譬喩品(ひゆほん) 関連語句 法華経。三車火宅の譬。三周。二乗作仏。 『法華経』巻二・譬喩品第三のことで、『正法華経』巻二・応時品第三にあたる。 『法華経』迹門・正宗分の第二品目で、前品の方便品に説かれた開権顕実・開三顕一の一仏乗義の法説を受けて、本品から授学無学人記品までの七品で一仏乗義を譬喩・因縁談等をもって説明し、法説・譬説・因縁説の三周説法によって仏の真意をすべての声聞たちに領解せしめ、その結果二乗作仏が実現する。この譬喩品では、まず舎利弗が方便品の開顕を領解して歓喜し、それに対して仏は舎利弗に未来成仏の記別(保証)を与え、その劫・国・名号を明かした。 前品の方便品からこの舎利弗授記までで三周の第一・法説周の一段が終了する。次いで舎利弗は千二百の阿羅漢のために開顕の法を説くことを懇願し、それに対して仏は三車火宅の譬えを説いて三乗方便・一乗真実の義を説示した(譬説周)。 本品の偈に見える「今此三界 皆是我有 其中衆生 悉是吾子 而今此處 多諸患難 唯我一人 能爲救護(今此の三界は皆是れ我が有なり。其の中の衆生は悉く是れ吾が子なり。而も今此の処は諸の患難多し。唯我れ一人のみ能く救護を為す)」は釈尊の主・師・親の三徳を示す文として重要視される。また、「以信得入…非己智分(信を以て入ることを得たり…己が智分に非ず)」等とあり、『法華経』の妙理の得悟が最終的には智ではなく信であることが明示されている。『念仏破関連御書』〔36847〕等に触れられている。 |