが日本のポケモンTCGのカードを欲しがったというのもありそうだけど。」
あ い こ :ああ、なんだ、そうだったんだ。 (^^; まあ実際にマーケティング・リサーチをしちゃったら、間違いなく“現状のマジックの値段は高い”という結論になるでしょうから、やりたくてもできないのかもしれませんね。」
あいせん:それもありそうだなあ。まあそろそろ日本人もウィザーズに対して具体的な行動を起こすべきだろうな。本当に日本でのマジックを成功させたいなら、それこそ一時期な不買運動くらい起こしたって構わないはずなんだし。」
あ い こ :あんまり不穏な言動は控えてくださいね。一応ここは私のコーナーなんですから。 (^^;」
あいせん:でも結果的にお客さんに商品を買ってもらえなくなって潰れていったお店や問屋なんて、この世にはごまんと転がってるんだよ。そういう厳しさをウィザーズやホビージャパンも認識するべきだと思うけどね。」
あ い こ :確かに『ウィザーズはマジックに夢を持てなくてやめていったデュエリストや、志半ばで潰れた販売店の痛みをもっと知ってください。』というのは言いたいです。今回の発表会の内容を見ていると、ウィザーズやホビージャパンがそういう過去の失敗を反省してるとは到底思えないんですけど。」


     

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