Postscript 
 
 

あ い こ :ちょっといいですか。」
あいせん:なんでしょうか。」
あ い こ :この前公開したエッセイにあった“北米の遊戯王は9ヶ月で200億円市場になった”ってお話、あれ本当なんですか?」
あいせん:少なくとも東証一部上場企業であるコナミが株主向けに出してる資料だから信憑性は極めて高いよ。2002年度を通した売り上げは僕個人の予想が入ってるけど、それ故更に高めに大バケする可能性すらあるよ。それこそ北米だけで300億円を超えるとか。」
あ い こ :そうなるとウィザーズ社はマジックの北米市場の死守にかかりっきりになっちゃって、アジア市場なんかに目が届かなくなっちゃうんじゃないでしょうか。だって300億円というと、下手するとマジックが全世界で売り上げてる販売額すら上回ることになりますし。」
あいせん:前回の Pok?mon フィーバーはマジックに勢いがあった頃の話だし、何よりもそれでウィザーズが恩恵を受けてたから問題はなかったと思われる。しかし今回はウィザーズは売り上げを減らすだけだから死活問題だろうな。」
あ い こ :この前の“暗黒座談会・特別編”でもこの辺を話題にしたんですよね(笑)。」
あいせん:まあ色々と追加の情報やネットじゃ書けないお話も含めてネタばらしを。さすがに皆さん笑うしかなかったって感じだけど。」
あ い こ :ウィザーズ社は遊戯王OCGが遠からず廃れると思ってるみたいですけど、でもその前にウィザーズ社がどうにかなっちゃったりしないんでしょうか。」
あいせん:何よりも親会社の Hasbro があんな感じだからなあ。マジックから上がった利益を吸い上げることはするだろうけど、逆にマジックが危機になったときは何にもしてくれなさそう。今回ばかりはウィザーズの方が先に倒れる可能性は十分あるだろうね。」
あ い こ :そうなるとマジック10周年記念の今年をいかに乗り切るか、それが大きな課題になりそうですね。」
あいせん:10周年記念イベントが“最後のあだ花”にならなきゃいいんだけどねえ。 (^^;」
 
 
あいせん:さて本題。正直言っちゃうけど、こういう意見って3年くらい前に発表されてるとよかったかもね(笑)。」
あ い こ :なんですか、いきなり。 (^^;」
あいせん:3年くらい前ならマジックにもまだ勢いがあったから、それこそフューチャービーやマナソースに代理店契約を持ちかけても喜んで受けてくれたかもしれない。でも今のマジックはいわば“敗戦処理”の段階に入ってる。そんなゲームを更に多額の投資をしてまで売ろうなんて組織が現れるだろうか。」
あ い こ :…なんかいきなり暗いお話の展開ですね。」
あいせん:でも仕方ないって。あまつさえマジックは今やネットゲームに移行しようとしてるんだ。そんな先行きの見えないリアルカードのマジックを今更代理店として売ってくれって言われても、企業側だって今更首を縦には振れないだろう。あ、ちなみにこれは僕個人の想像で言ってるわけじゃなくて、フューチャービーの親会社であるハドソンが株主向けの資料で明言してる話だから。」
あ い こ :え!?、そうなんですか…(資料確認中)…本当だ。確かにこんな状況でウィザーズ社から代理店契約を持ちかけられても、受けてくれるかどうかは微妙ですね。」
あいせん:あともし僕がホビージャパンの然るべき立場の人間だったとしたら、去年の夏に代理店契約を更新することすら躊躇したと思うよ。だっていつウィザーズに切り捨てられるか分かったもんじゃないしね。まあ少なくとも部下に『マジックがダメになった後の事を考えろ。』とか『次の主力商品を全力で探し回れ!』位の指示は出すだろうな。」
あ い こ :でもそうなっちゃうと、ホビージャパンからの更なるマジックへのサポート充実は期待できませんね。」
あいせん:そりゃあ無理だろう。今はいつマジックがダメになってもいいように、マジックから出た利益をプールして今後に備える時期だろうから。ただウィザーズがプロモでも作ってくれるなら配ってやってもいい。その位じゃないかな。」
あ い こ :こうなっちゃうと業界の衰退って早そうですね。それこそ3年前に別の企業が代理店になってくれてれば、日本のマジックには今でももっと勢いがあったかもしれませんね。」
あいせん:それについては明らかにウィザーズの判断ミスだった。それは間違いないよ。でも結局ウィザーズって日本国内でマジックの値引き競争をさせるのが嫌で今の流通を作ったんだから、こうなるのは時間の問題だったと思うよ。」
あ い こ :何か今からでもできる挽回策ってないんでしょうか?」
あいせん:マンガもダメ、アニメもダメ、ましてや萌えもダメらしいから(笑)。遊戯王OCGはそれを見事に駆使して巨大市場を作り上げてるんだけどなあ。これだけマジックが自分で販促手段を封印しまくってると、さすがに手の付けようがない気がする。前の“はまさきあゆみ”の話でも触れたけど、日本のマジックってとにかく日本で商品がヒットする要素を自分でことごとく排除し続けてきたから。子供が気軽に遊べない、楽しそうな雰囲気を感じない、コスト・パフォーマンスが悪い。こんなゲームはヒットしなくて当たり前だよ。」
あ い こ :でも、その割には競技マジックって盛り上がってるんですよね。あくまで“その割には”ですけど。」
あいせん:それはイベントや賞金で強引にコスト・パフォーマンスを上げてるだけなんだって。しかし実際にその恩恵に授かれるプレイヤーはほんの一部だし、それも今後これ以上マジックの売り上げが減れば破綻するだろうな。あまつさえホビージャパンはバイヤーの締め出しとかで自らイベントの質を落としてるわけだし、そもそもイベントの成否はウィザーズが出してくれる賞金次第という有様だから。」
あ い こ :きっと今の状況をもどかしく思ってる競技マジック関係者って多いんでしょうね。」
あいせん:ただ日本の競技マジック界って、そういう声をウィザーズに向けて発するだけの気概はなさそうだけどね。あと少なくとも企業は、少数でしかも匿名の意見なんかには取り合わないと思うし。そもそも匿名希望というのは『別に無視されてもいいです。』という意見の出し方だと認識されてるから。」
あ い こ :確かに企業や行政機関に意見を出すときに“公開質問状”という形式を取ることがありますもんね。」
あいせん:要はどの位ネームバリューを持った人が、どの位企業側を唸らせる説得力のある意見を出すか。すべてはそこにかかってる。それも時間との勝負でね。実際に欧米のプレイヤーが出した意見でウィザーズは何度も動いてるじゃない。でも日本のマジックは結局ウィザーズを動かせていない。そういう流れがこの先変わるのか、それともこのままなのか。」
あ い こ :それが日本のマジックの将来を左右する…なんか先行きに明るい見通しを持てないのは私だけでしょうか。」
あいせん:まあそういう人が多いから、うちみたいなWebサイトに相変わらず需要があるんだろうな。間違っても笑えるお話じゃないけどさ。」


     

メールは こちら までお願いします。
またご意見などは Message Board でも受け付けています。