レギオンのお話編 
 
 

あ い こ :ちょっと質問。」
あいせん:なんでしょうか?」
あ い こ :あいせん君ってエッセイとか書くのにどのくらい時間かけてるの?」
あいせん:なんでまた急にそんなことを。 (^^;」
あ い こ :だって昨日公開したあれ(注:1月24日付けのエッセイのこと。本当は書いて公開したのは23日です。)って、会社から帰ってきて2時間ほどで一気に書き上げてるじゃないですか。そうかと思うとうんうん唸って筆が全然進んでいない時もあるし。」
あいせん:ああ、少なくとも昨日のあれは書くのに述べ1週間ほどかかってますよ。」
あ い こ :でも私には下書きゼロから出発して一気に書き上げたようにしか見えませんでしたけど。」
あいせん:あの内容は半分くらい、過去に書いてボツ稿にした内容のリメイクなんだって。でも頭の中には一度書いた原稿はおおむね残ってるから、再度書こうと思えばあのくらいのスピードで書けます。」
あ い こ :じゃあ筆が進んだり進まなかったりするのは?」
あいせん:それは本当にちょっとしたことなんだって。どうまとめるかが思いつかない。ある事象を言い表す一言が思いつかない。あと意外に多いのがタイトルが思いつかないってパターンかな。でも昨日のあれは事前にパーツが全部揃ってたから話は早かった。」
あ い こ :今度私にも教えて下さいよ。そういうネタ貯金のコツとか。」
あいせん:こういうのって別に身につけようと思って身につけたスキルじゃないから、コツを人に教えようと思っても無理ですよ(笑)。」
あ い こ :あ、それでなんですけど、例のレギオンのリストが出たんで…」
あいせん:おお、まさかあいこ先生の方からお誘いがあるとは思いませんでした。僕の方はいいですよ。」
 
 
あ い こ :それにしても…一体ウィザーズ社は何を考えてるんでしょうか?」
あいせん:オール・クリーチャーカードのエキスパンションなんてそれこそ史上初だから、皆さん相当慌てふためいてるみたいですねえ。」
あ い こ :あいせん君はレギオンの狙いって何だと思いますか?」
あいせん:今回はあえて好意的な見方をしてみようか。コンボデッキが好きでクリーチャーをあまり使わないデュエリストは、今回のレギオンは買わなくてもいいです。次のスカージに期待して下さい。そういうことじゃないでしょうか。」
あ い こ :え!?、じゃあ次のスカージはクリーチャーカード無しになるんですか?」
あいせん:バランス的に言うとそうなる可能性は高いね。」
あ い こ :でもそれじゃあ遊びにくいでしょう。」
あいせん:いや、これが限定戦を考えるとそうでもないんだって。まずオンスロートをドラフトしてデッキの基本方針が決まる。次にレギオンをドラフトして主戦力となるクリーチャーを獲得する。最後にスカージをドラフトして自分のデッキ強化や他のプレイヤーのデッキ対策を図る。そういう流れが自然に作れるんだ。この流れはシールド戦にしても同じかな。」
あ い こ :あ、言われてみれば…今ちょっと鱗から目が落ちました。 (^^;」
あいせん:それどういうボケだよ(笑)。まあいいや。つまりオンスロート・サイクルそのものが、ほぼ完全に限定戦に特化したカードセットになろうとしている。そういう見方はできるかな。」
あ い こ :構築戦は全然見てないんですか?」
あいせん:言い方が悪いかもしれないけど、こうなってしまえば構築戦なんて放っておいても皆やるでしょう。特に競技プレイヤーはね。とにかく今はマジックの売り上げや市場規模を取り戻したいから、今回はよりカードが売れそうな限定戦を主力に据えよう。そういうことではないでしょうか。」
あ い こ :クリーチャー戦への特化で初心者にとってはマジックが分かりやすくなるけど、中・上級者から見ると間違いなく物足りなさを感じる。ただウィザーズ社は自社というかマジックというTCGの生き残りのためには、限定戦をメインにして初心者獲得に動いた方が得策だと考えた。そういうことなんでしょうか?」
あいせん:そういう見方もありますね。」
あ い こ :それって確かに欧米では有効な施策かもしれませんけど、でも日本では…」
あいせん:そういう危惧は持たれても仕方ないと思うよ。そもそも日本では限定戦そのものの普及率が低いからね。まあその理由は今更言う必要もないと思うけど。」
あ い こ :例えば今後、オンスロート/レギオン/スカージのパックを使ったシールドとかドラフトが『これ面白いぞ!』とか言われて世界的に盛り上がるとしますよね。でも米国の人が定価売りでも10ドル足らず、日本円に換算すると今なら1200円足らずかな。その位で遊べるのに、これが日本だと1500円ですよ。しかも実勢価格で言うと米国は間違いなく1000円を切ってますから。」
あいせん:つまりますます並行輸入のパック、そしてそれを扱うお店が珍重される。まさに今の日本のマジックにとっては逆風だろうな。」
あ い こ :ホビージャパンだって日本語版拡販のために限定戦は推進したいと思ってるはずなんですよ。でも今は限定戦が流行れば流行るほど自社ルートのカードが売れなくなっちゃいますから。」
あいせん:こういう状況1つ見ても、結局ウィザーズが欧米の市場しか見てないのは明らかだと思うよ。」
あ い こ :本当困ったもんですねえ。」
あいせん:ちょっと思ったんだけど、実はレギオンって“マジック入門用カードセット”としては案外使いやすいカードセットなんじゃないだろうか。ただこれを入門用にしちゃうとマジックを遊ぶ上で必要な“基本”が全部は覚えられないという問題はあるけど(笑)。あとそもそも『なんでエキスパート扱いのエキスパンションを初心者向けに作る必要があるのか?』という話もあるし。」
あ い こ :それは感じますね。以前からマジックでは『基本セットとエキスパンションの役割分担がうまく機能してないんじゃないか?』と言われてますけど、これを見るとますますそういう印象を持っちゃいます。というか、いよいよ基本セットは買う必要がなくなっちゃいますよ。」
あいせん:今回の件がマジックにとってそれこそ“改革”になるのなら、それはそれでいいと思うんだ。競技以外のマジックも遊ばれて人口が増える。昔並あるいはそれを上回る熱狂やトレンドの風がマジックに吹き込む。そうなるならそれで構わないよ。ただ実際には我々は今回の件に“奇抜”あるいは“奇策”という印象しか抱けていない。だからこれだけ不安になっている。そういうことだと思うよ。」
あ い こ :あ、私はそれより更に印象が悪いですね。それこそ言い方が悪いんですけど『旧来のデュエリストをバカにしすぎてる』という感じです。少なくともこういうエキスパンションを『待ってました!』と諸手をあげて歓迎するデュエリストはいないと思うんです。もうちょっとそういう人達への配慮が欲しかったです。」
あいせん:ただはっきり言っちゃうけど、これだけ限定戦に特化したエキスパンションは、少なくとも日本じゃ本気で売れないぞ。これで更にマジック販売から手を引くお店が続出しそうだね。」
あ い こ :本当、ここ最近マジックの明るい話題って本気で聞いてない気がするんですけど。」
あいせん:まったくだな。それでなくても日本のマジックは売り上げが落ちてるという客観的な統計データが出てるのに、その失敗した販促を更に押し進めて自ら泥沼の中に進み出てる感じだよ。」


     

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