Postscript 
 
 

あ い こ :…さてと、編集終了。あとは公開するだけですね。」
あいせん:その公開ちょっと待った!」
あ い こ :どうしたんですか?」
あいせん:うん、今回のお話の前提をひっくり返すビッグ・ニュースが飛び込んできた。」
あ い こ :なんですか?」
あいせん:“マジック映画化”」
あ い こ :えええっ!?、本当なんですか?」
あいせん:今のところ100%完全な決定ではなさそうなんだけど、どうもストーリーなどの人気投票をウィザーズが始めてるらしい。」
あ い こ :そうなんだ。」
 
 
あいせん:実は今回のこの“マジック映画化”の話を見て、僕の中である疑問が解決したりしてるんだ。」
あ い こ :それって…何なんですか?」
あいせん:うん、要するに『ウィザーズ社はマジックという商品の知名度をどう考えているのか?』ということさ。実はウィザーズってマジックを“既にチェス並の知名度を獲得した知的ゲーム”だと認識してるんじゃないだろうか。」
あ い こ :そんな、まさか!?」
あいせん:でもそうでないと映画化なんてプランは出てこないだろうと思うんだ。映画ってTVCMや番組と違って、見る側にお金を払って映画館に足を運んでもらわないと見てもらえない。つまりそれだけの動員が期待できなければ映画化は考えられないんだ。」
あ い こ :でも最近はそういう見込みがないまま映画化を見切り発車しちゃう事例も多いですよ。例えばファイナルファンタジーとか。」
あいせん:…いきなり直球できましたね。 (^^; というか、今のはむしろビーンボールに近かったぞ。」
あ い こ :だってちょうど話題としてもタイムリーですし。」
あいせん:まあいいや。確かにそういう事例はあるわな。でもそのファイナルファンタジーにしたって、少なくとも世界的な知名度は相当なものだと思うよ。だから映画化なんてことが検討できたと思うから。」
あ い こ :つまりマジックもそういうゲームだ。少なくともウィザーズ社はそう思ってる。」
あいせん:そういうことなんだろうな。で、そう考えると昨今のウィザーズ社のやり方にある意味で説明が付いちゃうんだ。」
あ い こ :どういうことですか?」
あいせん:要するに既にマジックは世界的にチェスや囲碁・将棋並の市民権と知名度を得ている。それだったら今後はそういった遊びと同様に競技を完成させ、一気にそれらと肩を並べるような遊びにしてしまおう。」
あ い こ :…あ、なんかつながった(笑)。」
あいせん:でしょう?」
あ い こ :だからウィザーズから見ると、今さら初心者教育やプロモーショナルカードなんかに予算を使って、マジックにニューカマーさんを招き入れる必要なんか全然ないんだ。だって今やマジックは世界的に認知された“完成された遊び”なんだから。」
あいせん:そういうこと。囲碁や将棋だって初心者獲得に色々な施策を講じてるけど、それは競技界が成熟してその活動の一環としてやってること。だからマジックもそうすればいい。そう考えてるんじゃないかな。」
あ い こ :でもどうなんでしょう。少なくとも日本のマジックの実状を見ていると、なんか“勘違いも甚だしい”という気がしちゃうんですが。」
あいせん:まあそんなことはウィザーズには関係ないんだろうな。」
あ い こ :なんで?」
あいせん:今やウィザーズにとって重要なのは、単に“マジックは欧米以外でも競技が盛り上がっている”という事実なんじゃないかな。マジックにチェス並の権威とか箔を付けたければね。」
あ い こ :そうか。ウィザーズにとって大事なのは“日本でもDCI公認トーナメントが開かれている”という事実のみなんですね。」
あいせん:だからその前提が危うくなってきたから慌ててる。そういう見方もできるよ。万が一日本でマジックが廃れちゃって日本で公認トーナメントの開催数が激減しちゃったら、せっかくの箔に汚点ができちゃうからね。しかもそういう流れは例の“オンラインマジック”とも見事に合致する。」
あ い こ :ウィザーズ社は将来的にはカードを売るおもちゃ屋を卒業して、世界的に有名なマジックのイベントを営むイベント屋になろうとしている。」
あいせん:そういうことです。その方が商売としては多分楽だし。」
あ い こ :しかし“マジック映画化”からここまで考える人、普通いませんよ(笑)。」
あいせん:さすがに公開される情報が絶対的に少ないからね。そこまで想像力豊かにして先を読まないと。」
あ い こ :でも、そもそもマジックの映画なんてヒットするんでしょうか?」
あいせん:このまま何もしなければ、少なくとも日本ではあの“デ・ジ・キャラット”の映画並の扱いを受けそうな気がするな。『こんな映画を見に来るのは子供かヲタクだろう。』みたいな(笑)。」
あ い こ :うわぁ〜、今日は直球がバシバシ飛び交ってますね(笑)。」
あいせん:よほど有名な映画監督に頼んで、金に糸目を付けずにキャスティングにも拘れば話は別だろうけど。それで事前にどれだけマジックを知らない人達の間で話題にできるかが勝敗の鍵だろうな。」
あ い こ :あいせん君は成功すると思いますか?」
あいせん:ただ世界的には成功しても、日本で成功してくれなきゃお話にならないよ。逆に日本で成功してくれるなら、それを話題性の突破口にしてマジックそのものの知名度を頑張って上げようよ。遊んでもらえるかどうかなんてその後だな。」
あ い こ :確かに日本でのマジックの知名度が良くなれば、状況はかなり好転するかもしれませんね。」
あいせん:でもそこに待ってるのが“ガチガチの競技マジック”だけじゃあねえ。もうそろそろ日本のマジックは根本的な方向転換を図るべきだと思うよ。それこそ月に数百円のお小遣いで十分に楽しめるマジックを日本にも定着させるべきだろうな。」
あ い こ :前に言ってたじゃないですか。『流行った遊びはやがて間違いなく廃れる。それまでにその遊びを“文化”に昇華できるかどうか。それがその遊びの命運を握ってる。』って。今まではマジックって日本で流行る可能性が乏しくて、皆さんそういう視点を忘れてると思うんですよ。でも映画化でマジックが日本でもブームになる可能性があるなら、私達はそれに向けた準備を今からでも始めるべきなんじゃないでしょうか。」
あいせん:…ええっと、あいこ先生に言いたいことを全部言われてしまったので、今回の Postscript はここまでにしたいと思います。最後までお読みいただきありがとうございました(ぺこり)。」
あ い こ :…なんや、それ〜(笑)。」

     
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