Postscript 
 
 

あ い こ :…ちょっとよろしいでしょうか。」
あいせん:なんですか、なんかあいこ先生の目がつり上がってるんですけど。 (^^;」
あ い こ :このメールなんですけど、これはなんですか?」
あいせん:え!?、それって例のアンケートの回答で寄せられたメールだけど。かなりいい内容だと思うんで、ご本人の許可を得てちょっと抜粋するね。」

 
    元々ガーフィールド氏の創作した自由かつ豊穣な想像世界であったM:tGが、商売としての一カード競技に変質してしまった以上、現状が完全にぶっこわれなければ無理かと思います。バックストーリー偏重にしても、ウルザやジェラード達には申し訳ないが彼ら一同が退場した時が脱却の絶好機でした。しかしカード競技路線を変えるつもりはないようで、カードを作りやすい(あるいは作るための)バックストーリーは残りました。世界と登場人物を取り替えただけで。今やレベッカ・グレイ氏や天使カードなどが「狙って」投入されることでコレクターは生き延びているようなもの。今やM:tGはカード名とルールテキストさえあれば絵など必要としない「変異」を遂げつつあるようです。オンラインが主流になれば、データ送受信が重くなる絵など邪魔者扱いでしょう(-_-)。「カード絵を表示しない」などという機能が付くに違いない。

  
 

あいせん:…別に内容には問題はないでしょう。というか、かなり秀逸なご意見で僕も目から黒子が落ちたよ。」
あ い こ :この前と落ちる物が変わってるんですけど。いえ、私が言ってるのはそういうことじゃなくて、そのメールのシグネイチャーです。」
あいせん:え!?、シグネイチャーって…」

 
  

Radiant, Archangel の レイ子 より 
  
 

あいせん:…これがなにか? (^^;」
あ い こ :この“レイ子”って誰なんですか!女性デュエリストのお友達がいるなら紹介してくれればいいのに(ぷんぷん)。」
あいせん:なんだ、そういうことか。 (^^; もうちょっとシグネイチャーをよく見てくださいよ。」
あ い こ :え!?…はぁ?、これって…」
あいせん:そうです、あなたと同じ“バーチャル某”さんからの投書ですよ。」
あ い こ :ああ、なんだ、そうなんだ。 (^^;」
あいせん:これで納得されましたでしょうか?」
あ い こ :つまり“ライバル出現”ということなんですね!(めらめら)」
あいせん:あああっ、あいこ先生の目から…目から…」
あ い こ :目からビ〜ム!
あいせん:なんでやねん!
あ い こ :あああっ、やっぱり私にはビ〜ムは撃てない。代わりになにか目からニョロニョロしたものが…」
あいせん:しかもそっちかい! (^^;」
 
 
あいせん:さて、今回のエッセイですが…おいおい、ここで終わりですか(笑)。」
あ い こ :だってまた導入部分が長くなっちゃったんですもの。 (^^;」
あいせん:まあいいや。ここしばらくのマジックを見ていて、このフォーマットについても色々と考えるところがあったよ。」
あ い こ :というと?」
あいせん:要するに『デュエリストがフォーマットを選ぶ基準は“どれが一番面白いのか?”ではない。』ということですよ。」
あ い こ :あ、それは何となく感じますね。」
あいせん:マジックの現状を冷静に垣間見てみると、少なくともスタンダードというフォーマットはマジックの中で最も面白いフォーマットじゃないだろう。初心者から見ると使えるカードの範囲が広すぎ。中・上級者から見ると競技イベントの影響が大きすぎ。むしろ今やマジックの中でも最もつまらないフォーマットと言い切っても言い過ぎじゃない気がするよ。」
あ い こ :でも実際にはマジックの主流は今やスタンダードになってる。つまりそれって“デュエリストが本当に面白いフォーマットを遊んでない”ということになりますよね。」
あいせん:しかもそれしか遊んでないデュエリストすら少なからずいる。そうなるとマジックという遊びが本当の意味での魅力を理解されないまま遊ばれ続けてる可能性が高いと思うんだ。」
あ い こ :でも実際にはDCIが制定した競技用フォーマット以外の遊び方ってほとんど普及してませんよね。」
あいせん:遊ぶ相手がいない。遊ぶ環境がない。イベントがない。だからいよいよ誰も始めない。だからますます遊ぶ環境が育たない。そういう悪循環に陥ってるわけだな。」
あ い こ :ちょっと思ったんですけど、本当にマジックを普及させるには本来マジックを遊ぶことに色んな選択肢があった方がよかったわけじゃないですか。でも日本のマジックって自分で競技指向以外の道をことごとく潰しちゃってますよね。それってなぜなんでしょう?」
あいせん:前にも書いたように、ホビージャパンがウィザーズから“日本でのDCI公認トーナメント開催数に関するノルマ”を課せられていたという問題がある。ホビージャパンとしては公認トーナメントの開催数を増やすために国産TCGみたいな手間や経費をかけたサポートはしたくない。でもノルマを達成しないと日本語版の独占販売が危うくなる。そこでかつての RPG Magazine やGAMEぎゃざ、あるいは傘下の有名プレイヤーの力を借りて、徹底的な競技マジックの啓蒙活動をしたわけさ。それこそ“競技プレイヤーにあらずばデュエリストにあらず”みたいな雰囲気を日本に生み出そうとした。その啓蒙活動はある意味で成功しちゃったわけだけど。」
あ い こ :それは確かに感じますね。ちょっとホビージャパン出版物の競技マジックへの執着は異常ですから。」
あいせん:GAMEぎゃざは公認トーナメントの話題しか紹介しない。有名プレイヤーも口を揃えて『競技だ!』『公認だ!』としか言わない。日本のマジック情報も競技マジックしか扱わない。そして開かれるイベントも揃いも揃って公認トーナメントばかり。これだけの悪条件が揃ってて、それでも競技フォーマット以外のマジックが遊ばれてるとしたら、それは奇跡以外の何物でもないですよ。それこそまったく世の情報を見てないか、あるいはかなり強情なへそ曲がりか、まあどちらかだろうな。」
あ い こ :つまりあいせん君は後者なんですね(笑)。」
あいせん:あ、そうでもないよ。 (^^; むしろ案外前者の方に近いかも。スタンダードのデッキ情報なんか金輪際見てないし、ましてやそんなデッキが作れるほどカード買ってないもん。まあカードがあったとしても作りたくないけどね。」
あ い こ :あ、それはあるか。」
あいせん:でもさすがに最近持ってるデッキの弱体化が目に余るんで、そろそろ久しぶりにマジックに投資しようかなあ、と思い始めてる今日この頃です。」
あ い こ :でも別にオンスロートの箱買いをするわけじゃないんでしょう?」
あいせん:必要と思えばそうするけど、でも今のところ用があるのは絶版カードばかりだからなあ。」
あ い こ :その辺のカードはトレードでは入手しにくいですからね。特に最近は。」
あいせん:それは言えてるかな。昔は絶版カードと現行スタンダードの人気カードとのトレードって結構盛んで、おかげでトレード用にヴィンテージプレイヤーもそれなりにフレッシュパックを買ってたんだ。でも今はダメだね。さすがに要求されるカードが偏りすぎてる上に、かなり無理な条件を平気で突きつけられるからお話にならない。こちらからトレードを持ちかけようものなら、それこそ勝ち誇ったように対価にトップレアの名前を連呼し始める。これじゃあ誰もトレードをやりたがらないだろうから、ヴィンテージプレイヤーがパックを買う理由がなくなっちゃってると思うよ。」
あ い こ :そんなのスタンダードのプレイヤー同士だって嫌だと思いますよ。」
あいせん:複数のフォーマットを普及させるのって、そういう特定のカードへの人気偏重を防ぐ役目も持ってるんだ。それはコレクションにしても同じなんだけど。そういう部分をバッサリ切り捨てちゃえば、そりゃあマジックがこれだけ硬直した遊びにくいゲームになっちゃうのは当たり前なんだって。なんでこんなことにウィザーズもホビージャパンも気が付かないかなあ。」
あ い こ :ちなみに聞きたいんですけど、ウィザーズ社やホビージャパンは“今も”そのことに気が付いてないんでしょうか?」
あいせん:少なくともホビージャパンは気が付いてるだろうな。ただし今あそこはGAMEぎゃざ編集部内に多くの競技プレイヤーを抱えちゃってるから、今さら方針転換はしないしできないだろう。間違っても『今までやってきた競技マジックへの偏重は間違いでした。』なんて言おうものなら、たちまちライター陣が責任を追及される羽目になるから。」
あ い こ :じゃあウィザーズ社は?」
あいせん:あそこは『そんなことお前らに言われなくても分かってる。だが我々は競技のできないデュエリストなど要らない。』という姿勢なんじゃないかという気がする。それは例えばマジック・オンラインにも現れてるよ。バーチャルなパックを$3.29で買うなんて、それこそ競技で賞金をもらうといった明確な見返りがないと無理だろう。」
あ い こ :そういう見方もあるんですね。実を言うと私は『まだ分かってないんじゃないか?』と思ってたりするんですよ。」
あいせん:なんで?」
あ い こ :あいせん君が書いたりここで取り上げてきたご意見って、ウィザーズ社やホビージャパンにはかなり耳が痛い内容だと思うんですよ。でもその両社がいつかの時点であいせん君のことを単なる“クレイマー”だと認定してたとしたら、多分あいせん君の意見を取り入れるなんてことはあり得ないと思うんです。」
あいせん:確かに、一度クレイマーだと認定しちゃうとその人間が発した意見はそういう色眼鏡でしか見ないからなあ。」
あ い こ :前にあいせん君が教えてくれた対戦格闘ゲームのお話があったじゃないですか。SNKといったメーカーは商用ネットで発信された自分達への意見をROMってて、でも決してその意見を取り入れようとはしなかった。むしろ右と言われれば左、上と言われれば下というまったく逆のことをやって、結果的にそれで失敗したって。今マジックもそれと似たような状況になってるんじゃないかという気がするんですよ。」
あいせん:それは多分デュエリストにしても同じだろうなあ。僕がタイプワンを勧めるから『絶対にタイプワンなんか遊ぶもんか!』と意固地になる。そういう人多分いるんだろうな。」
あ い こ :でもそれだったら、ウィザーズ社やホビージャパンが発する『スタンダードを遊べ!』『競技マジックに来い!』という意見にも、それと同じかそれ以上の反抗心を見せて欲しいんですけど(笑)。」
あいせん:それはムリだろうな。 (^^; 結局日本人って“長い物には巻かれろ”だから。他の人達がやってるのと同じ遊び方がいい。そしてその中で自分がちょっとだけ抜き出た存在でいたい。そんな感じだろうな。」
あ い こ :それはそうなんですけどね。」
あいせん:まあ申し訳ないけど、僕個人は“日本人には今のマジックの危機を救えるだけのパワーはない”と思ってる。言い方を変えると今は“いかにして治療するか”ではなく“いかにして延命させるか”を考える段階に来てると思うな。」
あ い こ :なんか寂しいですね。でもあながち間違ってると思えないのがいやなんですけど。」


     

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