“茶呪文”の恐怖!?編 
 
 

あ い こ :かたかたかた…(ネット巡回中)」
あいせん:Zzz...(昼寝中)」
あ い こ :…ねえねえ、これちょっといいですか。(ゆさゆさ)」
あいせん:…は、はい。なんでしょうか。 (-o-)ゞ」
あ い こ :この“茶呪文”のお話なんですけど。」
あいせん:…は!?、“ちゃじゅもん”って何よ? (^^; 」
あ い こ :なんでもミラディンに入る新しいカードタイプの噂なんですが。」
あいせん:どれどれ…ふ〜ん、これはひどいなあ。」
あ い こ :ひどい…ですか。」
あいせん:うん、もしこれが本当にミラディンに入るとしたら、かなり『ひどい』話だと思うよ。」
 
 
あいせん:“茶呪文”のお話をする前に、まずその前提となるマジックというゲームの根本的なお話をしましょう。今のマジックにいわゆる“色”は何色ありますか?」
あ い こ :ええっと、某カードゲームみたいに黄色は入ってないので5色だと思います。一時期4色になりかけましたけど(笑)。」
あいせん:ああ、そうだったねえ。 (^^; じゃあいわゆる基本地形といわれる土地から出るマナは何種類でしょうか?」
あ い こ :基本地形から出るマナは1種類につき1つ。基本地形は全部で5種類だから出るマナは5種類。そんなの当たり前じゃないですか。まさか『いや、冠雪地形があるから…』とか言わないでしょうね。」
あいせん:それはないです。 (^^; その答えで正解だと思います。そしてそれ故マジックというゲーム、特に2色以上を使ったデッキには“土地事故”が付き物になる。」
あ い こ :そうですよね。それ故皆さん土地の枚数とかバランスに気を配り、デッキのテストプレーを重ねてチューンナップをするわけですから。」
あいせん:そういうことです。じゃあ、なぜ皆さんそこまで苦労して多色のデッキを作るんだろうか?」
あ い こ :色にはそれぞれ特色があって、それぞれに得手/不得手がありますよね。だから2つ以上の色を使うことでお互いの短所を補い、同時に長所を活かそうとするんだと思います。あとカードのコンボの問題もありますし、マルチカラーなカードもありますから。」
あいせん:その通りだと思います。ところが今回の“茶呪文”って、そういうマジックのゲームとしての前提をことごとくひっくり返しちゃうんだ。」
あ い こ :どういうことですか?」
あいせん:例えば“茶呪文”の中にエンチャントを壊せる物が入ったとしようか。たとえそれが4マナとか5マナのコストを持っていたとしても、これがデッキで使えるようになるのは画期的なことなんだ。特に黒や赤にとってはね。」
あ い こ :確かにそうですよね。今まで何とか苦労して多色にしないとできなかったことが、“茶呪文”の登場で単色でもできるようになるんですものね。」
あいせん:だって昔はたった1個のエンチャントを壊すために、4マナ+タップインのネビ板を使ってリセットかけてたんだよ(笑)。緑にしたって昔は3マナでエンチャントを全部リセットするか、6マナもかけて壊してたんだ。それが5マナ程度でエンチャント1個を狙って壊せるとしたら、明らかにオーバーパワーだろう。」
あ い こ :そういう見方もあるんですね。」
あいせん:あとそもそもマジックには色の特性があって、それゆえ多色デッキにも需要があったんだ。しかもマジックはその特性を活かすべく、あえて『土地事故を起こす可能性がある』というデメリットをもゲーム内に取り込んだ。ところがそういう特性がこの“茶呪文”のおかげで一気に吹き飛んじゃう。黒だろうが赤だろうがすべてのパーマネントを破壊できる。でも黒や赤って本来、エンチャントを破壊できないことと引き替えに強力なクリーチャーや火力を手にしてきた色なんじゃないの。」
あ い こ :あとそれって逆も言えますよね。緑が実戦的なクリーチャー破壊呪文を手にしちゃうとか。緑って飛行を持ってない代わりに優秀な地上クリーチャーを得てきたわけじゃないですか。それが飛行クリーチャーを簡単に落とせるようになったら、それこそパワーバランスが取れなくなっちゃいますよ。」
あいせん:そうなったらマジックに色という概念そのものが必要なくなっちゃうよ。それでなくても最近のマジックは、デッキ構築の簡素化を狙ってか色ごとの個性がどんどん失われつつあるんだし。」
あ い こ :そういえば最近のマジックって土地事故の話題があまり見られなくなりましたよね。」
あいせん:それだけそういうパーツが増えた、そういうことなんでしょう。そこに加えて色の特性を一気に失わせる“茶呪文”の登場。一体ウィザーズはマジックをどういう方法に持っていきたいんだろう。」
あ い こ :やっぱりルールやデッキ構築を簡素化させて子供達に遊ばせたい。本音はそこなんでしょうか。」
あいせん:そんな気はするね。第8版のカードイラストが一部公開されたけど、それと今回の動きは不思議なほどマッチしてる。少なくとも“茶呪文”や新しいカードイラストは、昔ながらのマジックが好きなデュエリスト向けじゃない気がする。」
 
 
あ い こ :で、実際に“茶呪文”が登場したら、マジックはどうなっちゃうんでしょうか?」
あいせん:今僕が考えてるのは、まさに“最悪のシナリオ”なんだけど。」
あ い こ :どういうシナリオですか?」
あいせん:うん、要するに実際に登場した“茶呪文”はコストが重くて競技デッキには入らない。だからカード市場には“茶呪文”のカードが余ってミラディンはそれ程売れない。そしてマジックを低年齢デュエリスト向けにというウィザーズの目論見も失敗する。結局マンガやアニメのない販促では彼らはマジックに手を出さないだろうから。ところが“茶呪文”の登場やマジックの幼稚化で、マジックに愛想を尽かした古参デュエリストが更に大量にマジックから離反する。つまりマジックはいよいよ賞金目当ての競技プレイヤー以外が全く遊ばないカードゲームと化す。」
あ い こ :…それって最悪じゃないですか(笑)。」
あいせん:でも既にマジックはそういうゲームになりつつあるけどね。この前の第8版リストの騒ぎを見ても分かると思うけど、ゲームなんて自分が好きだと思うからこそ遊べる物なんだって。黒い人や赤い人は、自分が好きな色が白や緑に比べて色々な制約を受けていて、しかしそれを補って余りある魅力的なカードに恵まれている。だからその色に傾倒できると思うんだ。」
あ い こ :でも“茶呪文”が入っちゃうと、いよいよ色の個性が失われちゃいますよね。逆にそれこそ黒並の強力クリーチャーを白に入れちゃってもよくなるでしょうし。なんか第8版で白はアーティファクトを壊せなくなるみたいですから。」
あいせん:それも変な話なんだけどね。そもそも Divine Offering と Crumble というカードを比べてみると分かるけど、少なくともアーティファクトを壊すのは明らかに白の仕事だったんだ。それが第8版ではどういう訳か緑の仕事になった。それも“色の役割見直し”とかいうよく分からない理由でね。」
あ い こ :そうなると、前にあいせん君が掲示板に書いたお話が現実になってくるんじゃないですか。『ウィザーズ社はカードテキストの使い回しを始めた。』というあれですよ。」
あいせん:確かにこうなると、例えば青の軽量飛行クリーチャーを白で出せるし、白のエンチャント除去やアーティファクト除去を緑で出せるでしょう。しかもそういうカードはおおむねあって困らない便利なカードなので、デュエリストがそれに異議を唱える可能性は薄そうだし。」
あ い こ :これからマジックに入ってくるデュエリストは楽ができそうですけど、今までマジックを遊んできたデュエリストには違和感が強いでしょうね。」
あいせん:しかも『楽ができる』ことと『ゲームが面白い』ことは別問題だからなあ。」
あ い こ :本当思うんですけど、これだけマジックを昔とは異質なゲームにしちゃうなら、いっそのことデュエル・マスターズを全世界で展開した方がいいような気がするんですけど。」
あいせん:噂によると、もう最近のマジックにはリチャード・ガーフィールド氏はほとんど関与していないらしいんだ。『ウィザーズから追い出された。』なんて話もあるくらいだし。だからマジックというゲーム本来の姿を誰も見られなくなっていて、それこそ遊戯王OCGといった最近の成功事例を必死に追いかけて子供向けの拡販を図ろうとしている。そんな印象はあるな。」
あ い こ :エキスパンションごとの収録カード比率の変更とかも、見方によっては低年齢層が買いやすくしたと受け取れますね。」
あいせん:それ自体は良いことだとは思うんだよ。小さなお友達が買いやすいということは、イコール“大きなお友達”も買いやすいということだから(笑)。でもそういう良い話題を遙かに越える数の悪い話題が今のマジックにはあるからね。しかも結局のところは“ウィザーズ自身の収益確保と延命”しか見ていなさそうっぽいし。」
あ い こ :ただ見てると、やっぱり最近のマジックって一部の古参デュエリストには評判が悪いじゃないですか。しかも昔はそういう不評を口にするデュエリストは少数派だと思われましたけど、最近はどうもそうでもなさそうですし。そうなるとマジックは古参デュエリストへの更なる拡販は諦めて、それこそ子供向けに売ってブーム化するしか生き残る術がないんじゃないでしょうか。」
あいせん:それは言えてるかもしれない。ただし“今までのような商売のやり方では”という条件付きだけど。」
あ い こ :どういうことでしょう?」
あいせん:要するに絶版カードを再編集して、独立したカードゲームとして発売すればいいんだよ。それこそ DarkMagic のコーナーで書いたようなカードセットを出すとか。そうすれば少なくとも昔のカードが好きだったデュエリストがマジックに残る理由付けはできる。」
あ い こ :でもそうすると後々まで収益を確保することが難しくなりませんか?」
あいせん:そういうデュエリスト向けに有料のイベントを定例化させるとか、やり方はいくらでもあるよ。あとそういうカードセットを買ってマジックを遊ぶデュエリストに、何らかの動機付けを持たせて最新のカードを買わせればいいわけだし。例えばカードイラストが昔よりも綺麗だとか、デッキに使って面白そうなカードがあるとか。」
あ い こ :それって確かに理想論ではあるんですけど、そもそも今のマジックにそれができていれば、こうはなっていないわけで。 (^^;」
あいせん:それは言うな(笑)。ただ絶版カードセットでユーザー数の母体を増やして一時的にせよ収益を上げれば、そこからウィザーズが新しいアイディアや販促を実現する力にはなるでしょう。今はそういう余力がないから、こういう小手先の細工でごまかそうとしていると思われるわけだから。巷ではマジックに人をつなぎ止めるためにアプレンティス32とかマジック・オンラインを活用しようなんて意見もあるんだけど、これじゃあいくらその試みが成功しても販売店には1円たりとも売り上げは入ってこないもん。それに比べると僕の意見は遙かに現実的だと思うんだけどなあ。」
あ い こ :いずれにせよ、本当に発売されたら色々と物議を醸しそうですね、“茶呪文”って。」
あいせん:そうだなあ。僕としては今回の話がデマであることを切に祈るばかりだな。」


     

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