Postscript 
 
 

あいせん:(…カタカタカタ…)」
あ い こ :おや、今日も真剣に執筆活動…じゃないみたいですね。」
あいせん:うん、ちょっとFEP辞書のお掃除などを。」
あ い こ :それはまた、急にどうしたの?」
あいせん:ほら、前の移行作業の時に慌てて辞書移行したから、ゴミとか誤変換を消さずにそのまま移行しちゃってたんだよ。あれが前から気になってしょうがなかったんだ。」
あ い こ :なるほど、だから時間があるときにやっちゃおうというわけですね。」
あいせん:でもねえ、たまにこういうことやると自分に直面するよ。自分が今までやってきた事が辞書の中には凝縮されてるから。」
あ い こ :どれどれ…(単語一覧を見てる)…あ、本当だ。なんでこんな単語か?」
あいせん:あ、うん、僕も自分で自分に問いただしたい物が結構ある。 (^^;」
あ い こ :ねえ、それはそうとこの単語は消しましょうよ。見るだけでなんか腹が立ってくる。」
あいせん:ああ、それね。気持ちは分かるけどもう少しこのまま置いておこう。つい最近も掲示板で使ってるし。」
 
 
あいせん:…」
あ い こ :…」
あいせん:…おいおい、ここで終わりかよ(笑)。」
あ い こ :だってしょうがないじゃないですか。いつもならとっくに終わってる分量ですもの。」
あいせん:まあでも、確かにこういう話って書き始めると長くなるからなあ。」
あ い こ :あ、ところで本編で書いた“日本のデュエリスト130万人説”についてですけど。」
あいせん:ご希望でしたらちょっと取り上げてみますが。」
あ い こ :お願いします。」
あいせん:この数字と直接関係があるかどうか分からないんだけど、少し前にウィザーズが『世界のマジック人口は600万人だよ』という発表をしてるんだ。この話とさっきの数字を突き合わせてみると、実に驚くべき事実が浮かび上がる。」
あ い こ :ええっと…え、マジック人口の1/5が日本人なんですか!?」
あいせん:そうなるねえ。既にその時点でこの130万人という数字が眉唾物である気配が濃厚になる。」
あ い こ :でも、それを否定する情報ってさすがにあいせん君も持ってないでしょう。」
あいせん:こういう話題を話す以上、一応準備はしてありますよ。しかも今回はウィザーズ自身が公に発表してる情報でね。」
あ い こ :そうなんですか!?」
あいせん:この振り返りを収録している(!?)7月22日現在で、全世界でDCI公認の構築戦ランキングに登録されているデュエリストの総数は約10万人ちょっとなんだ。(正確には102290人でした。)じゃあそのうち日本人は何人だと思う?」
あ い こ :ええっと、さっきの比率が正しいとすれば…約2万2千人くらいいるはずですよね。」
あいせん:そうだね。でも実際には9945人しかいなかったんだ。人口比率は約9.7%というところかな。」
あ い こ :そうなんですか。それって1/10もいないじゃないですか。」
あいせん:そういうこと。しかも日本ではこれだけデュエリストにしつこく公認トーナメントへの参加を勧めてるんだ。デュエリスト全体に占めるランキング登録者数の割合が外国と比べて低いわけがない。でもここでは仮にその比率を外国と同じとしてみようか。そうすると日本人デュエリストの推定数は600万人×(9945/102290)となって、このデータからは約58万人ちょっとと試算される。」
あ い こ :じゃあ130万人という数字はどこから出てきたんですか?」
あいせん:それは僕には分かりません。でも僕は58万人でも多い気がするんだけど。」
あ い こ :というと?」
あいせん:日本のデュエリストの総数を約58万人として、それを単純に人口比率で割ってみる。そうすると人口が80万人ほどしかいない、こんなド田舎の福井県にすら約4千人近いデュエリストがいる計算になる…どこによ?(爆)」
あ い こ :もし本当にいてくれたら、あいせん君もイベントの動員なんか楽できたでしょうけど。」
あいせん:本当そう思うよ。ちなみに言うと、人口1000万人の東京都には約4万8千人もいる計算になるね。そりゃあそれだけ大勢いれば、利用料が月額5千円なんてデュエルルームでもちゃんと営業できるわけだ。」
あ い こ :…それ、私には皮肉としか聞こえないんですけど(じと目)。」
あいせん:だって実際皮肉だもん(ぉぃ)。まあ130万人の根拠として1つ考えられるのは“GAMEぎゃざの購読者数”という可能性かな。ただしあの雑誌はマジック以外のTCGプレイヤーやTRPGのプレイヤーが相当数読んでいる可能性があるんだけど。」
あ い こ :その辺の実状は分かりませんから。ホビージャパン自身も把握していない可能性すらありますし。」
あいせん:確かにそうだね。あ、ちなみにちょっと面白いというか、ある意味残念なデータがあったよ。」
あ い こ :なんですか?」
あいせん:うん、ヴィンテージの人口に関するデータなんだ。全世界でヴィンテージのランキングに登録されているのは約1万2千人だったんだけど、日本人はその中にたった121人しかいなかったんだ。人口比率は約1%かな。」
あ い こ :構築戦と比べてずいぶんと少ないですね…(計算中)…世界的にはヴィンテージプレイヤーって構築戦プレイヤーの12%以上もいるのに、それが日本ではわずか1.2%ですか。」
あいせん:あと限定戦の方も見たけど、日本人の人口比率は約6.6%(5241/79419)だった。この数字はいろいろなことを我々に語りかけている気がするよ。いかに日本のデュエリストが短命、要するに競技化によって使い捨てられているのか。そして世界的に見た日本のマジックの遊ばれ方がいかにいびつになっているか。」
あ い こ :確かにそうですね。普通に考えれば限定戦プレイヤーの人口比率も構築戦と同じくらいになるべきなんですもんね。日本ではこれだけ競技マジックがもてはやされているのに、結局のところ構築戦というかスタンダード以外ってあまり遊ばれていないんですね。ブロック構築戦ですら今ひとつ盛り上がりがよく見えないですから。」
あいせん:じゃあ例えば百歩譲ってウィザーズとホビージャパンの発表を両方信じたとしようよ。そうすると日本のマジック人口は今や全世界の1/5に達していることになる。当然市場規模はそれに比例して大きくなっているはずだから、ウィザーズからそれに見合うサービスやサポートがあってもいいよね。それと日本の競技プレイヤーは全世界で提供されている競技マジックイベントの賞金を1/5位は獲得して当たり前だと思うんだ。」
あ い こ :実際はどうなんですか?」
あいせん:うん、その辺の実態は闇の中ですな。でも2001年3月の記者発表によると、マジックイベントの賞金総額は年間約300万ドルなんだって。とすると、日本人プレイヤーはそのうち60万ドルを手にしているべきだという計算になる。今のレートで換算すると約7200万円かな。」
あ い こ :えええっ、それはムリでしょう。最近やっと日本選手権の賞金総額が5万ドル(約600万円)に上がって喜んでるところなんですから。」
あいせん:でも“日本の競技マジックを世界レベルにする”ってそういうことなんだよ。」
あ い こ :あ、そうか。」
あいせん:こういう話をすると、まあ間違いなくいろいろと反論が来るだろうね。例えば『現在プレミアイベントの多くは欧米で開催されている。だからアウェーで戦う日本人は不利だ。』とか。でもだったらなんでもっとマジックのイベントを日本に持ってこないんだろう。だって我々日本人デュエリストはウィザーズに対してそれだけの貢献をしてるんじゃないの?」
あ い こ :そうですよね。」
あいせん:130万人という数字がたとえホビージャパンが単独で出した眉唾的数字だったとしても、1度出してしまったら最後そういうのって一人歩きしちゃうんだ。だから外に向けて公言する場合は特に気を付けないといけないはずなんだけど。」
あ い こ :でもホビージャパンがそういう数字を出したがる心情は理解できますよ。前にあいせん君も言ってたじゃないですか。『一度勢いが衰えたと世間に認知された遊びの没落は早い』って。今はマジックそのものが飽きられ始めてるところに国産TCGの追い上げがもの凄くて、しかも今度はデュエル・マスターズがマジック日本語版の生命線となってる小中学生のTCGプレイヤーを食ってやろうと出てきた。こうなるとホビージャパンだって『どうだ!』って感じで大きな花火の1つも上げたくなりますよ。」
あいせん:それが端から見ていて華も実もある物なら文句はないんだけどねえ。」
あ い こ :あ、そういえば今回は全然エッセイの本編に触れてないじゃないですか。何とかしてください。」
あいせん:『何とかしてください』って…元々この話題を振ったのは君でしょうが。僕にこういう話を振れば長くなることくらい分かってたろうに。 (^^;」
あ い こ :いや、まさかここまでディープな展開になるとは夢にも。 (^^;」
あいせん:まあいいや、じゃあ話を改めて本筋に戻そうか。日本のマジックってとにかく売り方が下手だよね。一度すべてのデュエリストが冷静に見てみるといいと思うよ。今、日本のマジックで行われている宣伝や普及活動が一般世間でどう見られているか。そういう広告やイベントを見て一般の人達がマジックに興味を持ってくれているのか。」
あ い こ :実際のところどうなんでしょう?」
あいせん:うん、少なくともファミ通辺りに載ってる広告を見ても、それでマジックに興味を持ったり始めたりする人はほとんどいないだろうな。ただしホビージャパンが関与していない世界、例えば少年ジャンプとかコロコロコミックなどではある程度成功してるみたいだよ。」
あ い こ :前に言ってましたよね。『今のマジックの広告ってマジックを知らない人達向けの物じゃなくて、既にマジックを遊んでいる人達向けの物にしかなっていない。』って。要するにそういうことなんですね。」
あいせん:そうなっちゃうだろうな。非常に残念ではあるんだけど。」
あ い こ :じゃあ聞きたいんですけど、どうすればマジックの広告って“マジックを知らない人達向けの物”になるんですか?」
あいせん:それはかなり難しい問題だね。 (^^; 結局のところ広告なんてイメージなんだ。『あの商品はおいしそうだ。』『この家電製品は便利そう。』『このゲーム面白そうだぞ。』というイメージをいかに見る側に植え付けるか、そこが大事なんだ。でも日本のマジックの広告、特にホビージャパンが出している物ってそういう部分にほとんど手間暇かけてない。だから見る側へのインパクトが薄いし効果も期待できない。そんな気はするよ。」
あ い こ :なるほどね。」
あいせん:しかもホビージャパンが出している広告の場合、とにかく『これを買ってくれ!』という意図が前面に押し出され過ぎなんだって。例のCS番組にしてもそうでしょう。僕は某サイトが掲載してくれているダイジェストしか見てないけど、あれだけ遊び心も何も無くて『カードを買え!』『この本を買え!』『イベントに来い!』じゃあ見ても面白くも何ともないって。本当あれは“ただ流してるだけで効果も何もない広告”の最たる例だよ。」
あ い こ :実際にはなかなか難しいでしょうけどね。」
あいせん:というか、そもそも“物を売るプロ”が作ってなさそうだもん。でもそういったPRを広告のプロに依頼したら、まあ間違いなく言われるだろうな。『こんな競技指向を前面に押し出したってニューカマーが来るわけないじゃないですか。なんか子供向けのイラストを使ってるカードとか遊び方って無いんですか?』ってね。」
あ い こ :日本のマジックってそういう部分をそっくりどこかに置いて来ちゃいましたからね。」
あいせん:大体あのプロモカードを日本の子供が喜ぶだろうと思っちゃってるところにそもそもムリがあるよ。今からでも遅くないからカードを差し替えるべきだと思うよ。本当にあのキャンペーンを成功させたいのであればね。」
あ い こ :ということで、今回はこの辺にしましょうか。」
あいせん:そうだね。あまりこの回でネタ撃ち尽くしちゃうと後がつらいから(ぉぃ)。」


     

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