ミシュラのある1日(R指定)

 小春日和の昼下がり、ミシュラは1人研究室で物思いに耽っていた。

「はぁ〜、今日も何事もない穏やかな日だなぁ。」

 しかし、その静寂を破るように「ドタドタドタ・・・」と近づく足音。
 次の瞬間、研究室の扉が「バタン!」と開く。

「先生、ミシュラ先生はいらっしゃいますか?」
「なんだ、アシュノッド君。相変わらず君は騒々しいなぁ。」

 アシュノッドは荒げた息を少し落ち着かせて話を続けた。

「はぁ、あ、いえ、すいません。ちょっと興奮していた物で。」
「どうした?、また凄い発明でもしたのかね?」

 この2ヶ月程前、アシュノッドはドミナリアの人々から傑作と賞賛される“人体改造器”と“供儀台”を発明し、ミシュラから「私の自慢の一番弟子」という誉め言葉をもらってすっかり舞い上がっていた。

「そうなんです、流石ですね先生。」
「うん、まあ2ヶ月前と全く変わらない様子だったからな。」
「先生、今度のも凄いですよ〜!」
「・・・まさかとは思うが、また例の『あれ』かい?」
「決まってるじゃないですか。その『拷問具シリーズ』ですよ。」
「君は見かけによらず、本当に好きなんだなあ、拷問具が。」
「そりゃそうですよ。『拷問こそ我が人生』ですから!」

 アシュノッドがニコリともせずに真顔でこの台詞を吐いた事に、ミシュラはちょっとだけ不安を覚えた。しかし彼女のアーティファクト工匠としての腕は確かだ。これは期待が持てる。

「どれ、ではその自慢の作品とやらを見せてもらおうか。」
「そうこなくっちゃ。まずはこれです。」

アシュノッドの鞭 

:アシュノッドの鞭は対象のプレイヤーまたはクリーチャーに1点のダメージを与える。ここでプレイヤーにダメージが与えられた場合、そのプレイヤーは「OH!」と叫ぶ。これを言わなかった場合、アシュノッドの鞭は更にそのプレイヤーに1点のダメージを与える。

「・・・こんな感じの呪文、数年前にどこかで発掘されてなかったっけ?」
「ええっ!?、誰ですか、私の真似をしたのは?」
「いや、そういう問題じゃないだろう。」
「このアーティファクトを普及させて、ドミナリア各地で『正しいOH!発声講座』を開いて一儲けできると思ったのに。 (T_T) 」
「ホーキーポーキーじゃねえっての。」

 「これは今一つだったかな?」アシュノッドはその場の空気を感じてちょっと慌てた。

「じゃあ先生、次を見て下さい。これは凄いですよ!」

アシュノッドの蝋燭 

:アシュノッドの蝋燭は対象のプレイヤーまたはクリーチャーに1点のダメージを与える。
:アシュノッドの蝋燭をアンタップする。

〜 熱いのは最初だけ、段々良くなるんだよ。−アシュノッド− 〜

「フレイバーテキスト付きかい!」
「ええっ、お気に召しませんか?」
「お気に召すとか召さないとか、そういう問題じゃないだろう。」
「いやぁ、結構いい出来だと思ったんだけどなぁ・・・」
「まあアーティファクトの能力としてはなかなかだが・・・」
「いや、フレイバーテキストが。」
「そっちがメインかい!」

 「ちょっとまずいな。」アシュノッドは焦った。このままではせっかく築き上げたミシュラ研究所内での自分の地位が危うい。

「じ・・・じゃあこれ、これは先生も気に入ると思いますよ。」

アシュノッドの亀甲縛り 

アンタップステップの開始時、コントローラーはアシュノッドの亀甲縛りをアンタップしない事を選択しても良い。
:対象のプレイヤー1人を縛る。そのプレイヤーはアシュノッドの亀甲縛りがタップ状態にある限り、この縛りを解く事ができない。

「・・・これ犯罪じゃねえのか?。」
「何言ってるんですか、拷問なんですからこれ位当然じゃないですか。」

 「ちょっとこいつを育てる方向性を間違えたかも。」ミシュラは反省した。

「で・・・この他にもあるのか?」
「はい、アシュノッドのイ○○ク○○に・・・」
「もうやめてくれ、とてもじゃないけどこんなの公開できないって。」
「そんな・・・もう既に人体実験まで済ませてあとは売り出すだけなのに!」
「じ、人体実験って・・・誰を使ったんだ?」
「え!?、いやぁ、その辺で暇そうにしてたミシュラ先生のお兄さんを・・・」
「ウルザ兄さんをだって!?」

 その時、別の弟子が研究室に駆け込んできた。

「た、大変です、ミシュラ先生。ウルザさんが大軍を連れてこちらに攻めて来ます!」

 ・・・これが世に言う“ Brother War ”の発端である事は言うまでもない。


※ 本作品の“R指定”について

 これですが、内容そのものよりも「これって昔からのデュエリストで Antiquities のバックストーリーを読んでいないとネタ分からないだろう。」という事でのR指定です。ですからX指定でも構わない気がします。なんか日記公開をきっかけに僕の中で何かが弾けたというか、とても大事な歯止めが吹っ飛んだ気がします(嫌爆)。



   
なお、このページの内容に関する文責はすべて私 あいせん にあります。