Postscript 
 
 

あいせん:あけましておめでとうございます。」
あ い こ :おめでとうございます(にこにこ)。」
あいせん:おっと、機先を制しておくけど“お年玉”ネタはなしね(笑)。」
あ い こ :ちぇっ、なんだ読まれてたか。 (^^;」
あいせん:まあ三が日は全部仕事で今月末は多少潤うだろうから、その時にでも考えましょう。」
あ い こ :それなら別に“アイス山ほど”でいいですよ。」
あいせん:あ、そうなの? (^^;」
 
 
あ い こ :2回にわたってマジックの遊び方のお話を書いたんですけど、今となっては普及させるのって難しそうですね。」
あいせん:僕もそう思うな。」
あ い こ :そもそも不思議なんですけど、昔はこういうマジックって少なからず遊ばれてたじゃないですか。なんで今は遊ばれなくなっちゃったんでしょうか?」
あいせん:理由は色々あると思うよ。ただし何よりもホビージャパンの雑誌が競技フォーマットしか取り上げなくなったのが大きいと思うけど。」
あ い こ :昔はちゃんと取り上げてたんですけどね。“ドミニアへの招待”なんかにもちゃんと紹介記事が書かれてますし。」
あいせん:まあ昔からその辺の記事は朱鷺田氏の担当だったけどね。朱鷺田氏個人はこの手のカジュアル・マジックの必要性を認識してた数少ないホビージャパン関係者だった気がするけど、同時に競技を推進する立場にもあったと思われるから声高には意見を出せなかったのかも。」
あ い こ :別にカジュアル・マジックの推進が、イコール競技マジックの否定にはならないと思うんですけど。」
あいせん:その辺の事情って、実は RPG Magazine とかGAMEぎゃざの誌面には微妙に現れてるね。一部の競技マジック関係者の中に“競技以外のマジックへの取り組みを口にする奴は認定”みたいな感覚があったんじゃないかな。 (^^; 昔から日本のマジックには人口を増やして結果的に競技を盛り上げようという発想が無くて、今いるデュエリストを1人残らず競技に落とし込んで競技人口を増やそうという発想があった気がするから。」
あ い こ :それはなぜなんでしょう?」
あいせん:簡単に言えばホビージャパンの金儲け主義…だと思ってたんだけど、今にして思うと案外そうじゃないのかも。前にも触れたけど、実は特定の個人やグループがマジック界の中での自分達の知名度を上げることに執着してて、その手段として競技マジックを普及させようとした。今はそんな気がしてます。それこそ自分のサイン入りカードが数万円で取り引きされるような…」
あ い こ :…ええっと、この話題を深く掘り下げることには危険を感じるので、この辺で宜しいでしょうか(笑)。」
あいせん:そうだね。これを語り出すと編集の時大変なことになりそうだし。 (^^;」
あ い こ :でも、やはりカジュアル・マジックを普及させなかったのは、特にホビージャパンや日本のマジック流通にとっては明らかに失策だったと思うんですけど。」
あいせん:今こういう状況になってみれば誰でもそう感じると思うんだ。でも当時はそれこそ『猫も杓子も競技へGO!』で、それがマジックの世界では絶対の正義だと固く信じられてたからね。」
あ い こ :でも結局うまく行かなかったわけで…」
あいせん:結果論になっちゃうんだけど、僕個人は当初から『こんなのうまく行くわけねえだろう!』とは思ってたよ。ただそれをいくら声高に叫んでも、当時はあまり相手にされなかったけど。」
あ い こ :じゃあ今はどうなんですか?」
あいせん:うん、今は僕が書く意見なんて当たり前すぎて、今更読む必要なんかないと思われてるんじゃないかな(笑)。」
あ い こ :それ、あんまり笑えないお話なんですけど…あ、お話を本題に戻しますけど、これだけ日本でカジュアル・マジックの火が消えちゃってると、さすがにもう復興の見込みってないんじゃないでしょうか。」
あいせん:というか、僕はそもそも日本にはカジュアル・マジックが普及する土壌そのものがなかったと思ってるよ。」
あ い こ :それを言っちゃうとお話が終わっちゃうじゃないですか(涙)。」
あいせん:例えばかつての格ゲーを見てみるといいよ。競技イベントでもない、賞金や賞品がかかった対戦でもない、“ド”が付くくらいマイナーでほんの一握りのプレイヤーしかいない、しかもゲームそのものにはバランスもへったくれもない。そんなゲームでですら多くのプレイヤーは勝ちに行くんだ。それこそどんな手段を使ってもね。そういう人達に『勝つこと以外の楽しみをゲームに見つけようよ!』って言ったって、そんなのまさに馬の耳に念仏だって。」
あ い こ :でも、それを考えちゃったら何も言えなくなっちゃうじゃないですか。」
あいせん:そうだよ。だからこそ本来はきっちり作り込む必要があったんだ。ゲームの中に“対戦での勝利以外の楽しみ”をね。」
あ い こ :あ、そういうことなんですね。」
あいせん:なぜユーザーがゲームに対戦での勝利のみを追い求めるのか。それはそれ以外に楽しみがないからなんだって。昔のマジックにはコレクションという楽しみがあり、ファンデッキで対戦相手やギャラリーから笑いを取る楽しみがあり、トレードという楽しみがあり、そして何よりも自分でデッキを創る楽しみがあったんだ。でも今のマジックはそれを全部失ってる。だったらもはや対戦で勝ちに行くしかないじゃない。」
あ い こ :前に言ってたじゃないですか。最近マジックのイラストを誉める人って、でもその誉めたイラストのカードを集めることをしてないって。そういう人達は単にマジックに対する悪口を言われるのが嫌で反論してるだけで、実際には批判を聞くまでイラストなんかにはほとんど興味がなかった。そういうことなんですよね。」
あいせん:まあ全部が全部そうだとは言わないけど、そういう人が多いのは間違いないかな。別に昔のコレクターだってマジックのイラストを手放しでほめてたわけじゃない。しかし少なくとも彼らはマジックというゲームにコレクションという形で貢献してた。ところが最近はそうなってない。イラストへの批判意見に対して一通りの反論はするし、聞かれれば『最近のイラストもいいじゃないですか。』くらいの事は言う。でも結局のところ彼らが本当に興味があるのは“強いデッキのパーツ”でしかないんだって。」
あ い こ :でもウィザーズ社から見れば『これだけ競技が盛り上げってるんだから、それ以外の要素をマジックから排除しても構わないだろう。』という発想もありますよね。これってどちらが鶏でどちらが卵なのかよく分かりませんけど。」
あいせん:競技を不用意に優遇すれば間違いなくこうなる。それは過去の色々な遊びの歴史を研究すれば事前に分かったと思うよ。でも結局のところウィザーズは“もっとマジックを売りたい”という理由だけで競技を押し進めちゃった。そして今は自分でも後戻りできない状態になっちゃって、それこそ開き直って『俺達は競技マジックにしか興味はねえ』としか思えない販促に終始してる。そんな感じなのかなあ。」
あ い こ :確かに今のマジックの遊ばれ方って、メーカーであるウィザーズ社自身にすらコントロールできてませんよね。」
あいせん:どんなに趣向を変えたカードセットを作っても、結局ユーザーの関心は『どのカードが最強なのか?』『どのカードの値段が上がるのか?』にしかない。これじゃあ作ってる方はたまったもんじゃないだろう。そりゃあカードイラストで手抜きしたくなる気持ちも分かるよ。そんなところにいくら心血を注いだって誰も見ちゃくれないんだから。」
あ い こ :なんかあまり愉快なお話じゃないですけどね。あ、ところで今回の問題点ですけど、改めて解決のための施策ってないんでしょうか?」
あいせん:そうだなあ、結局のところ“売り手が変わる”しかない気がするよ。」
あ い こ :例えば?」
あいせん:これは直接今回のテーマとは関係ないんだけど、最近思いついたアイディアで『ウィザーズがオフィシャルサイトの中に“コレクター・データベース”を作る』というのがあるんだ。」
あ い こ :なんかいきなり来ましたね。具体的にはどうするんですか?」
あいせん:マジックのコレクターって、案外『自分と同じカードを集めてる人って他にもいるんだろうか?』とか『その中で自分はどの辺にいるんだろうか?』って気にしてるんだ。だからそれをウィザーズがデータベース化するんだ。コレクターからの申請を受けてコレクター情報をデータベース化し、誰でも見られるようにするわけ。」
あ い こ :でも、それって間違いなく虚偽の報告が出てきますよね。」
あいせん:だからコレクターからの自己申告は“仮登録”という扱いにしておいて、イベントなどでウィザーズが直接確認した分を“本登録”として公開するんだ。当然仮登録分も参照は可能だけど、でも特にコアなコレクターなら機会を見つけて本登録をしにイベント会場に出向くだろうな。あと仮登録は一定期間が経つと削除されるとか。」
あ い こ :あ、それならデータベースの内容にも信憑性が出てきますね。」
あいせん:だからこの企画ってコレクターにイベント会場に足を向けさせるという効果も期待できるんだ。それこそ僕が昔やった“コレクション品評会”みたいな場が定例化すれば、それをきっかけにコレクションにも関心が出てくるんじゃないかな。」
あ い こ :イベント会場にコレクターが来ると分かっていれば、当然そのカードを持ってトレードをしに来るデュエリストも現れる。そうなるとトレードも活性化しそうですよね。」
あいせん:コレクターなんて結局のところ、自分のコレクションが自慢できる場があればそれで幸せだったりするんだって。競技プレイヤーみたいにお金や手間をかけなくても、そういったちょっとした場を提供するだけで随分とコレクションにも熱が入ると思うよ。」
あ い こ :あ、あと例えば『同じカードを100枚集めたらイラストレーターのサイン入りプルーフを差し上げます。』といった企画を盛り込んでも面白そうですね。本登録終了後に後日郵送してもいいわけですし。」
あいせん:まあネネさんやアミーさんのカードは期待薄だけどね。 (^^; でも現行スタンダードのカードについてはやっても面白いと思うよ。多少なりともマジックの販促には貢献するだろうし。ただしあんまり高価な報償を出すと、それこそ虚偽報告の山でデータベースそのものの存続が危うくなるから難しいところだね。」
あ い こ :そうですね…でも、正直言うとこの手の企画って、やるとしたらもう3年ほど早くやってもらえればよかったですね。」
あいせん:ああ、それは言えてるかな。でもウィザーズが本気でマジックを復興させたいのであれば、やはり競技プレイヤー以外の力も借りるべきだと思うよ。今やマジックの衰退傾向は世界的だとも言われてるから。」
あ い こ :本当、マジックにはもうちょっと頑張ってもらわないとね…あ、全然余談なんですけど、多分私達のパソコンの辞書に“朱鷺田”って入ってないですよね(笑)。」
あいせん:でも今調べたら“朱鷺(とき)”は入ってたよ。あまり日常使う言葉じゃないのは間違いないけど。ちなみにうちのコンテンツに朱鷺田氏の名前が登場するのはこれが初めてだったりするみたい。」


     

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