Postscript 
 
 

あ い こ :…はあ(溜息)。」
あいせん:どうしたの。ため息なんかついて。」
あ い こ :はい、最近私のメールアドレスにもスパムメールが届くようになりまして。」
あいせん:おやまあ。」
あ い こ :私宛のメールはブラウザで読んでるんですけど、さすがに40kBを超えるサイズのメールは表示させるのが怖いので消すしかないです。ただ問題があって…」
あいせん:なに?」
あ い こ :そのスパムなメールの差出人(!?)がなんか凄いんです。」
あいせん:どれどれ…(確認中)…あ、本当だ。こんな凄いラインナップ、僕ですらもらったことないぞ(笑)。さすがにマジックのエッセイ書いてて“miyaken”さんからメールが来たら無視はできんわなあ。 (^^; あと、この“webmaster@koei.co.jp”ってなんだ(爆)。」
あ い こ :ね、ね、すごいでしょう?」
あいせん:でも最近のスパムメールって、メールのヘッダを改竄して差出人をごまかしてるそうだから、実際にはそのメアドから送信されてない場合がほとんどなんだって。」
あ い こ :そうなんですか。」
あいせん:まあ今だと『こういう内容のメールを送るので宜しく。』という事前の連絡がない大容量のメールは、開かずに削除しちゃうのが正解だろうな。多分こういうご時世だから送った方も文句は言わないだろう。」
あ い こ :そうですね。」
あいせん:あ、その“光栄”で思い出した。出ちゃうんだよ“真・三國無双2 ”の拡張セットが。」
あ い こ :そうなんですか。」
あいせん:今回は『護衛兵のエディット』とか『武将を護衛兵にできる』なんて仕掛けがあるらしい。」
あ い こ :あ、その先は言わなくても分かります。どうせあいせん君のことですから護衛兵を蛮族のアマゾネスお姉さんにしたり、チームを全部お姉さん武将にして遊ぶに決まってるんですから。」
あいせん:…なんでばれたんだろう。この前のイベント会場で話題にしたときにも速攻でネタバレしちゃったし。」
あ い こ :普通分かりますって。その位『あいせんという人間の行動パターンは単純明快だ。』ということなんです(笑)。」
あいせん:どうせ僕は単純明快な人間ですよ(泣笑)。」
 
 
あいせん:今回のエッセイについての感想だけど、一言で言うと『理想は確かにこうだけど実現は難しいだろう。』という感じかな。実際には多くのデュエリストがこういう意見を持ってるようなんだけど、でも実現はしていないから。」
あ い こ :そうなんですよね。そして現実として『絶対にムリだ』であきらめちゃってる。」
あいせん:でもこの問題って、それこそ“日本人の気質”といった部分に関わる問題なんだ。だから解決はかなり難しいと思うよ。」
あ い こ :というと?」
あいせん:ほら、日本ってゲームの攻略本がよく売れてるじゃない。最近だと人気タイトルの攻略本が書籍全体の週間セールスでベスト10とかトップに入ることすら珍しくないでしょう。」
あ い こ :そうですよね。私としては『本に頼ってゲーム遊んで面白いのかしら?』とか思っちゃうんですが。」
あいせん:日本人の全部とは言わないけど、相当な割合のゲーマーが多分“攻略本依存状態”にあるね。攻略本の情報無しではゲームが遊べない。自分でマップを書くのは面倒くさいし遠回りもしたくない。できるだけ手早く最強キャラを育てたい。まあそんな感じかな。」
あ い こ :あ、要するにマジックの遊ばれ方もそうなってる。そういうことなんですね。」
あいせん:多分その通りです。自分で試行錯誤してデッキを作るのは面倒だ。できるだけ手早く最強のデッキを手にしたい。トレードも失敗したくない。だからみんな自分でデッキを考えることをやめちゃって、どこかの誰かさんが最強のデッキを編み出すのを待ってる。そんな感じかな。」
あ い こ :しかも実際にそういうコピーデッキでそれなりに勝てちゃいますからね、最近のマジックは。」
あいせん:うん、特にスタンダードみたいな使用カードの範囲が狭いフォーマットはそうなるだろうなあ。」
あ い こ :じゃあ、それと『日本のマジックがスタンダードしか遊ばれない』ことはどう関係するんでしょう?」
あいせん:いい質問ですねえ。少なくともかつての PRG Magazine やGAMEぎゃざに載るのは、主にスタンダードのデッキなんだ。エクステンデッドのデッキですらあまり大きくは扱われないし、ましてやヴィンテージなんて話題になる機会すらほとんどない。そうなるとデュエリストが情報に依存して手軽にマジックを遊ぼうと思ったら、何よりもスタンダードに手を出すのが一番簡単なんだ。」
あ い こ :しかも作ったデッキを試す機会も多そうですしね。」
あいせん:でもこれは多くのデュエリストが感じていることだと思うけど、本来スタンダードなんて初心者がそんなに簡単に手を出せるフォーマットじゃないんだ。そのことはホビージャパンはきっちり隠蔽して情報を出してるけどね。」
あ い こ :それって一番大事な部分を隠しちゃってるじゃないですか。」
あいせん:でも日本人がマジックに対してそういう姿勢で臨む限り、多分我々がいくら『自分でデッキを作ろうよ。』とか『スタンダード以外も面白いから遊んでみてよ。』とか言っても“馬の耳に念仏”だろうな。多分『じゃあタイプワンの最強デッキを教えて下さい。タイプワンが遊べるお店を教えてくれるか僕の家の近所に作って下さい。あ、ついでに使うカードも下さい。』とか言われて終わりだろう。」
あ い こ :スタンダード以外のマジックを遊ぶ環境って、日本にはなかなかなさそうですよね。」
あいせん:それは大きいだろうな。最近のデュエリストはそういう面で苦労するのは嫌なんだろう。周囲の人達が揃ってスタンダードを遊んでるんだから、自分もそれに迎合すれば楽でいい。そういう発想の人は多いと思うよ。」
あ い こ :なんか嫌ですね、迎合主義って私きらいです。」
あいせん:でもしょうがないよ。これはそもそも日本人の気質というか民族性なんだから。日本人は人と同じじゃないと落ち着かない。でもその中で人よりちょっとだけ抜きん出ないと嫌なんだ。だから日本のデュエリストはスタンダードしか遊ばないし、しかもその中で自分が最強になろうとする。手段なんて選ばずにね。それゆえ情報に依存する。しかもできればその情報を他の人が知る前に自分が知って、さも自分がオリジナルを編み出したかのように自慢したがる。案外図式としては簡単なんだよ。」
あ い こ :その図式をうち破るのは難しそうですね。」
あいせん:そうだろうなあ。しかも今や日本のマジックって、スタンダードな競技マジックさえやっていれば“正義”を名乗れちゃうんだよ。ましてやDCI公認トーナメントなんて口実をもらえば、それこそ初心者をボコボコに叩きつぶそうがオリジナリティがゼロのデッキで参戦しようが、勝てば英雄になれるんだから。」
あ い こ :そもそもマジックが“戦績”しか見なくなったのも問題かもしれませんね。」
あいせん:でも個人のがんばりとか独創性って評価しにくいのも事実だけどね。」
あ い こ :率直に聞きたいんですけど、どうすればこういう現状を打破できるんでしょうか。」
あいせん:それは難しいだろうなあ。それこそ日本人の持つDNAレベルのお話になっちゃうから。」
あ い こ :それはそうなんですが…」
あいせん:ただ1つあるのは『そういう日本のマジックの現状をウィザーズなりホビージャパンがどう思ってるのか?』ということなんだ。僕に言わせると現状は明らかに異常だし、こんな状態が長続きするはずがない。そういう認識がちょっとでもウィザーズなりホビージャパンに芽生えてくれれば、それを改善しようという動きが起こるかもしれない。ただし過去の経緯を見る限り、少なくともそれをホビージャパンに期待するのは無理そうだけどね。」
あ い こ :でも私思うんですが、ホビージャパンはマジック日本総代理店なんですから、本来は日本人デュエリストの意見を取りまとめてウィザーズ社に提言する代弁者であるべきなんですよね。」
あいせん:そうだよ、それは間違いない。だからこそホビージャパンは日本でのマジック流通に関与できるんだし、そこから利益を得る資格があるんだと思うよ。」
あ い こ :でも今までそういうシステムが正しく機能した場面を見た記憶がないんですけど。この前の復刻版カードの件にしてもそうですけど。」
あいせん:ああ、確かにね。しかもたった5枚のカードを日本語訳しただけなのに誤訳を作り込んでるし。」
あ い こ :『ターン開始時に維持コストを払いなさい』って…土地はまだ寝たままですよ(笑)。」
あいせん:どうせなら思い切り欧米人にも分かる豪快な誤植を作り込んでくれればよかったのに。例えばアリさんの維持コストが“累加アップキープ:”とか(爆)。」
あ い こ :ああ、それなら欧米人も欲しがるかもしれません…って、そのネタあんまり笑えないです。」
あいせん:でもこのまま日本のマジックが競技一辺倒で突っ走るのは、さすがにそろそろ限界なんじゃないかなあ。既にそれで相当数のデュエリストが脱落してるし、さらに今では国内の多くの販売店が息切れ寸前だからね。ホビージャパンが本当に日本国内の販売店のことを考えるのであれば、そろそろ競技指向をあおる以外の選択肢を日本のマジックに示すべきだと思うよ。それもかつてのジャパン・クラシックみたいにウィザーズに無断でやるんじゃなくて、ちゃんとウィザーズからしかるべきお墨付きとか後援を得る形でね。下手すりゃ将来的に競技プレイヤーはみな揃ってマジック・オンラインに鞍替え、なんてことにもなりかねないんだから。」
あ い こ :でも、今さら昔のようなマジックが日本で遊ばれるようになるんでしょうか。」
あいせん:今のままじゃ無理だろうなあ。日本の競技化やスタンダードへの偏重は、すでにホビージャパン自身にもどうにもならないレベルになってるし。やはり現状の競技マジックをマジック全体から分離させて、新しいマジックの遊び方を別世界として構築するしか方法はなさそうな気がするよ。」
あ い こ :例えば以前書いた初心者向けフォーマット辺りですね。」
あいせん:うん。ただしさすがにマジックコレクターの世界に関しては、これだけ壊滅的な打撃を受けちゃうと再構築は不可能な気がするよ。特にマスカレイドサイクル以降のカードについては、コアなコレクターが登場しているという話はほとんど聞かないし。マジックのカードイラストは年を重ねるごとに相対的なクオリティが落ちてると思われるし。それこそ Amy Weber さんの復活でも嘆願するかねえ。」
あ い こ :あ、 Amy Weber さんといえば“あれ”ってどうなったんですか?」
あいせん:例の“チビ・ドラゴン”の件なら一応情報は持ってるよ。なんでもウィザーズからは既に『出せるわけねえだろう、ボケが!』という心温まる回答が出てるらしいです(爆)。その理由は前に書いたとおりで、やはり現在 Amy Weber さんのイラストはウィザーズに版権がないそうです。」
あ い こ :じゃあ、どうするんですか?」
あいせん:それに関して正式にどうするかは決まってないみたいだ…と、某消息筋の方が言ってました。多分6位のドラゴンを繰り上げ当選させるんだろうけど、でもその際にどういう言い訳をするのか。そもそも Amy Weber さんの版権の話はウィザーズが公式に発表してるわけじゃないはずなんだ。でも今回のことでその噂が裏付けられる形になっちゃったね。」
あ い こ :あ、そうだったんですか!」
あいせん:そりゃあ『うちの会社は雇っていたイラストレーターと揉めました。』なんて公言する会社は普通ないだろう。 (^^; 多分今回の件はホビージャパンが『あの投票には組織票があって…』位の発表でお茶を濁して終わりにするんじゃないの。あるいはドラゴンのサプライ品の企画そのものを無かったことにしちゃうか。」
あ い こ :なんか残念ですね。」
あいせん:うん、正直言ってチビ・ドラゴンのサプライ品を待ってた日本のデュエリストは少なくないと思うよ。しかも今回の件は明らかにホビージャパンの手落ちだから、あの人気投票の項目を決めた担当者とその上司に頭くらい丸めてもらいたいね。」
あ い こ :それで許しちゃうんですか?」
あいせん:だってしょうがないでしょう。というか、もし本当の意味で責任を取りたいというなら『嫌がる Amy Weber さんを強引に口説いてイラスト使用の許可を取りました!』くらいのことをしてほしいよ。」
あ い こ :でも、今回の件って『いかにホビージャパンが日本のマジックファン、特にマジックコレクターを粗雑に扱ってきたか。』を象徴してますよね。」
あいせん:そうだよなあ。要するにホビージャパンはそういうマジックの歴史とかファン的な要素についてほとんど勉強せずにマジックを売ってきた、ということなんだから。これじゃあGAMEぎゃざに競技マジック以外のコンテンツが無くなるのもうなづけるよ。そもそも書きたくても書けないんじゃないの。」
あ い こ :あと NeNe Thomas さんのマジック復帰は希望しないんですか?」
あいせん:そりゃあ帰ってきてくれるとうれしいけど、でも今のマジックに NeNe さんが帰ってきても、伸び伸びと仕事をさせてもらえるとは思えないもん。そんな窮屈な思いは NeNe さんにはさせたくないかな。」
あ い こ :でもそう考えると、最近のマジックでかろうじてイラストの話題性を維持させている一部のイラストレーターに対するプレッシャーはもの凄い物がありそうですね。」
あいせん:そんな気はするね。例えば Rebecca Guay さんとか。その辺の人達のイラストがダメだとエキスパンション全体がイラスト的には壊滅状態になっちゃうから。」
あ い こ :今ちょっと迷ってるんですよね。本編のエッセイでマジックコレクターについて取り上げるべきか否か。」
あいせん:う〜ん、はっきり言っちゃうけど、今そういう話題を取り上げても『昔オーストラリア大陸にはタスマニアデビルという哺乳類が住んでいました。』レベルの話にしかならない気がするよ(泣笑)。」
あ い こ :あいせん君がそう言うんですから、相当絶滅状態なんでしょうね、日本のマジックコレクターって。」
あいせん:少なくとも今でもトレードで順調にコレクションを増やしてるマジックコレクターって、日本にはもう1人たりともいないんじゃないかという気すらするよ。海外とか国内の安い通販サイトで絶版カードを買って集めてる人は、まだそれなりにいそうな気がするけど。」
あ い こ :…あ、このお話長くなりそうなんで、次の Postscript に繰り越してもよろしいでしょうか?」
あいせん:そう言ってくれるのを待ってました。危うく次回以降のネタまで撃ち尽くすところだった(爆)。」


     

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