最近“アルマジロ”等という大げさなオリカ(オリジナル・カードの略)の話をしていますが、実は私や私の周囲の M:tG 仲間の間では、かなり以前から簡単なオリカの製作は行われて来ています。やってみると案外簡単な上に面白いので、この機会に是非皆様にもお勧めしてみようかと思っています。
我々が昔から作り続けてきたオリカは“ M:tG 等のカードのイラスト部分に別のイラストを貼り合わせる”という簡単な物です。作る動機としては「このカードの能力なら、こんなイラストが合いそうだ。」と言って本やインターネット等から探し出して来るパターンと、逆に「このイラスト、あのカードに貼ると合うよなぁ。」と思い立ってそのカードを探してくるパターンの2つになります。また人によっては「カードのイラスト部分を薄く削り、貼り合わせた紙がほとんど目立たないようにしちゃう。」という強者もいるのですが (^^; そこまでしなくても十分きれいな物は作れます。あと作ったオリカをどうするかという事ですが、基本的にはファイルに飾って人に見せびらかす事になります(笑)。ただM福井があった頃は“オリカ使用OK”のイベント等も開いていて、そこに向けて皆さんがオリカを開発される光景も良く見受けられました。中には60枚のデッキすべてをオリカで固められた方も現れ (^^; そりゃもう感心するやら呆れるやらで(爆)。実際にオリカをデュエルに使う場合は(そうでない物も含めて)スリーブに入れる訳ですが、それでプレー上(デッキのカードが外から見て区別できるといった)支障はほとんどありません。
オリカの一番の魅力は、やはり何と言っても「世界に同じ物が2枚とない自分だけのカードが持てる。」という部分に帰着するのではないでしょうか。ですから我々の仲間内では、例えどんなにそのアイディアやイラストが自分好みであったとしても、他の人が作ったオリカを再現して自分も持つという事を暗黙のうちに自粛しています。そのオリカは最初に作った人の手柄であり、それを後から価値を下げるような行為はするべきではない、という事です。あと同じオリカ作成者としてのプライドもありますし(笑)。それと「イベント会場等で他の人達に見せた時の反応が面白い。」というのもあるかな。ですから私の周囲ではオリカがトレードで動いたという話をほとんど聞きません。私個人は(記憶が正しければ)過去に1枚も出した事はないですし。何せ自分が好きで作ったカードな上に、それを手放しちゃうと2度と同じ物を再現できない場合も少なくない訳で、どうしても出す気にはならないのです。
あとついでに書いておくと、仲間内でオリカ作りが盛んになると、絶対に「誰が一番市場価格の高いカードをオリカで潰すか?」が話題になります。 (^^; ただやはりオリカにして面白いカードでなきゃ作る値打ちがない訳で、その辺の兼ね合いが難しいところです。ちなみに私の所有している最も高価なオリカは、多分「日本語版黒枠の堕天使(CH)に土萠ほたるを貼った物」か「 Soraya the Falconer(HL) にナコルルを貼った物」になると思います(滝汗)。後者はトレード希望が結構多くて、毎回断るのが大変なのですが。 (^^;
さて、それでは次に“より積極的なオリカの活用方法”について書いてみます。最近掲示板の方で「オリカが(そのカードの元々の価値より)高く評価され、かなり高価なカードとのトレードが成立した。」という話が出ていました。この事については多分賛否両論あると思うのですが、私個人は「当人同士が納得しているなら、別に構わないのでは?」と思っています。何よりもこの事で“誰も被害者になっていない”訳ですし、下手するとオリカを入手した方が「あの程度のカードでこれが入手できたなんてラッキー♪。」と思っているかも知れないのです。私に言わせると、こういう微笑ましいトレードに対して目くじらを立てる暇があったら、あなたの家の近所のデュエルルームで初心者狩りやシャークをしている奴をどうにかして下さいよ!、という感じかな(笑)。
そしてこの事は「個人が自分の所有するカードの価値を自分で高めて有利なトレードに導く1つの可能性を示している。」のです。フレッシュパックを買えば間違いなく自分が使わないカードを引きます。それをそのままトレードして駄目だとしても、そこにちょっと自分なりのアイディアを加えるだけで、大勢の人達から引く手数多なカードにできるのです。そしてお互いが納得のいくトレードが成立する、こんな素晴らしい事はないでしょう?。よく M:tG のHPでは“クソレア活用法”が話題になりますが、これだってその立派な1つの手段なのです。
ただ、このオリカ製作に全く問題がないかと言うと、そうでもありません。まず最大の問題は“著作権”です。我々は自分でオリカを作る際は市販の本やインターネット等で公開されている画像を使用しています。ですから逆に言うとその取り扱いには慎重にならざるを得ないのです。我々がそうやって複製物を利用できるのは“個人による使用の範囲”な訳で、それ故他人に譲渡する事にはやはり躊躇せざるを得ないのです。ところが最近の日本は“人気キャラクターさえ使えば物が売れる”という嫌な風潮になっていて、そのため M:tG のカードに安易に人気キャラクターのイラストを貼り付けて、それで一儲け企む輩が絶対に現れるのです。ですがそれは明らかに犯罪行為な訳で、その線引きがきちんとできないとまずいのです。やはり他人に譲渡する事を考えるなら“使用イラストは自分オリジナルな(あるいは自分が自由に使える権利を有した)物を”という事になるのです。
それと“そのカードを見せられた相手の心証”という問題も無視できません。時々 M:tG では“プロキシ論議(プロキシを使っても良いか否か)”が起きますが、あれと似たような事がオリカにも言えるのです。目の前に自分が散々苦労して手に入れた(あるいは入手できていない)カードを平気でオリカで潰している人がいたら、それで心穏やかでいられる人は多分少ないでしょう。しかもそこで「俺はこんなに高いカードをオリカにしているんだ。この心意気に免じて君とのデュエルでも使わせろ!」なんて態度を取れば、間違いなく喧嘩になります。
これはここ1〜2年の間に得た私の持論なのですが、やはり「コレクションやオリカ作り、あるいはファンデッキの製作って、所詮は“金持ちの道楽”である(そう思われても仕方がない)。」という事です。それができるという事は、明らかにやりたくてもできない人達から見れば余裕があるという事なのです。そして我々が金持ちの悪趣味な装飾品や高級外車を見てうんざりするように、そういう余裕がないデュエリスト達から見れば、我々がオリカやコレクションあるいはファンデッキを振り回して悦に入っているのを見てうんざりする(場合もある)事は、頭の隅に置いておくべきなのです。ましてや「ファンデッキが作れないデュエリストは M:tG から去れ!」なんて、あなたに何の権利があってそれを言いますか?、って感じかな。ただオリカ作りは不要なコモンカードや土地等でも十分に楽しめるので、その他の物に比べると随分と庶民的な道楽ではあるのですが。
最近の傾向を見ていると、やはりオリカの題材って“人気アニメ”や“有名なTVゲーム”等が主流だし、実際見せた時の受けもいいのです。ただ私が考えるオリカって「自分の作りたいカードを自分で作っちゃう。」という事にその魅力がある訳で、ですから最近私はあまり他人の受けがよいか悪いかは気にしない事にしています。その辺は“そのオリカで何を狙うか?”の問題になるので、人それぞれ自分流の楽しみ方があって然るべきなのですが。あとオリカを作るようになると、そのネタ探しに今まで使った事のないカードに目がいくようになり、その過程で「あ、こんなカードあったっけ。今度デッキに使ってみよう。」みたいな発展をする場合もあります。始めるのにほとんど元手はかかりませんし、始めてみると結構奥が深くて面白いので、特に最近 M:tG に退屈してカードを持て余している方には是非お勧めします。 (^^)
上の記事の中で“プロキシ”に関して触れているので、ついでに私のプロキシに対する考え方を述べておきます。私はプロキシという物は「個人が M:tG を遊びながらステップアップさせる過程には絶対に必要な物だ。」と考えています。というか、日本のデュエリスト達の多くにプロキシを使って賢く M:tG を遊ぶという発想(そしてそれを受け入れる土壌)が無いために、今のような特定のカードに異様なまでの高値が付くという事態を招いている気がします。私が良く例に出す呪巻にしてもマスティコアにしても、まずはプロキシでいいからデッキに入れて使ってみれば、いかに使い方の難しいカードかは分かります。そうすればそんなに狂信的に手に入れる必要がない事が体感できると思いますよ。あのカードは“使う人が使うから強い”のであって、だからと言って“あなたが使って強いとは限らない”んだから(笑)。
ただ私はそれと同時に「最終的にプロキシは本物のカードに差し替えるべきだ。」とも思うのです。極端な話ですが、MMのカードリストを見たデュエリスト全員がその瞬間にせっせとMMのプロキシ作りに精を出して、1つのフレッシュパックも買わずに M:tG を楽しむようになったら、間違いなく M:tG という遊びは滅ぶのです。 (^^; プロキシを使ってデッキを回してみると、実際には“強いんだけど自分には合わないカード”とか“巷では評価が低いけど自分が使うと強いカード”が見えてきます。そして自分に取って本当に必要なカードが見えたら、そのカードを全力で手に入れればいいのです。何ヶ月も同じプロキシ使ってるのって格好悪いしね(笑)。
あと「カラーコピー等による精巧なプロキシは作らない方がいい。」とも思います。作った当初は本人にその気がなくても、例えばそれを見た誰かから「このカード欲しかったんです。トレードして下さい!」と言われれば、誰だって魔が差す瞬間があるのです。ましてやそれに味を占めて偽物の量産なんかされたら、それこそ M:tG という遊び全体がおかしくなるのです。大体それって「詐欺罪」という立派な犯罪行為ですし。あと以前私の知り合いにもそうやって作ったパワーナインのカラーコピーを大量にファイルに入れている人がいましたが、そりゃもう胡散臭さ大爆発って感じでその人に対する周囲の心証というか風評はかなり悪くなっていました。“李下に冠を正さず”という言葉がありますが、やはりそういう行為はしないに限るのです。結局は自分が損をする訳ですから。
あ、ここまで書いておいて何ですが、私個人は“プロキシは使わない人”です(爆)。例えメタゲームで使うスパーリング用のデッキであっても、基本的には必要なカードを揃えて組みます。「なぜ?」と言われると辛いのですが、ただ私は基本的に世間で“高い”“強い”と言われているカードは使わない人なので、カードが入手できなくて困ったというケースがほとんどないのです。 (^^; 本当に困ったら持っている人に借りて後で返すのかな。まあ“そういう M:tG の遊び方もある”という事です(笑)。