“デュエルルーム”に関する考察

 最近インターネット上で“ M:tG 販売店のデュエルルーム閉鎖や利用制限の拡大”が話題になっています。私から見るとこれは日本の M:tG に取っては死活問題とも思える深刻な事態なのですが、どうも特にその閉鎖や制限強化の原因を生み出しているデュエリスト達にそれに対する認識が薄いような気がしています。

● “デュエルルーム”とは?

 私は自分が勤めていた M:tG 販売店で2度デュエルルームの運営をした経験があります。1度目はある書店の玩具コーナーに私の独断でデュエルルームを開設し (^^; 2度目はマナソース福井店のデュエルルームの運営をほとんど任されていました。ですから私個人はこのデュエルルームという物の存続がいかに大変かを知っている人間の1人だと自分では思っています。

 私は基本的に「デュエルルームとは“場”であり、それが直接売り上げや利益を生み出す物ではない。」という持論を持っています。私は自分が運営していたデュエルルームで利用料を取った事は無いのですが、もし取ったとしてもそれは“デュエルルームの維持”とか“利用者数の制限(により快適に利用してもらう)”以外の目的を持たないでしょう。また取った場合にはそこでのイベント開催等を頻繁に行い、何らかの“還元”をするでしょう。

 ただある程度の規模のデュエルルームが“間接的にその店の売り上げや利益に結び付く”のは間違いない事実です。実際私が勤めた2店ではデュエルルーム目当てのお客さんが間違いなく多かったですし、そういう人達の多くがちゃんと店でカードを買ってくれました。またマナソース福井店ではデュエルルームを最大限に活用したイベント等を開催し、それによる知名度アップ等で集客数&売り上げを伸ばしていました。

● なぜデュエルルームが閉鎖されるのか?

 最近日本の M:tG 販売店でデュエルルームに対する風当たりが強まる傾向にあるようです。これに関して私は“販売店の問題”と“利用者の問題”の2つがあるのだろうと考えています。

 私個人は「日本の M:tG 販売店の多くは『デュエルルームの存在意義とその維持の難しさ』を理解せずに運営しているのではないか?」と考えています。デュエルルームでトレードを認めれば当然“シャーク”や“現金トレード”(あるいは盗難)の問題が起きます。それは一歩間違えばその店自身に対する風評の低下を招き、最悪の場合閉店にすら追い込まれる可能性があるのです。そういう危険性を販売店側が認識しているとすれば、少なくとも“ M:tG 等のTCGに関する知識を持った店員がいない販売店はデュエルルームを設置しない”という選択を取るはずなのです。ここで例えばそのデュエルルームでトレード禁止等を掲げたところで実効性はありません。そういう問題を起こす奴は最初から隠れてやるのですから、禁止したところで何も変わらないのです(笑)。

 それとデュエルルームの利用者の多くに“このデュエルルームは販売店の好意により維持されている”事、そして“それには経費がかかっている”事に対する認識がかけらも無いのです。毎日のようにデュエルルームには遊びに来るのにカードは隣の店でしか買わない。あまつさえその店のお客さんをシャークして M:tG から遠ざけてしまう。こんな利用者ばかりのデュエルルームなら私だったら3秒で閉鎖しますよ(爆)。本当思うのですが、最近の日本のデュエリスト達って、どんどん自分自身の手で M:tG を遊びにくい物にしていませんか?。

● デュエルルーム設置店への提案

 私は日本のデュエルルームを設置している M:tG 販売店の皆様に“できない物はやらない方がいいのでは?”と提案したいと思います。自店のスタッフでデュエルルームのちゃんとした維持ができないなら、最初からデュエルルームなんか設置しない方がいいと思うのです。その分経費を節減して例えばイベントを開催したりパックの値下げをした方が、結果的にはその販売店の集客力(風評)アップにはプラスに働くと私は考えています。

 最近の人達は“恩義”という言葉には非常に縁遠いようです。こちらがどんなに手厚いサポートやサービスをしても、隣に10円でも安い(でも何のサポートもサービスも無い)販売店があればそちらで買い物をするようです。しかしそれって頑張ってサポートやサービスをしようとしている販売店としては馬鹿らしいですよね?。だったら“顧客が求める物(=10円でも安いパック)”を提供するために、それ以外のサポートやサービスをバッサリ切り捨てるという選択を取っても構わないのではないでしょうか?。

 また販売店がそれでもサポートやサービスで勝負したいと思うのであれば、例えば“一見さんお断り”的なデュエルルームを開設しても構わないだろうと思うのです。実際私が知っているある M:tG 販売店はこれをやっていますが、結構アットホームな感じがして私は好印象を持っているのです。販売店には“顧客にサービスを提供する”義務はあっても“日本の M:tG に尽くす”必要なんか無いはずなのです。

● デュエルルーム利用者への提案

 まず私は何と言っても“自分が買い物をしない販売店のデュエルルームは利用するな!”と言いたいです(笑)。はっきり言って販売店から見ると迷惑先晩です。販売店が設置しているデュエルルームは普通、自店でカードを購入してくれている人達へのサポート/サービスとして開設しています。それをその店では1度もカードを買った事の無い利用者に毎日のように利用され、あまつさえ常連面されるわシャークはするわでは踏んだり蹴ったりなのです。

 またデュエリスト個人が“デュエルルームを開設してくれている販売店の売り上げに貢献する”事も大事なのです。自分はお小遣いが少なくてあまりカードを買えなくても、友達を誘ってそこでのカード購入を勧める事だって可能でしょう?。そういう積み重ねがやがてはあなたと販売店との信頼関係を生みだし、例えば「イベントやるなら賞品出してあげるよ。」とか「今日はちょっと値引きするか。」といった販売店からのサポートやサービスに結び付くのです。少なくともそういった利用者と販売店の信頼関係が強い店で、デュエルルームが閉鎖されたりトレードが禁止されたりなんて事態は起こりようが無いのです。

● デュエルルームを巡るもう1つの問題

 実はこの“デュエルルームの利用状況の悪化”の裏に、もう1つ別の問題が潜んでいる可能性が浮かび上がってきました。それが“ M:tG サークルの減少&活動の衰退”です。

 私の経験上、デュエルルームには“常連グループ”ができるのが普通です。その常連さん達は例えば M:tG 初心者へのサポートやアドバイスをしてくれたり、トレード等によるカードの供給をしてくれたりします。ただもしその(しっかりとした)常連グループが無い、あるいはそのグループが悪意を持った活動しかしていないとしたらどうでしょう。間違いなくそのデュエルルームは周囲から敬遠され、販売店も閉鎖を真剣に考えざるを得なくなります。

 日本の優良な M:tG サークルが減ったのには、例えばDCIJの(個人主催の)DCI公認大会に対するサポートの悪さと言った問題が潜んでいたりします。以前の記事にも書きましたが、以前のDCIJは個人でDCI公認大会を開催しようという有志に対して「これでもか!」という位の冷徹な対応をしてくれています。実際私の地元でもそれにより M:tG サークルがDCI公認大会開催への意欲を失って活動が休止しています。

 まあその他“国内での販売価格”の問題や“他の国産TCGの躍進”といった背景もありそうですが、とにかく今の日本には以前のような元気のいい M:tG サークルが間違いなく減っているようなのです。そのためデュエルルーム内にデュエリスト自身による“自浄作用”が起こらなくなっている可能性がかなりありそうです。

● では、どうすればいいのか?

 う〜ん、どうしましょうかねぇ?(笑)。今の日本に“デュエルルーム運営のモデルケース”と言い切れる位成功している販売店があれば良いのですが。そりゃあどこかのセンターみたいに“月額5000円”で人が集まるような恵まれた環境なら販売店も楽ができそうなのですが (^^; 大部分の販売店ではデュエルルームの利用に対してあまり高額な利用料は取れないだろうし取りたくないだろうと思うのです。

 少なくとも私の意見は、上の“提案”に書いた通りです。「維持できない物を無理に維持しない。」「維持してくれている販売店に感謝して利用する。」この2つが守られれば、デュエルルームでのトラブルはかなり減らせるだろうと私は考えています。それにしても最近思うのですが、本当販売店とお客さんとの関係って昔に比べて疎遠になったものです。そういう世相に淋しさを感じているのって、私だけなのですかねぇ?。


   
なお、このページの内容に関する文責はすべて私 あいせん にあります。