西暦20XX年。来るべき外宇宙からの驚異に備えるべく、地球防衛機関“コンドル”が組織された。そしてここに、世界中から集められた精鋭5人が日本支部に集結していた。シャーッ(自動ドアが開く音)
「起立!」
「ああ、そんなに形式張らなくていいよ。」
「お久しぶりです、司令。」
「うん、よく来てくれた。座ってくれ。」
「ところで我々をお集めになったのは?」
「ああ、早速だが本題に入らせてもらおう。実は君達5人で戦隊を組織する事になった。」
「せ・・・戦隊ですか!?」
「そうだ。来るべきエイリアンとの決戦に備え、我々コンドルの先頭に立って戦う象徴的な戦隊となる予定だ。」
「それはまた、凄い任務ですね。」
「私達に務まるかしら?」
「それは心配ない。君らはコンドルの中でも選りすぐられた戦士だ。君らに務まらなきゃ誰にも務まらんよ。」
「で、戦隊の名前などは決まったのですか?」
「ああ、戦隊そのものの名前は決まっている。『マジック戦隊・ぎゃざレンジャー』だ。」
「『マジック戦隊・ぎゃざレンジャー』ですか!?」
「なかなか強そうな名前ですね。」
「そうだなぁ。ぎゃざが平仮名なのがイカスよな。」
「ただ・・・君ら5人のコードネームがまだ決まっておらん。というか、今決めて欲しいのだ。」
「今・・・ですか!?」
「そうだ。これからユニフォーム等も設計しなければいかんからな。」
「具体的にはどういう?」
「君達5人にはそれぞれ『白』『青』『黒』『赤』『緑』という色を割り当てている。君らが座っている椅子の色がその色だ。その色のカードから君達自身を象徴するカードを選んでくれ。どのカードを選ぶかは君らに任せる。」
「私は白だから『セラの天使』以外にないわね。」
「僕は緑だから・・・『大地の怒り』なんかどうだ!?」
「うわあ、マイナ〜!」
「おいおい、そんな事言うと岡山支局からメールボムが届くぞ。」
「あ、ごめんなさい。強そうだしいいんじゃないの?」
「俺は黒だから、当然 Juzam ・・・」
「ぶっぶ〜!日本支部の意向で『日本語版のあるカードでなきゃ駄目。』だそうだ。」
「なんだそりゃ?英語版しかない物は使っちゃ駄目なのか?」
「なんでも軍規違反は銃殺らしいわよ。」
「どさくさ紛れに好き放題やってるなぁ、日本支部は。」
「じゃあ俺は『奈落の王』でいこうか。」
「・・・食べちゃいや〜ん♪」
「誰がホワイトなんぞ・・・」
「なんだと、こいつ!」
「おう、なんだ、やるのか?」
「まあまあ待て待て、こんな所で仲間割れしてどうする。」
「・・・まあ、確かにそうだな。」
「僕は青なんだけど、なんか皆パワー系ばかりだな。という事で、頭脳労働担当の僕は『時の精霊』という事で。」
「さすがはブルー、しっぶ〜い!」
「力と技の融合か、こりゃいい感じだ。」
「さて、問題はレッドだ。レッドと言えば戦隊の中ではリーダーと相場は決まっている。ビシッと決めてくれよ!」
「ああ、分かってるさ。任せろって。」
「で、もう決まったのか?」
「ああ、この話を聞いた瞬間に俺の心は決まったぜ!」
「で・・・何なの?、ドラゴン?、それともドレイク?」
「・・・『エイトグ』。」
「・・・は!?。」
「・・・だからエイトグだって。」
「エイトグって・・・あのカエル!?」
「カエルって言うな!、ちゃんとエイトグと名前で呼べ!」
「エイトグってさあ、それはちょっと・・・」
「何を言ってるんだ、可能性としてはお前らの誰よりもでかくなる可能性があるんだぞ!」
「そりゃあまあ、そうだけど・・・」
「第一我々戦隊には子供達に夢を与える責任がある。やはり戦隊の中にはエイトグ位可愛いマスコットがいないと駄目だろう?」
「・・・は、はあ・・・」
「エイトグが先頭に立って我々が戦ってみろ、コンドルの士気高揚は間違いない。しかもエイトグ量産の暁には・・・」
「・・・し、司令!?」
「どのカードを選ぶかは君らに任せてある。レッドがエイトグを選んだ以上、私はそれを支持する。」
「そ、そうですか・・・」
「そういう事なら・・・」
「仕方ない・・・」
「ですね・・・。」
「なんだ、お前ら揃いも揃って歯切れが悪いな!?」
「い、いや・・・もういいです。」
「これで決まりだな。という事で、ユニフォームや武器の設計に入らせてもらう。」
そして1ヶ月が経ったある日。
「ふう、今日の訓練も厳しかったな。」
「そうね、ちょっとハード過ぎない?」
「なんでも我々に支給されるバトルスーツの着用に備えての事らしい。」
「噂によると、かなりのパワーらしいぞ。」
「そりゃそうだろう、我々のカードを象徴した物だからな。」その時けたたましく警報ブザーが鳴り響く。
「な、何だ、何があったんだ?」
そこに司令が血相を変えてやって来る。
「大変だ、エイリアンの侵攻開始が予想よりも早まったらしい。」
「そ、そんな!?」
「我々のバトルスーツは?」
「一応完成はしているが、最終試験がまだ・・・」
「そんなの、今やっちゃえばいいでしょう!」
「とにかく今はエイリアンの侵攻を止めるのが先です!」
「わ、分かった。皆来てくれ。バトルスーツを渡そう。」司令は“最高機密”と書かれた部屋の扉を自分のIDカードで開けた。
「こ・・・これは!?」
そこには5人分のバトルスーツが!
「こ、これですね。」
「早速装着して出撃します!」
「分かった。使い方は随時説明するから装着しながら聞いてくれ。」
「このケーブルは何ですか?」
「それは生命維持コード、君らが選んだカードの中にアップキープ・コストが必要な物があったから付けた物だ。戦闘中でも絶対に切れないように守ってくれ。切れたら何が起こるか私にも分からん。」
「・・・もうなんか、嫌な予感大爆発ね。」
「こういう物は切れるために付けると相場は決まってるもんな。」
「まあ、これも戦隊物の宿命というやつか。」
「・・・おい、ゴチャゴチャ言ってないでスーツ着ちまおうぜ。」
「お、俺のアーティファクトは!?」
「そのケーブルから好きなだけ供給するから心配するな。」
「あ、そうなると意外といけるのでは?、エイトグも。」
「そういう事なら、俺も『堕天使』にすれば良かったかも!?」5人はバトルスーツの装着を終えた。
「ブルー、ちょっといいか?」
「なんですか?」
「いや・・・ちょっとアーマーの向きがおかしくないか?直してやるよ。」
「あ、ありがとうございます。」「よし、準備はいいな!・・・出撃!」
米国のコンドル本部。エイリアンとの激戦が展開していたが、どう見てもコンドル側の不利は明らかだった。
「ニ・・・ニホンカラノ オウエンハ マダカ?」
「ダ、ダメデス、モウ モチマセン。」
「コ、コレマデカ・・・」その時だった・・・
「待て!それ以上好きにはさせないぞ!」
「DA、DAREDA OMAERAHA?」「エイトグレッド」(しゃきーん)
「タイムブルー」(しゅわーん)
「ロードブラック」(どわーん)
「エンジェルホワイト」(きらーん)
「ネイチャーグリーン」(ずどーん)
「5人揃って・・・」「『マジック戦隊・ぎゃざレンジャー』」(ちゅどーん×5)
「GYA・・・GYAZA−RANGER!?」
「CONDOR NO SENRYOKU DATA NIHA ARIMASEN!?」
「KAMAWAN MATOMETE KATAZUKERO!」戦闘は過酷な物だったが、ぎゃざレンジャーの活躍もあってコンドルは劣勢を挽回した。
しかし、もうすぐエイリアン・キングを倒せるというその時である・・・
ぷち!
「ああっ、5人の生命維持コードが切れた!」
「なに?、こんな大事な時に!」
「とにかく早くつなぐんだ!」しかし、その時である・・・
「あ・・・アップキープぅ!!」
ブラックが突然暴走してホワイトに襲いかかった!
「きゃあ、ブラック何をするの!?」
ガブ・・・むしゃむしゃ・・・
「ほ・・・ホワイトを食ってる!?」
「駄目だ・・・グリーン、ブラックを停止させろ。方法は任せる。」しかしそのグリーンも・・・
「み・・・緑マナが・・・」
ボカ!
「グリーンが暴走。どういう訳か自分を殴ってます!」
「なんだって!?」
「・・・グリーン停止!完全に沈黙しました!」
「いかん、司令を呼び出せ。ブラックの停止コードを入力させろ!」
「駄目です、司令はホワイトの補食シーンを見て失神してます!」
「全く、どいつもこいつも・・・。ブルー、お前の能力でブラックを戦場から離脱させられないか?」
「駄目です、コードが切れてマナの供給を受けられません。」
「くっそお、ここまでか!」目の前には暴走したブラックが、次の維持費を求めて迫ってきていた。
「何とか・・・アーティファクトさえあれば・・・あっ!」
レッドは何かを思い付いた。
「よっしゃ、いちかばちかだ!」
レッドはその場で何かを拾い集め、そしてそれを持ってブラックに目がけて突進した!
「ブラック!、俺を食わせてやる。俺の攻撃をブロックしやがれ!」
暴走したブラックは言われるままにレッドを止めた。その時だった・・・
「今だ!」
レッドは5人分の切れた生命維持コードを自分の口に押し込んだ!
あっと言う間にレッドの体がそれまでの数倍に巨大化した!「食らえ!、超スーパーウルトラハイパーグレイトATOGパ〜ンチ!!」
「う、うわぁ〜!!」11/12にパワーアップしたレッドのパンチにより、暴走したブラックはあっけなく沈黙した。
「ついでにお前もだ、エイリアン・キング!」
「駄目です!、キングを殴る前にレッドのパワーアップはタイムアップします!」
「大丈夫だ、お前のバトルスーツに2枚カードを隠しておいた。それを俺に使え!」
「え!?、は、はい!」ブルーはスーツの中からレッドが隠しておいた2枚のカードを取り出した。
「こ、これは・・・」
「いいから、早く使え!」
「は、はい!!!」ブルーはその2枚のカードを詠唱した。
次の瞬間・・・レッドは巨大な火球と化してキングに襲いかかった!「GI・・・GYAAAAAA!!!!!!」
・・・おぞましい悲鳴と共にエイリアン・キングは跡形もなく消し飛んだ。
どの位時間が経っただろうか。コンドルの司令が目を覚ました。
「うっ、あいたたた。て、敵はどうした?、ぎゃざレンジャーは?」
辺りを見渡すと、そこにはブルーの姿があった。
「ぶ、ブルー、無事だったか!他のメンバーは?」
「い、生き残ったのは僕だけです。」
「そ、そうか・・・その手の火傷はどうしたんだ?」
「こんな火傷くらい大した事はないです。」
「そうか。で、一体何がどうなったんだ?」
「ホワイトは暴走したブラックに補食され、グリーンはダメージを与える相手がいなくて、結局自分にダメージを与えて絶命。」
「そうだったな。・・・で、レッドは?」
「暴走したブラックをレッドがパワーアップして停止させ、そして・・・」
「そして・・・」
「レッドはこれを自分に撃てと・・・」そしてブルーが司令に見せた物、それは詠唱を終えて紙屑と化した Black Lotus と Fling だった。
「レッドは僕のスーツにこれを隠してあったんです。多分こうなる事を予感して、万が一の時は増強した自分に撃たせるつもりで僕に・・・うっ、うっ・・・」
こうして地球はエイリアンの侵攻から守られた。
・・・その後、日本支部に戻ったブルーが軍規に違反して Black Lotus を使った罪で銃殺されたのは言うまでもない。