ちょっと気が早いですが“来年の M:tG ”を私なりに占ってみます。本来こういう記事は年初に公開する物なのですが、あまりに内容が・・・なので、今年のうちにやっちゃいます(ぉ。
2000年の話をする前に、簡単に1999年の振り返りをしておきます。私は今年の年頭に、ある草の根ネットで“1999年の M:tG の予想”をしています。そこで私が書いたキーワードは「 Portal 三國志の大ヒットに伴う M:tG ブーム到来」「それに伴うDCI公認大会の衰退」そして「国産TCGの苦戦」等でした。ですからこの予想に関しては概ね“外れ”だったというのが私の認識です(笑)。去年の予想は半分願望で書いた物なので、できれば当たって欲しかったのですが・・・。
ですがDCI公認大会に関しては、例えば DECK EXPRESS 等に掲載されるイベント情報が、特に今年後半になって少なくなったという印象を私は持っているのですが、実際はどんな物なんでしょう?。ただあの辺の告知は比較的早い段階(開催の2ヶ月前)位に申請のあったイベントしか掲載できないので、主催者側が早めに手を打たないとイベントを開催しても掲載してもらえないケースがあります。ですから少なくとも“定例化されたイベントが減ると掲載される物も減る”事は間違いないのですが。
あと国産TCGの市場拡大は、確実に M:tG 市場にも影響を及ぼしつつあるようです。実際福井という地方都市ですら、今は M:tG よりもアクエリアンエイジのイベントの方が頻繁に開催されていたりするのです(笑)。イベントの規模とか集客力という点ではまだ M:tG の物には及ばないのですが、このままの状態が続けば形勢が逆転するのは時間の問題ではないかという気がします。
私は別に占星術師でも何でもないので、私の予想は大抵「現時点で起きている事象が来年以降にどういう影響を及ぼすか?」を元にして書いています。そこでここでは“今年起こった M:tG に絡む事象”を取り上げ、それが与える来年への影響を私なりに分析してみます。・ もはや日本の M:tG に“ブームの芽”はない!?
私は「 M:tG を日本でブームにしたいのであれば今年が最後のチャンスだった。」と考えています。 Portal 三國志といったより幅広いユーザーを獲得するための商品が発売され、また小学館の雑誌に M:tG 漫画が掲載されました。これだけ日本で M:tG を広める(ブームにする)ための要素が揃ったのに結果は大した事が無かった、これは私に言わせると“もう日本で M:tG がブームになる芽は無くなった”と考えられるのです。ブームという物は“きっかけ”があってやって来ます。しかし日本の M:tG はブームを生み出すために取り得るきっかけ(手段)をほとんど使い切ってしまった、それが私の印象です。ただこれに関してWoCはまだ諦めていないようで、小学館の新創刊雑誌に例の“箱絵の天使”の使用を許可したりしているようですが(つまり代理店なんか当てにしてないという事ですか? > WoC《嫌爆》)。あと日本でブームになる遊びって“他に類似品が無い”からブームになっているのです。当然ブームになった物は後発商品(類似品)の追い上げを受けるのですが、その時点でブームを作った物は既に廃れているか、あるいはブームを越えて“文化”になってしまっています。ところが日本のTCGは最近国産TCGが元気で、特に今から M:tG を選んで遊ぶ理由が薄れつつあります。今後例えば何らかのきっかけでTCG人口が増えたとしても、その人達が全員 M:tG を選ぶ理由は無いのです。むしろ米国生まれで必ずしも日本人に合っているとは言えない M:tG は、場合によっては今後起きるかも知れないTCGブームで置き去りにされる可能性すらあります。国産TCGは我々日本人ユーザーの声を反映しやすいが M:tG はそうじゃない、その差が様々な形で現れ始めるかも知れないという事です。
私は M:tG を始めた当初から「 M:tG を日本でブームにする気はないし、なって欲しくもない。」と考えています。ブームに乗って小中学生等の低年齢層が M:tG を始めた時の弊害については、ここでも何度か話題にしています。ただこの“ブームが来ない”を“ニューカマーが来ない”と読み替えるとどうでしょう。これはかなり問題です。最近の M:tG はまだDCI公認大会への偏重が顕著でしかもライトユーザー化しており、それでなくてもニューカマーが入りにくい(入っても定着しにくい)雰囲気になっています。それを後押ししてくれるのがブームな訳で、それが来そうにないとなると・・・という感じです。
・ M:tG のネットゲーム化が加速!?
最近「カードは買っていないけどネットゲームで M:tG は遊んでいる。」という方が増えたようです。格安に遊べる上にインターネットの普及で対戦相手に困る事も少なく、自分が好きな時間にいつでもデュエルができる。これはTCGとしての M:tG には無い魅力であり、1度こういう形で M:tG を遊び始めた方を本来のTCGに引き戻すのはなかなか難しいだろうと思われます。これに加えて実は“WoCの親会社である Hasbro 社がネットゲームへの参入を発表している”という情報があります。来年の春にそのためのポータルサイトを開設するそうで、そこに Hasbro 社の持つ知的資産が総動員される可能性は大いにあります。従って Hasbro 社がネットゲーム参入の目玉として M:tG を導入する事は容易に想像が付くのです。しかもWoC自身、今年の夏頃からエレクトリック・アーツの系列企業と“限りなく M:tG に近いオンラインのTCG”を共同開発していますし。
ただこうなると「 M:tG が来年以降もTCGとして発売されるのか?」という疑問が生じます。少なくとも“エキスパンションがカードとして発売される前にネットゲーム上で先行リリースされる”なんて事はありそうな気がします。ネット上で1〜2ヶ月プレーしてもらって問題点を洗い出し、その結果を反映してカードを作成(発売)するのです。普通に考えればその方が遙かに効率的ですし、結果的には M:tG の質の向上にもつながるかも知れません。
・ 走り出したら止まらない!? “最悪のシナリオ”への道
最近 M:tG 販売店の閉店やデュエルルームの閉鎖が相次いでいるようです。これに関しては別の記事でも話題にしているので詳細は割愛しますが、ただ「販売店やデュエルルームが減ったからと言ってデュエリスト自体が減っている訳ではない。」のです。これが何を意味するかと言うと、例えば“デュエリストの行き場がない”あるいは“他のデュエリスト(グループ)と接する機会が得にくい”等と言った問題を生んでいるという事です。こうなると個々のデュエリストがより多くの人達(デッキや情報)に接する機会が減り、これによりデュエリストのスキルの成長が停滞する事になります。またトレード等が活発に行われないためカード資産がだぶつき、結果的にカードの売り上げにも影響を及ぼすのです。するとこれにより、販売店が「日本の M:tG はいよいよ下り坂なのでは?」という印象を持ち、ますます M:tG の取り扱いをやめる店やデュエルルームを閉鎖する店が現れます。つまりこの現象は1度起き始めると相乗効果で規模が大きくなり、それがある一定の規模になるともう誰にも止められなくなるのです。
・ 日本人デュエリストの行き着く先
上記に上げた事がすべて現実になると、今までのように販売店でカードを買ってTCGとして M:tG を遊び続けようと考えるデュエリストは、その環境の悪化に悩まされる事になります。そして「それでも M:tG を続けたい!」と思ったデュエリストがどこに行き着くかを考えると、2つ程方向性が見えてきます。その1つが“ M:tG の家庭用ゲーム化”であり、もう1つが“より狭い範囲のグループによる組織化”です。デュエルルームもイベント等の販売店からのサポートも期待できない場合、デュエリストが取るべき選択肢は案外少ないのです。この2つの方向性は日本の M:tG 市場に対して“国内ルートでのカード販売数量の低迷”と“並行輸入による販売数量の拡大”を同時に招きます。またDCI公認大会への参加者の減少等により“日本の M:tG に対するスキルの著しい低下”にもつながるのです。そしてもう1つ、この現象では“代理店が日本国内の M:tG 市場で孤立する”という事象が起こり得ます。小学館の雑誌で M:tG を知り、インターネット上で見つけた並行輸入の販売店でカードを買い、日本語の情報もインターネットから得る。こんなデュエリストが今後は主流になるかも知れないという事です。確かに代理店は今日本語版を一手に握っています。しかしそれにしても何らかのきっかけで「 M:tG は英語版で遊ぶのが格好いい。」なんて形で M:tG が広まれば一巻の終わりです。実際子供は柔軟ですから、その気になれば英語なんて苦にしないでしょう。しかも英語版を攻略するための情報なんて、それこそインターネット上を探せば無料で手に入る訳ですし。
私は去年、日本の M:tG に関してかなり好意的な予想をし、そしてそれは外れました。 (^^; ですから私は今回はできる限り悪い予想をして、それが外れてくれる事を期待していたりします。ただ、最近の日本の M:tG を巡る事情に“将来を楽観視できる好条件が無い”のも間違いないのですが(笑・・・えない)。私が上に書いた予想は、そのすべてが“日本の M:tG の売り上げは今後更に落ちるだろう”という想像を前提に書いています。ですから逆に日本での M:tG の売り上げが増えれば、今までと同様新しいカードは発売されるだろうし販売店だって維持されるのです。じゃあそのためにはどうすればいいのか?、それに関しては私は過去の記事に散々書いていますので、今回ここでは割愛します。
私が見ていると、今の日本の M:tG はかつて対戦格闘ゲームのブームが終焉を迎えようとしていた頃の様子そのままです。当時も色んな人達が“いかにして格闘ゲーム人口を増やすのか?”あるいは“面白い対戦をするためにはどうすればいいのか?(待ち/ハメ論争)”といった論議を繰り返していましたが、結局誰にもその衰退の歩みを止める事はできませんでした。ですから正直言ってしまうと私1人に M:tG がそうなる歩みを止められるなんて夢にも思っちゃいません。
ちょっと上の話に関連して私から提案を1つしておきます。私は先日の記事で「日本の M:tG は『儲かる幹線ルート』しか走っていない。」と書きました。それは言うまでもなくDCI公認大会への偏重を書いた物なのですが、同時に私は「今の M:tG の売り方は東京や大阪等の大都市圏しか見ていない。」という気がします。確かにそこさえ押さえればそれなりの売り上げは確保できるでしょう。でも現実にはその地域の販売店では値引き合戦が加熱していて、そのため今では大部分の販売店が並行輸入の英語版を売っているはずです。このまま大都市圏で M:tG 人口が増えたとしても、多分それで売り上げを伸ばすのは並行輸入業者だけなんじゃないですか?。
それに対してその他の大部分の地方都市では、まだそういった業者はあまり進出していないはずです。だとしたら「地方都市で M:tG を盛んにし、代理店経由でのカードを買ってもらう。」という発想になっても良いような気がするのですが。ただ地方都市では販売店自身の M:tG に対する知識ややる気は大都市圏に比べて相対的に低いでしょうし、結局インターネット等でカードを販売する並行輸入業者との競争はあるのです。そういう中でいかに自分達のルートで M:tG を買ってもらうのか?、それは代理店自身に創意工夫して頂くしかないのですが(ぉ。
最後に蛇足ながら「来年の私は何をするか?」的な話をちょっと書いておきます。今私は「2000年になったら、取りあえず1990年代にあった事を蒸し返してメーカーや代理店等の悪口を書くのはやめよう。」と思っています。 (^^; せっかく1000年に1度のミレニアムな記念の年を迎えるのですから、それまでの事は(忘れる訳ではないですが)持ち出すのをやめ、新しい年を前向きに見ていこうという事です。ただし、だからと言って“その話題を完全に封印する”訳ではない事は付け加えておきます。 m(__)m
あと来年はいよいよ私も“国産TCGに本格的に参入する”事になりそうです。ひょっとすると4月頃にはこの ぎゃざる に M:tG 関連の話題が全く登場しなくなるかも、そういう可能性すら私は否定しません(笑)。少なくとも今私の目には、かれこれ3年程付き合って来た M:tG よりも、全く未知の領域である国産TCGの方が魅力的に映っているのは間違いない事実です。私は自分の M:tG に対するのめり込み方はかなり狂信的だと思っているのですが、そういう人間ですら今はそうなのです。そして今は私の周囲でも“ M:tG は21世紀を迎えられない”なんて話がまことしやかに語られているのです。