Postscript 
 
 

あいせん:(ぽわ〜ん…ばきばき)」
あ い こ :…」
あいせん:(かき〜ん…どかどか)」
あ い こ :…最近ずっとこのゲームばかり遊んでますね。」
あいせん:え!?、ああ、DIABLOIIね。」
あ い こ :かなり前から遊んでたゲームのはずなんですけど、最近また遊ぶ時間が増えてませんか?」
あいせん:うん、新しいキャラクタを作ったからね。しかも珍しく“男(パラディン)”だし(笑)。」
あ い こ :またどういう風の吹き回しですか。しかも名前が“Naruhodo”さんって…。」
あいせん:うん、実はDIABLOIIの世界には“The Ward”という盾のユニークアイテムがあるんだ。これをクエストクリアのボーナスでパーソナライズ(キャラクタの名前を付けてオリジナルのアイテム名にする)をすると、こういうアイテムが作れるんだ。」
あ い こ :…まさか、これを作るためだけに延々と遊んでたんですか? (^^; しかも読むとかなり苦しいですし。」
あいせん:最初はこのアイテムを作ったらやめるつもりだったんだけどね。でも遊んでるうちにパラディンそのものが面白くなっちゃって。それで延々と…。」
あ い こ :でも、またなんか暑くなってきて、パソコンにとっては厳しい重労働が続きますね。」
あいせん:それは言えてるなあ。ちょっと一休みしてあいこ先生のエッセイでも読みましょうか。」
あ い こ :あ…それなんですが、実はまだ書き上がってないんです。 (^^;」
あいせん:えええっ!。だって前回の公開からもう3週間近く経ってるんだよ。」
あ い こ :そうなんですが、まだ内容がまとまらないんです。」
あいせん:まあいいや、できあがったところまで読んで一緒に続きを考えようよ。」
あ い こ :あ、はい、ぜひお願いします。」
 
 
あいせん:う〜ん、確かにこりゃあまとまらんわ(笑)。」
あ い こ :そんな、いきなりそういう出だしですか。」
あいせん:でも仕方ないかもね。結局のところ日本のマジックは“デュエリストのマジック離れ”について何らの対策も打ち出せてないんだから。」
あ い こ :今回は素直に降参しちゃいます。どうすればいいかアイディアを下さい。」
あいせん:う〜ん、それは今は僕にも打開策は無いなあ。」
あ い こ :そうなんですか!?」
あいせん:一応僕たちは“福井モデル”と呼んでもらえるようなマジックの遊び方を推進してる。競技としてスタンダード主体のマジックを極めたい人はそうすればいいし、ヴィンテージを遊びたいならそれでもいい。でもそれだったら自分で汗をかいて人を集めて、自分が信じた方向性でマジックを盛り上げなさい。そしてその試みが成功したら報酬は自分が得ればいいけど、失敗したら自分の責任だと諦めて自腹を切りなさい。そんな感じかな。」
あ い こ :ある意味で欧米的な発想なんですね。」
あいせん:そうかもね。まあ僕の方は現在イベントを某マジック販売店さん主催ということで開かせてもらってるから、万が一失敗した時にもある程度周囲から補填してもらってるけど。というか、最近はそれがないとやってられません。 (^^;」
あ い こ :掲示板にも書いてましたけど、特に公認トーナメントはあいせん君が好きでやってるわけじゃないですからね。しかも今は、イベントを開いても昔みたいに期待した通りの動員が集まるわけじゃないですし。」
あいせん:でも、そこまでやってる福井ですら、やっぱりもの凄い勢いでデュエリストがマジックから逃げ出してるよ。今やこんな田舎でだって並行輸入で安いカードが買える。スタンダードの競技マジックに加えてヴィンテージのイベントも定例化してる。しっかりとしたサポートをしてくれるマジック販売店だってある。でもダメだね。」
あ い こ :それはなぜなんですか?」
あいせん:はっきり言っちゃえば『もう今のマジックは面白くないから』の一言に尽きるかな。」
あ い こ :…なんか、開始3分で印籠を出しちゃった水戸黄門を見てるみたいです。 (ToT)」
あいせん:だって仕方ないよ。それが紛れもない真実なんだもん。」
あ い こ :じゃあ聞きますけど、具体的にどこがどう面白くないんですか?」
あいせん:だって“最も初心者向け”といわれる遊び方に最強と呼べるデッキタイプがあって、しかもそれが1〜2種類に限定されるんだよ。こんなゲームバランスのかけらもなければデッキを工夫する余地もないTCGが面白いわけないじゃん(爆)。」
あ い こ :なんか今回は、いつも以上に遠慮がないですね。」
あいせん:しかもこんな当たり前のことを理解できない人が、今や日本のデュエリストの主流派なんだよ。そんな遊びからは人が逃げ出して当然だって。」
あ い こ :でも今やマジックは“イコール競技”なんですから、最強のデッキタイプが1種類しかないのであれば、それを使って競技大会に出るのが常識なんですよね。」
あいせん:もちろんそうだよ。競技の世界ではそれが当然なんだろう。しかし普通に遊ぶ分にはこんなつまらない遊びはないぞ。しかもTCGではその最強デッキを作るために、その何十倍もの“ハズレ”を買わされる。最強デッキのパーツを引けば当たりで、それ以外は全部ハズレ。しかも当たりは全体の数パーセントあるかないか。普通こんなTCGに購買意欲は沸かないだろう。確かにこういう状況は国産TCGにも少なからずあるだろうけど、でも少なくともアクエリはメーカーが競技指向をあおってないし、コレクションが盛り上がるようにカードイラストなんかも頑張ってるもん。」
あ い こ :…つまりマジックは頑張ってないんですね。」
あいせん:はい、その通りです。 (^^; でもウィザーズは、そういう“下らないゲーム”をたくさん買い続けた人にのみ多額のご褒美を用意している。だから一部の人は今も騙されて買い続けてる。」
あ い こ :なんか内容的には実も蓋もないんですが、でも現実を見ると頭から否定できない部分も少なくない気がします。」
あいせん:試しに今のマジックから競技イベントを一切無くしてみるといいと思うよ。多分こんなゲームバランスの崩壊した遊びなんか誰も遊ばないって。ごく一部のデュエリストがヴィンテージに残ると思うけど。」
あ い こ :競技イベントに参加して“対戦相手10人が全員サイカトグ”は仕方ないと思うんです。競技マジックってそういう物ですから。でも行きつけのお店に遊びに行ってフリー対戦をしたら“対戦相手10人が全員サイカトグ”というのは、さすがに私でも萎えちゃうと思います。」
あいせん:でも少なくともホビージャパンはそういうマジックを推進してるんだよ。しかもウィザーズはウィザーズでゲームバランスの悪いカードセットを出してそういうマジックを間接的に広めようとしてる。クリーチャー戦に固執して、本来マジックが持っていた無限の可能性を自ら摘んじゃったし。」
あ い こ :ホビージャパンはともかく、さすがにウィザーズはそれを意図的にやってるわけじゃない…と信じたいんですが。」
あいせん:おっと、ちょっと最初からエッセイの主題から離れちゃったので、ここで元に戻しましょうか。今回は“デュエリストがマジックをやめるとき”だったよね。」
あ い こ :そうです。」
あいせん:マジックという遊びがこれだけの問題を抱えてる。いや、実際にはこんなの氷山の一角に過ぎないくらい色々な問題が山積みなんだ。それでも今回あいこ先生は『みなさんマジックをやめないで!』と言おうとしてるんだよ。」
あ い こ :…確かにそうですね。だから私自身答えが出せない。そういうことなんですね。」
あいせん:多分そういうことです。面白くもない遊びを『面白いからみんな遊ぼうよ!』と言うのはさすがに無理がありすぎです。だから最近僕の周囲では『GAMEぎゃざはマジック関連の記事以外は面白くてためになる。』とか言われているし(爆)。スタンダードなんて遊んで面白くもないフォーマットを面白いと騙して初心者にすら勧めてる。そんな記事が読んで面白いわけないもん。元々あそこはしっかりした内容の雑誌が出せる出版社なんだから、必要以上に商業主義に走らなければマジックでもちゃんとした物が出せるはずなんだけどね。」
あ い こ :やっぱり難しいですね。書く前から覚悟はしてたつもりなんですけど。」
あいせん:そういう意味で言うと、最近福井のマジック界は『現状のマジックから人が離れていくのは仕方がない。』という意見でほぼ意思統一されつつある気がするね。率直に言ってやめていく人を引き留める言葉が見つからない。今はそんな感じだよ。」
あ い こ :確かにそう言われると…」
あいせん:そういうデュエリストにかける上っ面の言葉なんか、考えればいくらでも出てくるだろう。でも実際問題として僕たちはマジックに“面白い遊び”という印象を抱けてるんだろうか。」
あ い こ :少なくとも競技マジックの世界で生きる人達は面白いと感じてるみたいですけど。」
あいせん:でも彼らは本当に“マジックそのもの”を楽しんでるのかね。毎年使うカードが変わりデッキが変わる。2年前のカードや知識がほとんど使えなくなる。そんな遊びを面白いと言える人は、皆無とは言わないけど多分少数派だよ。しかしマジックの世界ではなぜかそういう人達の声が大きくて、表向きそういう意見が多数派のように聞こえちゃうんだ。でも今や、そういうマジックを面白いと言って続けてる人達よりも、つまらないとやめていった人達の方が多分圧倒的多数派だと思うよ。」
あ い こ :あ、つまり今のマジックは結果的に、競技指向が強くてマジックに残った“少数派”の意見だけを聞いて仕組みができている。」
あいせん:そういうことです。だからうまくいかない。こんなの当たり前だよね。これって実は突き詰めてみると案外簡単な話なんだよ。」
あ い こ :そこまでは気が付きませんでした。」
あいせん:だから僕は前から言ってるんだけど、むしろ今ウィザーズが聞くべきは“マジックをやめていった人達の意見”なんだ。マジックという遊びが面白くて、やめていく人達がごく少数派であればともかく、少なくとも現状のマジックはやめていった人達の方が多数派であることは疑いようがない。しかも彼らの多くは“マジックをやめるべき正当な理由”を持ってやめている。だったらそういう人達の意見を聞いてその失敗を活かさないと、いよいよマジックからの人の流出が止められなくなるよ。」
あ い こ :でも、こんなの普通誰も気が付きませんよ。GAMEぎゃざとかインターネット上の様子を見て、あの競技プレイヤーの方々の意見が少数派だなんて思う人はいませんって。」
あいせん:僕だって以前の格ゲーの失敗を見てなければ気が付かなかったかも。あの世界も勝利指向が強い一部少数派の意見に偏重しすぎて失敗した業界だからね。」
あ い こ :やっぱり難しいですね、この問題は。」
あいせん:そうだね。でも別に僕は競技プレイヤーの意見を尊重しないわけじゃない。そういう意見は“競技マジックの推進のため”には間違いなく必要不可欠なんだ。ただ今はそれがすべてのマジックプレイヤーの意見を代弁する物だと思われて、その意見だけですべてのマジックの仕組みが決められてしまった。あまつさえマジックはそれで競技プレイヤー以外のデュエリストへの一切の支援をやめちゃった。問題なのはその点なんじゃないかな。」
あ い こ :それは間違いないと思います。そうでなければマジックがこれだけまか不思議な世界になるはずがないですもん。」
あいせん:最新号のGAMEぎゃざのアンケートにもあったみたいだけど、毎月1パックずつフレッシュパックを買ってマジックを楽しんでるデュエリストだって世の中にはいるんだ。それとバカみたいにカードを買って競技マジックを突き進んでる人、果たしてマジックの世界でどちらが多数派なのか。その辺はきっちり見極める必要があるよ。しかも何が問題って、今マジックの世界で“声が大きい人達”って、まあ間違いなくホビージャパン経由でカードなんか買っちゃいないんだし(爆)。」
あ い こ :あ、確かにそうですね。」
あいせん:さて、今回の振り返りはこの辺にしますか。まだ総括が残ってるし。」
あ い こ :分かりました。」


     

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