日本のマジックってどうなっちゃうの?編 
 
 

 こん○○は、あいこです。

 実はあいせん君が風邪でダウンしちゃいまして、なんとか仕事には行ってるんですがあまり夜遅くまで起きてられない状態になっちゃいました。(今週末のフリースペースには這ってでも行くと言ってますが。)それで掲示板にご報告したマジックの売り上げに関する統計結果についてエッセイを書こうとしたんですけど無理みたいなんで、代わりに私が書くことになりました。

 それであいせん君が病床(!?)で「この項目についてあいこ先生の意見を書いてみてください。」というメモを作ってくれたんで、今回はその形でエッセイを書いてみたいと思います。


 統計の詳細な内容が分からないんであれなんですけど、でも順位だけを見ると「順調に下がってますね。」という印象があります。しかも2002年10月のランキングを見ると、他の月と比べてもそんなにビッグタイトルが多かったわけでもなさそうです。そもそもおもちゃ業界って10月辺りはクリスマス商戦に向けてパワーを温存する時期なんだそうです。その時期に新製品、しかも年に1度の独立型エキスパンションでランキングに入れなかった。これはかなり重傷だという気がします。あるブロックの独立型エキスパンションの売り上げって、多分その後の2つの拡張エキスパンションの売り上げにも影響するでしょうから。
 これについては今までにも書いてきましたけど、要は「競技への偏重で疲弊したデュエリストの忍耐が、ここにきてついに限界に達した。」ということなんじゃないでしょうか。実はここに来て遊戯王OCGの流通システムが改善されるそうです。TVゲームみたいに月曜日発注の木曜日着みたいなきめ細やかな流通システムを目指すんだそうです。あとプレイステーション2は実質的に値下げをするそうです。いわゆる勝ち組の皆さんがそういう努力をたゆまなくしてるのに、勢いが衰えて負け組になりつつあるマジックが相変わらず何もしない。そういうウィザーズ社やホビージャパンの怠慢さや傲慢さが今の結果を生んでる気はしますね。
 このご意見について、私はある意味では合ってるけどある意味では間違ってると思います。正確に言うと「適正化というのは当たってる気がするけど、精鋭化というのはどうかなあ?」という感じです。

 多分今のようなマジックの売られ方ですと、これだけ多くの人がマジックを遊ぶことはシステム的に耐えられない気がするんです。米国よりも高いマジックを、米国よりも劣るサービスやサポートで遊ぶ。そういうのって本当にマジックが好きか、あるいは明確な形での見返りがないとできないと思うんです。そういう意味で今のマジック人口はちょっとバブル期にある気がします。ですからそれが適正な人口になることは、今後日本のマジックが長く遊ばれ続けるためには案外歓迎されるのかもしれません。

 でも、はっきり言って今マジックに残ってるデュエリストの大半は、おそらくは競技指向の強いプレイヤーでしょう。そういう方々が果たしてニューカマーさんの獲得やマジックそのものの発展にコミットされてるかというと、どうも私にはそうは思えないんです。自分以外のデュエリストをすべてライバルだと認識してる人だけがマジックに残ってる。そういう人って初心者育成なんて面倒だからしたくないでしょうし、そもそも自分以外のデュエリストがいなくなれば賞金や賞品を独占できるという発想すら持っていそうな気がします。それじゃあマジックには未来がないですよね。こういうのを精鋭化とは多分呼ばないでしょう。

 マジック人口を今よりも増やして賑やかにしたいなら、まず何よりもそれだけのマジック人口を養えるくらいマジックの社会基盤を充実させないと無理だと思います。それこそ囲碁や将棋並の環境を整えてほしいですね。でもそういう部分に一切着手せずに、ただ口先だけで「日本市場は大事デ〜ス!」とか言ったって、多分今のマジックの衰退傾向は止められないと思いますよ。やっぱり先日の日本語版プロモーショナルカードのキャンペーンなんかを見て、「もうウィザーズには期待できんな。」と言ってマジックに見切りを付けた方が多かったんでしょうか。

 実を言うと私は「このまま成り行きに任せればいい。」と思ってたりします。

 前にあいせん君が書いて、その時は「ちょっとこれはどうかなあ?」と思った意見があります。それは「一度日本のマジックは衰退して初期状態に戻ればいい。」というものです。競技デッキの情報どころか日本語版すらない。そういう中で日本のマジックは、ウィザーズ社に日本語版発売を決意させるだけの勢いと活気を獲得しました。もう一度そういう状態に戻ればいい。そうすれば今までの失敗は二度と繰り返さないだろうから、今度こそ日本のマジックは成功できる。そういう内容です。でも今になってみると、もう日本のマジックってこの方法でしか活路が見出せないんじゃないかという気がするんです。

 今のマジックって本当にマジックが好きで遊びたい人にあまり遊ばれてない気がします。対戦相手に勝って優越感を得たい。楽して強くなりたい。賞金が欲しい。有名になりたい。そして今さら他の遊びに移るのが面倒。そういう人達が今はマジックの主流になっちゃってる気がするんです。でも、そういう人達が初心者を育てるでしょうか。値段が高くてもいいから近所でいつもお世話になってるお店でパックを買うでしょうか。自分でデッキを作るでしょうか。手弁当でイベントを開いたりするでしょうか。多分しないですよね。そもそもそういう人達が本当にマジックが好きかどうかすら疑われる気がします。しかし昔のデュエリストの多くはそれをやってたんです。それは本当にマジックが好きで、1人でも多くマジック仲間を増やしたかったからです。マジックが再起するために本当に必要なものって、そういう心の底からマジックが好きな人なんじゃないでしょうか。

 でもそういう人が今のマジックにはいなくなってる。それは今のマジックの仕組みや雰囲気がそうさせてるんです。だったら心底マジックが好きな人をマジックの世界に呼び戻したければ、今の仕組みや雰囲気を変えるしかないんですよ。でもウィザーズ社もホビージャパンもそれをやる気がない。しかも競技マジックの世界には相変わらず「平家(=競技プレイヤー)にあらずば人(=デュエリスト)にあらず。」的な思想が残ってる。だったらこのまま時の流れに任せちゃって、一度マジックという遊びをリセットしちゃうしかないと思うんです。それで例えばホビージャパンがマジックから手を引いた。あるいは日本語版が消えて日本での競技イベントが縮小したとしたら、きっと今までなりを潜めてた、自分が昔好きで好きでたまらなかったマジックが忘れられなかった元デュエリスト達が「さあ俺達の出番だ。昔のマジックを取り戻すぞ!」と各地で決起してくれるでしょう。そういうところまで一度落ちないとマジックは立ち直れない。私はそんな気がするんです。

 多分私のこの意見って、色んな方から反感を買う内容なんでしょうね。でも実際に日本のマジックはどんどんカードが売れなくなってる。少なくともそういう事実をそろそろ日本のデュエリスト全員が認識すべきだと思います。マジック日本選手権の賞金が5万ドルになるという発表に付随して「その正確な金額は、その国での DCI公認トーナメント活動のレベル、DCI に登録したプレーヤーの人数、Magic: The Gathering 全体の実績などにしたがって決定される。」という内容があるんです。日本のマジック市場がどんどん縮小してる。それは競技プレイヤーの皆さんにとっても決して他人事なんかじゃないんですよ。もうそろそろ本気で焦ってもいいと私は思います。今となってはむしろ遅きに失したと思われるくらいなんですから。


 …ええっと、ここまで書いたところであいせん君が何かメモに書いたみたいなんで、その内容をそのまま載せますね。


 来年マジックは“10周年”という節目の年を迎えます。確かに来年はその関連イベントで一時的に日本の Magic も盛り上がるでしょう。でも本当に問題なのはその翌年以降です。日本語版発売10周年は2006年(4月)のはずですから、その間の2年間日本の Magic は大きな話題やイベントがないまま過ごさなければいけなくなります。しかも10周年記念イベントの賑やかさは、間違いなくその翌年に反動をもたらします。「去年はあんなに賑やかだったのに、今年の Magic には話題がないなあ。」という状況に間違いなくなるのです。それは横浜での世界選手権を経験したデュエリストなら想像が付くでしょう。

 そこで日本の Magic が持ちこたえられなければ、はっきり言って日本語版発売10周年は来ないのです。これは例えば日本選手権の賞金総額にしても同じです。来年WoCが賞金を減らすことはまずないと思います。しかし再来年はどうなるか分かりません。例えば日本でのDCI公認トーナメントの総数や参加者数、あるいはHJ経由のマジック売上額が去年の半分とかいう状況になれば、さすがにWoCだって考えるでしょう。でも今までみたいに、だからといって競技イベントだけしかやらないのでは、結局日本の Magic は間違いなく滅びます。実際だからこうなっちゃったわけですし。そろそろ本気で「どうやったら日本の Magic 人口そのものが増えるのか?」を考え、そのアイディアを実行すべき時が来ているのです。そうしなければ日本の競技マジックは成功しない、それどころかその存在そのものが危うくなるのです。


 …それにしても、あいせん君の字って汚くて読みにくいんですよね(笑)。まあだから昔からワープロやパソコンを使ってるらしいんですけど。なにしろのし紙までワープロで印刷してたくらいで、それ専用のフォーマットを用意してあったそうですから。まったく風邪で咳き込んでるんだから大人しく寝てればいいのに。…え、なんですか。「インターネットのWebサイトが手書き文書を載せる方式だったら、僕のサイトを読みに来る人は今の1/10以下になってるだろうな。」ですって。まったくですよ。

 ということで、あとはこれを読んだ皆さんに考えていただきたいと思います。そろそろあいせん君がお腹をすかしてるのでお粥でも作ってあげないと。 (^^; 

     
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