マジック10周年イベントへの通信簿編 
 
 

あいせん:さて、今回はこんなテーマでお話をしてみたいと思います。」
あ い こ :なんか随分とあっさりした立ち上がりですね。こういう時って大抵本編がとんでもない展開になったりするんですけど(じと目)。」
あいせん:いや、必要以上に批判めいたことを言う気はないです。 (^^; ただ“マジックの10周年を祝う”というイベントの趣旨から見て、今回のイベントが及第点を取れているかどうかを検証しようと思ってるだけです。」
あ い こ :分かりました。それではよろしくお願いします。」

○ 全体を見て

あ い こ :やはりメインイベントがグランプリというのは、1999年の世界選手権に比べると寂しい印象はありますね。」
あいせん:期間も3日間しかないし、全体として内容が小振りな印象になるのはやむを得ないかな。ただ逆に言うとグランプリなら一般の参加者も参加できる、そういう見方もあります。ブロック構築戦ということでスタンダードに比べれば敷居も比較的低めでしょう。」
あ い こ :前から言ってましたけど、結局のところ“従来からの競技イベントの寄せ集め”でしかないんですよね。一部新しい企画はありますけど、それ程メインになりそうな物でもないですし。しかもホビージャパン主催でバイヤーさんが来ないというだけで、一般参加者の参加意欲は半減しそうですし。」
あいせん:それは間違いないと思います。なんかホビージャパンは『この日を迎えられたのは俺達のおかげだ、感謝しろ!』とでも言いたいのだろうか。でも日本のマジックを本当に支えてきたのは、様々な苦境にもめげずにマジックを売り続けてきたお店やバイヤーさんの功績が大きいと思うんだけど。」
あ い こ :そういう人達への感謝企画というか恩返し的な要素が全くないのは、さすがに問題な気がします。」

○ 競技イベント各種

あ い こ :グランプリ横浜の参加者は多分とんでもないことになるんでしょうけど、その他のイベントは参加者が確保できるかちょっと不安な要素もありますね。」
あいせん:特に心配なのはジュニア日本選手権かな。それこそ“小中学生選抜・関東マジック選手権”にならなきゃいいけど。」
あ い こ :でもその不安はかなりありますね。それとアマチュアオープントーナメントとか、表彰の中身が公開されていないイベントもかなりありますよ。」
あいせん:まあそんなに大々的に出せるような大盤振る舞いはしていない。そう考えるのが自然かと思います。」
あ い こ :10周年記念という節目のイベントでこれですから、今までやってきた内容が伺い知れますけどね(溜息)。」

○ サイン会

あ い こ :来日イラストレーターは Ron Spencer 氏と Matthew D. Wilson 氏ですか・・・2人って何か淋しくないですか?」
あいせん:2人とも日本でちょっとイベントに箔を付けたいときに呼ばれる定番のイラストレーターさん、そんな感じかな。でもさすがに今回 Christopher Rush 氏とか Rebecca Guay 氏クラスを呼べていないのはちょっと頂けないかなあ。 」
あ い こ : Rebecca Guay 氏は一般のマジック販売店さんが呼んでるんですけどねえ。」
あいせん:そうなんだって。この辺にやはりホビージャパンとやる気のある販売店との差が見える気がします。」

○ マジック博物館

あ い こ :これは結局、過去に発行されたマジックのカードをすべて並べるだけなんですよね。」
あいせん:多分そうだと思います。しかもマジックの歴史上“無かったこと”になってるサマーマジックなんかは展示されないと思われますし、英語版以外の展示も無さそうかな。」
あ い こ :なんか展示としては今一つ目的がよく分からないですし、インパクトも薄いでしょうか。」
あいせん:それは言えてるかな。これだけマジックをスタンダードに偏重させておいて、今更パワーナインや黒枠のデュアルランドを見せて有り難がれって言われてもなあ。」
あ い こ :でもマジック歴がそこそこあるデュエリストでも、この企画で始めてパワーナインの実物を見る人とかもいそうですけど。」
あいせん:それはあるかな。まあ昔のマジックのカードイラストをじっくり眺めると、ここで僕がら言ってる一連の意見が少しは理解できるかも知れないし。」
あ い こ :あと最近外国のイベントでミラディンのイメージが展示されたじゃないですか。ああいう展示も来るんでしょうか。」
あいせん:その辺はかなり微妙だな。ちょっとしたマーケティング・リサーチができていれば、あの手のイラストが日本人デュエリストにはあまり受けが宜しくないことは事前に推察できそうだし。」

○ 総括

あいせん:まあ総括としては『今のマジックのパワーでは、1つの企画で100点はおろか60点を狙うことすら難しい。だから1つ20点程度なら取れそうな企画を山ほど盛り込んで、何とか全体として100点に近い企画にすべく頑張りました。』という感じでしょうか。」
あ い こ :ただそれでも企画の盛り上がりが今一つなことは、どうやら主催者側も認識はしてるみたいですね。なんかプレミアイベントの全参加者にオリジナルTシャツを配るとか言ってるみたいですし。」
あいせん:今更ながらガーフィールド氏をイベントに担ぎ出した辺り、やはりホビージャパンもウィザーズも焦ってはいるんだろうな。特にここ最近古参デュエリストのマジック離れが相当加速していると思われるし。結局のところ、古参デュエリストって日本のお店、すなわちホビージャパンからカードを買ってる良いお客さんだったんだ。ところがマジックはどういう訳かそういう人達を根こそぎ振り落としてしまった。しかも比較的最近マジックを始めた人達は近所のお店やそこの常連さんとの縁が薄いから、それこそ平気で並行輸入のパックを買っちゃう。だからどれだけイベントや競技が盛り上がろうがホビージャパンは全く潤わない。」
あ い こ :でもウィザーズ社もホビージャパンも、そこに気が付くのがちょっと遅すぎましたね。 (^^; あいせん君なんかはそれこそ数年前から既に分かってたことなんですけど。」
あいせん:というか、多くの古参デュエリストが感じてたと思うよ。『俺達をこのままマジックから振り落とすのは良しとして、それで今後もマジックの盛り上がりとか市場を維持できる自信が本当にあるんだろうな?』って。実際できなかった訳だし。」
あ い こ :で、あいせん君は今回の10周年記念イベントに何点付けますか?」
あいせん:100点満点中40点、というところでしょうか。」
あ い こ :また随分と厳しいですね。」
あいせん:少なくともマジックの日本での巻き返し、あるいは新規デュエリストの確保にほとんど効果が無さそうな時点で、むしろこういうイベントを開く意義そのものが僕には疑問です。あとウィザーズやホビージャパンは、日本のマジックを支えてきたのが競技プレイヤー、あるいは競技指向が強いデュエリストだったと本気で思ってるんだろうか。もしそうだとしたら、そんなとんちんかんな発想しかない企業はさっさと潰れちゃった方がいいよ。」
あ い こ :・・・やっぱりこういう展開になるんですね(笑)。」
あいせん:でも実際そうでしょう。少なくとも僕の周りにいる“福井のマジックを支えてきた人達”が、今回のイベントを喜んで参加を検討するとは到底思えないもん。それは多くの地方都市に住むデュエリストも理屈は同じなんじゃないかと思うよ。我々はむしろマジックの競技偏重に悩み、その弊害に苦しんできた訳だし。・・・あ、じゃあついでに聞くんだけど、あいこ先生はこのメガ・イベントについてどう思ってるのさ。」
あ い こ :今のマジックの主な購買層にはそれなりにアピールできる内容にはなってるだろうとは思います。ただやっぱりポストホビー直営店の販促を兼ねてるというか、そっちが主目的になっちゃってる印象はありますけど。」
あいせん:まあ確かに。」
あ い こ :あと今回のイベントの内容を見ると、やっぱり“ウィザーズ社がマジックをどう遊ばせたいのか”と“デュエリストがマジックをどう遊びたいのか”との間に、随分と大きな認識のズレがあると思います。そのズレが今までいろいろな形でマジックの盛り上がりを妨げてきたんですけど、今後そのズレが更に大きくなりそうな気がします。結局のところウィザーズは競技イベント以外開く気がないし、競技指向以外のデュエリストにマジック購入を動機付ける気もない。その事が今回はっきりしましたから。」
あいせん:そうなんだよなあ。これだけ日本でマジックが不振になって、ウィザーズもちょっとは反省してると思ってたのに。」
あ い こ :でも一番可愛そうなのは、やっぱりマジックを売ってるお店の人達ですよ。掲示板でも話題が出てましたけど、あの日本語ミラディンのだっさいロゴが付いた商品を販促物として渡されて売らされる。それがやっぱり日本でのマジック販売の現実なんですよ。結局のところウィザーズは“マジックが売れればいい”としか思ってなくて、デュエリストが誰からどういうルートで買おうが知ったこっちゃない。その事も今回の件ではっきりした気がしますし。」
あいせん:まあそれが現実なんだろうな。ああ、やっぱりこういう結論に至るのか・・・って、何気に言ってることはあいこ先生の方が厳しいぞ(笑)。」


     

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