Postscript 
 
 

あ い こ :(…パカパカパカパカ…)」
あいせん:…」
あ い こ :(…パカパカパカパカ…)」
あいせん:…あ、あのね…」
あ い こ :はい、なんでしょうか。」
あいせん:僕がああいうこと(=前回の Postscript 参照)を言ったからって、なにも向きになって乗馬の練習を始めることはないんじゃないの?」
あ い こ :え、止めてもだめです。『馬術』を覚えるまではやめませんから。」
あいせん:む、無理だと思うんだけどなあ。」
あ い こ :なんで?」
あいせん:だって、君“ポータル三國志”のカードじゃないじゃん。」
あ い こ :…あ、そうか… (ToT)」
あいせん:まあでも、君が変な特殊能力を持っていなかったおかげで、僕は随分と楽させてもらえてるけど。」
あ い こ :…なんかうれしくないです…あ、次のエッセイ書いたので読んで下さい。」
あいせん:いつの間に書いたんだよ、これ!? (^^;」
あ い こ :もちろん乗馬の練習しながらですよ。」
あいせん:(それってある意味凄い特殊能力かも。 (^^;;; )」
 
 
あいせん:…う〜ん…」
あ い こ :どうしました?」
あいせん:今回のは、ある意味もの凄い物議を醸しそうな内容になってるぞ。」
あ い こ :なんで?」
あいせん:要するに『今日本語版を買ってる人って無知なだけでは?』という事でしょう、これ。」
あ い こ :え!?、そういう論旨にしたつもりはないんですけど…結果的にはそうなってますね。」
あいせん:ただ自分の周囲に日本語版と並行輸入の英語版が買える環境があったとして、それでも日本語版を選んで買うデュエリストがどの位いるのか。そういう話はあると思う。実際それで日本語版を選ぶ人が減ってきたから、ホビージャパンも慌てて色々やり始めているのだろうと思うし。」
あ い こ :あ、この機会にあいせん君に聞いてみたいんだけど。」
あいせん:なに?」
あ い こ :なんであいせん君は日本語版が出るまでマジックに手を出さなかったの?」
あいせん:ああ、確かにマジックに手を出した経緯は何度か書いてるけど、でもその前のことはあまり話してないかも。」
あ い こ :そうそう。私とあいせん君が知り合う前の話だし。」
あいせん:実は日本語版の第4版が出る以前から、何度か知り合いにマジックには誘われていたんだ。特にパソコン通信で知り合った東京や大阪在住の人達は熱心だったな。そういう人達は“マジックの面白さ”を切々と語ってくれるんだけど、でも僕が突き動かされる決定打にはならなかったんだ。」
あ い こ :なんで?」
あいせん:理由は色々あるよ。まずその時は『具体的に何がどう面白いのか』がよく分からなかった。まさかマジックにあんな巨乳のお姉さんがいるとは思わなかったし、まさか自分が騎士系お姉さんにここまで耐性がない人間だとは夢にも思ってなかったもん。」
あ い こ :それ…誉めてますか?」
あいせん:え!?、あ、うん。この場はそう理解しといてよ。 (^^;;; あと当然僕にも少なからず英語アレルギーはあったし、マジックはお金がかかるという話も聞いてたから。それと当時僕が住んでいる地域にはマジックを売っている店がなかったんだ。ただ実は後で分かったんだけど、それって僕が知らなかっただけなんだけどね。既にリバイズドの頃からじっぷじっぷさんは置いていたそうなんだ。当時勤めていたアルバイトの大学生に勧められてのことらしいけど。」
あ い こ :それで?」
あいせん:そんなときに日本語版第4版が出て、それを僕が通っていたおもちゃ屋さんに置くよう知り合いが提案したんだ。」
あ い こ :それがあいせん君を落とし穴にはめた“T氏”ですね。」
あいせん:そういう事(笑)。」
あ い こ :ということは、日本語版が出なかったらあいせん君はマジックを始めていなかったかも知れないんだ。」
あいせん:そうかも知れない。当時はまだ日本人の英語アレルギーって相当な物だった。だから英語版しかないマジックを普通のおもちゃ屋が置くなんて考えられなかった。さっき言ったじっぷじっぷさんも、店員が『僕がサポートするから置かせて下さい。』と言わなきゃ置かなかっただろう。」
あ い こ :そう考えると日本語版マジックってデュエリストだけでなく、お店にマジックを置かせる動機付けとしても重要な役割を果たしたんですね。」
あいせん:それは間違いない。でも、だからこそ…」
あ い こ :だからこそ、なに?」
あいせん:そういう“日本語版ゆえの優位性”がほぼ失われた以上、今までと同じ発想の日本語版じゃ売れない。これは間違いないと思う。」
あ い こ :うん、そんな気はします。」
あいせん:あとこれは僕個人の見方だけど、実は『昔の日本語版と今の日本語版は別物だ』という考え方もある。」
あ い こ :えええっ、それどういう事ですか。だって日本語版は日本語版でしょう!」
あいせん:表向きはね。でも実はそうじゃないかも知れない。」
あ い こ :よく分からないので、私にも分かるように説明して下さいよ。」
あいせん:僕が日本語版第4版を買ってマジックを始めた頃は、僕の周囲にはDCI公認トーナメントなんて物はなかったし、デッキ情報すらほとんど無かった。だから自分が買って引き当てたりトレードしたカードがすべてだった。そこからデッキを作るしかなかったんだ。」
あ い こ :はい、それは理解できます。私もその頃の様子は見ていましたから。」
あいせん:例えば僕が毎月マジックに使える予算が2000円だったとしよう。そうすると当時のマジックは1パック460円程度だったから、大体4パック買うと終わりになる。まあスターターを買う場合もあったけどね。でもそれで間に合ったんだよ。だって周囲の人達も同じ遊び方をしてたから。」
あ い こ :…あ、でも今はそうじゃないですね。」
あいせん:うん、最近は『時代はトレイリアブルー!』『補充デッキ最強!』『カエル大暴れ!』なんて情報が簡単に手に入る。しかもそういうトーナメント指向の“強いデッキ”を持つことが、デュエリストとして当たり前のように思われつつある。そうなるように特にホビージャパンが煽ってきたからね。そうなると毎月2000円でのんびりパックを買うなんて遊び方はできなくなっているはずなんだ。そうなるとどうなるか。」
あ い こ :皆さん少しでも安いカードを求めて並行輸入に手を出すようになる。」
あいせん:そういう事。確かに僕がマジックを始めた頃ならば、日本語版1パックに460円を出すことは惜しくも何ともなかった。でも今は400円でも高い気がするよ。だってそんな物を買ったところで今の競技指向が強いマジックは渡っていけないからね。あまつさえその400円でも高いと思われる日本語版が、なぜか今は500円で売られてるんだ。そんなの誰が買うの?」
あ い こ :…確かに。」
あいせん:はっきり言っちゃうけど、僕は英語版よりも1円でも高い日本語版は買う気はない。日本語版には英語版と比べて優位性を認めてないし、しかも高い。だから買わないんだ。そして僕は他の人にも日本語版は勧めない。自分で買わない物は人にも勧めない。それが当然だと思うからね。」
あ い こ :でも、そう考えると…」
あいせん:『今日本語版を買ってる人って無知なだけでは?』という話がますます現実味を帯びてくる。」
あ い こ :そうです。少なくとも最近の日本版ユーザーがそれでも日本語版を選んでいる明確な理由が分からないですから。」
あいせん:こういう話を面と向かって人に言えば、間違いなく批判の対象になると思う。でもそういう危険性が日本のマジックにあるならば、できるだけ早く手を打たないといけないはずなんだ。」
あ い こ :というと?」
あいせん:エッセイの中にも書かれているけど、もし今の日本語版ユーザーが“現実”を知って、一気に並行輸入の英語版に流れたらどうなると思う。間違いなく日本のマジック市場そのものが崩壊するんだ。」
あ い こ :…」
あいせん:僕達は今まで、現在の日本語版ユーザーは自らの意志で、自分が日本語版ユーザーであることを選択しているのだと思ってきた。多分ウィザーズもホビージャパンもね。でももしそうじゃないとしたら、これは大変なことなんだ。」
あ い こ :でも今の日本語版ユーザーが“現実”を知るのも、そんなに先の話じゃないでしょう。」
あいせん:まあね。あまつさえホビージャパンがあれだけ競技マジックを煽ってるんだ。そのうち更に多くのデュエリストがインターネットで情報を検索し始める。そして…」
あ い こ :ここを見つける(爆)。」
あいせん:あ、いや、それはどうか分からないけど。 (^^;;; でも最近は並行輸入ショップのバナー広告があちこちに貼られてるから、それが目に留まるのは時間の問題だろうな。」
あ い こ :始めて見た人はびっくりするでしょうね。」
あいせん:うん、自分が今まで近所の店で525円で買っていた物が、なぜか300円足らずで売ってるんだもん。」
あ い こ :ねえ、こんな話をあいせん君に聞くのは変かも知れないんだけど…」
あいせん:その先を当ててみましょうか。『それでも日本語版を買ってもらう方法はないの』じゃない?」
あ い こ :そう、そうです。何かよい方法ありますか?」
あいせん:実を言うと全くないわけじゃないよ。」
あ い こ :え、どうするんですか?」
あいせん:うん、簡単に言うと“店独自で日本語版に特典を付ける”という事になる。具体的には色々あるよ。日本語版購入時にのみポイントが付くポイントカードの導入。日本語版購入者のみに参加資格があるイベントの開催。あと日本語版購入時にのみ利用できる“英語版の”割引サービスとか。」
あ い こ :…あ、最後の特典は今まで気が付かなかったです。どこかの販売店で実施された実績はあるんですか?」
あいせん:う〜ん、少なくとも僕は聞いたことがない。」
あ い こ :結構有効に機能しそうなサービスだという気がします。競技指向の強い英語版ユーザーにも利用してもらえそうですから。」
あいせん:うん、僕もそう思うよ。例えばの話『日本語版を1パックでも買ってくれれば英語版のBOXを更に値引きします』でいいんだって。このサービスでより多くのデュエリストに日本語版を手にしてもらう。それが大事。こうやって少しでも日本語版の稼働率を上げれば、日本語版のみでマジックを遊んでいるデュエリストにもトレードなどでカードが供給される可能性が増えるしね。」
あ い こ :…あいせん君、今からでも遅くないからマジック販売店に勤めたら?」
あいせん:あ、うん、そういうお誘いは受けてるよ(笑)。でも今はいろいろと事情が許さないから実現してないけどね。」


     

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