4年に1度の“農園・国勢調査(!?)”の結果がまとまった。回覧板を持ったジェニファーがヒッピーの家にやって来た。「こんにちわ、ヒッピーさんいる?」
「はい、いますよ。」
「これこれ、国勢調査の結果が回って来たわよ。」
「そうですか。しかし農園なのに“国勢”調査というのは変な話ですねぇ。」
「それ・・・言っちゃ駄目らしいわよ。」
「あ、そうでしたね。それにしても最近役所もパソコンを導入したせいか、集計が早くなりましたねぇ。」そして2人は一緒に昼食を食べながらその中身を見始めた。
「どれどれ・・・あ、やっぱり平均年齢がどんどん上がってる。」
「確かに。でも“天使”に寿命ってあるんですか?」
「その言葉、そっくりそのままお返ししますわ、“死霊”さん。」
「あ、そう言われればそうですね。」実際この2人はこの農園に来てもう何年も経つのだが、来た当時からその風貌は全く変わっていないのだ。
「これこれ、農園の人口比率が出てるわよ。」
「本当だ、どれどれ・・・。やはり“天使”族は多いですねぇ。あと意外に多いのが“鳥”族ですか。」
「極楽鳥さんなんか、森に行くと群で飛んでるもんね。」
「魔道師ってあんなに躍起になって“鳥”を求めるのに、何でここまで狩りに来ないんですかね?」
「でもここに飛ばされたり雷で撃ち落とされたり、鳥さんも大変ね。」
「それ・・・なんか身につまされるんですけど。」そういえばヒッピーの仲間も似たような境遇だ。「嫌な事思い出させちゃったな。」ジェニファーはちょっと反省した。
「あれ?、この“ 敵:92% 味方:8% ”って数字は何ですか?」
「それ調査の設問にあったあれよ。『貴方をこの農園に飛ばしたのは敵の魔道師ですか?、味方の魔道師ですか?』の回答。」
「ああ、なるほど。ジェニファーさんのお仲間は随分と良い待遇を受けてたんですね。」
「それ、冗談じゃなかったらぶっ飛ばしますよ。」
「あ、ごめんなさい。なんか他人事じゃなかった物で。」
「え!?、それじゃあヒッピーさんって・・・」
「しかも“高潔のあかし”ででっかくなった所でね。」実際国勢調査の“死霊”の欄にも“ 敵:98% 味方:2% ”と書いてある。「本当魔道師とは身勝手な物だ。」2人は改めて思った。
更にしばらく見ているうち、2人は同じ行に差し掛かってそこで止まった。
「これ・・・ Ihsan's Shade って書いてあるよね?」
「確かに。でも・・・どうやって?」
「そういえば昔、私の目の前で黒騎士さんが飛ばされた事があったなぁ。確か飛ばされる前に別の青い呪文がかけられていた気がします。」
「ふーん、そんな事ができるんだ。」そしてリストもそろそろ最後になった頃・・・
「ねぇ、見てみて。これ“ 敵:0% 味方:100% ”とか書いてあるよ。」
「これ・・・かなりひどい境遇の持ち主ですねぇ。一体どなたですか?」そこには Autumn Willow という名前が記されていた。2人の口から同時に同じセリフが出た。
「よっぽど切羽詰まってたんだなぁ。」
補足: この際なので白状しますが、私は上の“味方:8%”に何度となく貢献しました。 (^^; ついでに言うと、対戦相手の墓場にいるジェニファーを動く死体で釣って、1度ブロッカーにしてからそれを食べました(爆)。という事で、私と同じ経験をした方、素直に名乗り出るように(ぉ。