最近「東芝サポート問題」が話題になっていて、ついにメーカー側がHPの内容の一部削除を求める仮処分申請をして、それがNHKのニュースに取り上げられるまでに至りました。HP自体のアクセス件数も300万件を超えているそうで、東芝が受けた風評被害は相当な物になると想像されます。(今再度ニュース画面で見ましたが、6月3日の開設以来アクセス件数が360万件を越えてますねぇ。 (^^; 下手すると2流のH系サイトよりも多いかも《笑》。)
私はこの件に関して、どちらの言い分が正しいか正しくないかという判断をする気はありません。多分その会社員の方のHPを拝見しても100%事実を把握できるとは思えませんし、ましてやこういう事例に対するメーカー側の発表なんて物は(自己防衛に徹して自分に不利な情報を隠すため)当てになる訳もないからです。ただ私が見ていて思うのは「東芝ってこんな殿様商売をする会社だったのだなぁ。」という事です。確かに今回の件は修理依頼に対応した1社員が大元の原因なのかも知れません。でも私は別の某大手家電メーカーの系列会社にプログラマーとして所属していた時に「顧客第一主義」という物を徹底的に仕込まれました。例え何があろうが、お客様に暴言と思われるような言動を取るなど以ての外です。(あ、でもこれって自分で書いてて耳が痛いです。 (^^;;; )そして万が一そういう社員が社内にいるとすれば、それはどう考えても“会社の責任”なのです。それを東芝側は「1社員の問題を全社的な事として問題提起しているのは筋違いだ。」と言っているのです。私に言わせると「筋違いなのはあんた達 > 東芝」です(笑)。自社の社員の行動に責任を取らない会社なんて信用されない(信用できない)ですよ。
そして何と言っても「会社がお客さんを訴える」という感覚が、私にはとてもじゃないけど信じられません。会社にサポートを求めたら断られ、それに対してクレームを公の場で言ったら訴えられる、こんなメーカーの商品なんかとてもじゃないですが怖くて買えません。あ、でもここまで書いて気が付いたのですが、私が今これを書くために使っているパソコンは DynaBook でした(笑)。こりゃあ、万が一故障したら泣き寝入りかな(ぉ。
「東芝サポート問題」そのものの話はこれ位にして、今度は今回の事件が我々に与えてくれている“教訓”を考えてみます。今回抗議の対象になったのは日本でも有数の大手企業です。それが今たった1人のお客さんの行動で全国的な風評低下に苦しみ、更なる風評低下を覚悟で自分から裁判沙汰まで起こさざるを得ない状況にまで追い込まれているのです。こんな事は一昔前には考えられなかった訳で、今回の事で私は“インターネット”という物の持つパワーの片鱗を感じた気がします。
米国では個人が会社に対抗する手段として“訴訟”がよく使われます。でもどうでしょう、会社が受けるダメージというか痛手という点では、こういうやり方の方が何倍も厳しいのではないかという気がします。訴訟のニュースを見てその会社に対する悪い印象を持っても、普通はその世論がまとまって何かが起きるという事はあまりありません。でもこういう抗議行動では例えばHPの利用者が盛り上がって「不買運動」等の更なる行動に出る可能性(危険性)もある訳です。メーカーが慌ててHPの内容の訂正を求めているのもそれを恐れての事なのでしょう。多分今回の事は日本では初めてとも思われるケースな訳で、正直メーカー側も「どう対応していいのか全く分からない」のではないかと思います。
私自身例えばM福井のお客さんから同様の対応をされた事を考えると空恐ろしい物を感じますが (^^; でもこういった動きが「メーカーのサービスの向上」あるいは「欠陥商品への歯止め」等になる事は、消費者側としては歓迎すべき事なのかも知れません。何十万台も作っている製品のうちのたった1台の不具合で会社が危なくなるというのは、流石に経営者側から見るとスリリング過ぎますが(爆)。
実は私自身はその「話題のHP」を見ていません。ただこれだけ利用者が多くて話題が盛り上がるという事は、少なくとも“そのHP自体がある程度事実に基づいてしっかり作られている”からではないかと思われます。内容を面白おかしく修飾したり、ある事無い事並べ立てて内容を膨らませているようなHPは読む側も分かるでしょうし、ここまでアクセスされないでしょう。下手をするとメーカー自身が遙か昔から開設しているHPの何倍ものアクセス件数がありそうですし(笑)。私も本館で M:tG の事を中心に色々と書いていますが、最終的にここまで盛り上がる事は目指していません(笑)。私は M:tG のメーカーや代理店に“より購入者の事を考えた M:tG の作り方/売り方”をして欲しいと願っているだけで、メーカーや代理店に風評被害を与えて・・・なんて事を目指している訳ではないのです。(多分それは今回話題にしたHPの開設者の方も同じなのではないですかね。)でも「自分の意見をメーカーや代理店に聞いてもらう」という点では、こういうHPによる記事の公開はメリットが大きい気がします。掲示板等での反響を見れば、同じ意見を持つ人達が少なくない事も分かるでしょう。
私がよく話題にする対戦格闘ゲームは、その手の話題が一部の雑誌や商用ネットの中だけで盛り上がっていました。そのためメーカー側がそこに寄せられた意見を黙殺しやすく、また自分達に都合のいい利用の仕方ができたのです。(例えば良いアイディアだけこっそり貰って続編に取り入れるとか。あと某雑誌がネットに掲載された情報を無断で盗用した事例も知っていますが。)そのためユーザーが求める物とメーカーが作る物とのギャップがどんどん広がり、結果的に今日のような有様となっています。でもインターネットという物を利用すれば、そのギャップをユーザーが自分の力で埋められる可能性が生まれた訳です。ただ逆に言うと、その手の情報を発信するユーザー側にもより大きな責任が発生する事も忘れてはいけないのです。あなたの不用意な一言で、メーカーが予想もしなかった苦境に立たされる危険性すらあるのですから。
私自身は、今までの ぎゃざる の活動方針を変えるつもりはありません。自分にはこういうやり方しかできないですし、それが正しいかどうかは分かりませんが、少なくとも間違っているとは思っていないからです。今回の件は「商品を売る側の心得」&「HPの持つパワーとその恐ろしさ」という2点で、私に取っては良い教材になっていると思います。でも自分のHPがNHKのニュースにまで取り上げられて、あのHPの開設者の方は内心「おいおい、どこまで話が大きくなっちゃうの?」等とオドオドしているかも知れませんね。 (^^; 訴訟沙汰にまでなってしまった事に同情申し上げたい部分もあるのですが、私としては“開設1ヶ月ちょっとでアクセスが360万件オーバー”なんてHPはとっても憧れる存在ですから(笑)。