あいせん：	「	ただいま〜。」
あ い こ ：	「	（…どたどたどた）」
あいせん：	「	なに、なんか血相変えて飛んできて。僕が帰ってきたときに出迎えてくれるなんて珍しいのでは（笑）。」
あ い こ ：	「	…（黙って何かがプリントされた紙を差し出す）」
あいせん：	「	なにこれ…ああ、以前に公開された『マジックのカードが変わるかも』って話題の画像ですか…あれ、それにしてはちょっと違うような。」
あ い こ ：	「	…（相変わらず無言）」
あいせん：	「	え!?、第８版以降のカードデザインが変更！。しかもこれが決定稿だって？」
あ い こ ：	「	そのようですよ。一応ウィザーズ社からの公式な発表みたいですし。」
あいせん：	「	それで慌ててたのか。じゃあ取りあえず部屋に入ってお話ししましょう。玄関で立ち話は寒いです。 (^^;」
あいせん：	「	…この新デザイン、結構いい感じなんじゃないの？」
あ い こ ：	「	え!?、そうなんですか。正直言ってかなり意外な意見なんですけど。」
あいせん：	「	カードの内容が初心者にも分かりやすく改訂されてるし、何よりもイラストが大きくなってるのがいいんじゃないかと思う。ただそれに見合うだけの魅力あるイラストが今後出てくるかどうかは疑問だけど。 (^^;」
あ い こ ：	「	私はてっきりあいせん君のことだから、バッサリと『こんなのダメだ！』と切り捨てるかと思いました。」
あいせん：	「	そんなことはないです。２０００年３月頃に公開された“あれ”はダメダメだったけど、このデザインはいいと思うよ。むしろ個人的には『なんで最初からこのデザインで出さなかったのかなあ？』と思えるくらいいいです。ただし日本の国産ＴＣＧに似たデザインがないのかちょっと不安だけど（笑）。」
あ い こ ：	「	でも、なんでウィザーズ社はこの時期にカードデザインの変更に踏み切ったんでしょうか？」
あいせん：	「	カード印刷の技術が色々と進んで、より高度なカードデザインが印刷できるようになったから。僕は単純にそう考えてます。あとはやはり“マジック１０周年”という節目の年というのも大きいと思うし。」
あ い こ ：	「	このデザイン変更って、今後のマジックにはどう影響するんでしょうか？」
あいせん：	「	トーナメント指向の人間は、この手の変更は多分意に介さないだろうな。だからほとんど影響はない。終わり。」
あ い こ ：	「	随分あっさりとした意見ですね（じと目）。」
あいせん：	「	はっきり言っちゃうけど、この手のデザイン変更で文句を言ってマジックから遠のくような人達は、多分ずっと前に別の理由でマジックはやめちゃってますって（笑）。今までのカードイラストの質の低下に我慢できてるはずもないだろうし、競技指向しかない今のマジックにも嫌気がさしてると思うよ。」
あ い こ ：	「	つまり今みたいな状況になってしまえば影響はない…それってあんまり喜べないお話ですよね。」
あいせん：	「	ただこういうデザイン変更をしてまでウィザーズは基本セットを買わせようとしている。誰に？。それは多分マジックのニューカマーや初心者だろうな。つまりそれだけウィザーズの台所事情も逼迫していて、競技イベントだけで浮かれ気分で１０周年を迎えるわけにも行かなくなっている。多分そういうことです。」
あ い こ ：	「	でもマジックを“きれいなカード”として売ろうと思ったら、カードデザイン変更以前にやって欲しいことがありますよね。」
あいせん：	「	ああ、それは間違いないな。最初の方でもちょっと言ったけど、これでカードイラストが相変わらずダメなんじゃあお話にならないって。しかもイラストが大きくなった分、イラストの成否がカード全体のイメージを決めちゃうし。」
あ い こ ：	「	そうなんですよね。」
あいせん：	「	あ、さっき『カードデザインの変更による影響はほとんどない。』って言ったけど、ただしそれは今というか今後１〜２年ほどの間のお話ね。」
あ い こ ：	「	どういうことですか？」
あいせん：	「	これでマジックでも将来、アクエリみたいな大規模なフォーマット変更がなされる可能性が出てきた。そういうことです。」
あ い こ ：	「	あ、言われてみればそうですね。それこそアクエリのＳａｇａI／ＳａｇａIIみたいな。」
あいせん：	「	今後発売されるエキスパンションのカードデザインがどうなるか次第だけど、ひょっとすると２〜３年後くらいに『今後スタンダードの公認トーナメントでは新デザインのカードしか使えません。』とか言い出すかもね。」
あ い こ ：	「	それありそうで嫌ですね。そうなると昔からのデュエリストはいよいよマジックからいなくなりそう。」
あいせん：	「	僕に言わせると、むしろ今回の件はそういう方面での影響の方が大きいと思うよ。デザインが好きか嫌いかなんて目先のことにはあまり拘らない方がいいかも。特に競技マジックに関わる人達は尚更かな。」
あ い こ ：	「	確かに影響としてはそっちの方が比較にならないくらい大きいですね。」
あいせん：	「	あと個人的な希望を言うと、ぜひとも新デザインで Aysen Crusader のプロモを出してくれないかなあ（笑）。それが出るならそれこそフライデー・ナイトマジックでもアリーナリーグでも喜んで馳せ参じるんだけど。」
あ い こ ：	「	でもカードデザインが変わることで、逆に昔のカードの復刻はやりやすくなりましたよね。例えばパワーナインといった人気がある絶版カードにしてもそうですけど。」
あいせん：	「	ただそれでも新しいカードデザインを嫌うデュエリストは間違いなく現れると思うんだ。そういう人達用にそれこそ“昔のカードしか使えない”フォーマットを用意してあげるという配慮は欲しいかも。」
あ い こ ：	「	その辺ウィザーズ社はどう考えてるんでしょうか？」
あいせん：	「	あ、その方針そのものはもう既に見えてるよ。『新しいカードをどんどん買え。カードを買い続けないデュエリストなど我々は認めない。』そういうことでしょう。だからこのままバッサリ切り捨てられる可能性はかなり高いと思うけど。」
あ い こ ：	「	そんな実も蓋もない…」
あいせん：	「	でもウィザーズがそういうことを言っていられなくなる場面が今後やってくる。僕はそう見てます。ちょうどそれについて僕のエッセイが書き上がってるんでこの後公開するけど、そんなリセット呪文がそう何度も使えるはずがないって。だからいずれウィザーズは昔のデュエリストやコレクター達に『どうかマジックをお救い下さい！』と泣きつく場面が出てくると思う。だったらその前にちゃんとそういう人達が喜ぶ施策もやっておけ。要はそういうことです。」
あ い こ ：	「	なるほどねえ…あ、ちなみに私は今回のデザイン変更ってあまり好意的には思ってないです。それこそ昔からのファンを切り捨てようとしてるみたいで。ただしどうしてもカードデザインを変更しなければいけないやむを得ない理由があるとしたら、１０周年というこの時期を選んだことは認めますけど。」
あいせん：	「	まあそういう意見は少なくないと思うよ。むしろ僕が新しいカードデザインを諸手をあげて賞賛してる方が、うちの読者から見ればまか不思議な現象じゃないかと思うし（笑）。」