選択集(せんちゃくしゅう・せんじゃくしゅう)     関連語句 源空。専修念仏。捨閉閣抛。守護国家論
「せんじゃくしゅう」とも読む。二巻。法然房源空(1133〜1212)の著で、具名を『選択本願念仏集』という。日本浄土宗の根本宗典で、巻首題号等を法然が自書し、その後を安楽房遵西や真観房感西等が書き継いだ草稿本が京都・廬山寺に所蔵されている。
 建久九年(1198)に外護者の関白・九条兼実の請いによって撰述されたという。題号の選択本願とは阿弥陀仏の四十八願を指し、阿弥陀仏が法蔵比丘の昔に世自在王如来によって示された諸仏の二百十億の仏土について五劫思惟して、その中から捨劣取勝して立てた本願である。特に、その念仏往生の願は四十八願中の真髄であり、これを選択本願の念仏と称し、その念仏について諸家の要文を集めた書との題意で、主として浄土三部経や善導の『観経疏』の文を引いて念仏法門が宣揚されている。内容は聖浄取捨・正雑二行・念仏本願・三輩往生・念仏利益・特留此経・光明摂取・具足三心・行用四修・化仏来迎・釈迦讃歎・観経付属・念仏多善根・諸仏証誠・諸仏護念・阿弥陀経付属の十六章から成り、聖道門と浄土門の二門や難行道と易行道の二道、正行と雑行の二行を立てて、念仏のみが浄土門・易行道・正行であるとし、浄土三部経以外の一代聖教の捨閉閣抛が主張されている。
 また、菩提心ある念仏や観念の念仏、そして諸行往生等を徹底的に否定して、専修念仏の一行のみが勧説されている。法然の生前はこの専修念仏に対する諸宗の非難を考慮してか、わずかの高弟にしか書写が許されなかったが、没後刊行されるやその反響は激しく、高弁の「摧邪輪」や定照の「弾選択」などの批判書が出された。宗祖も御書の随所において本書を批判しているが、『選択集』を真正面から破折してその「謗法の根源」を明きらめんとして撰述されたのが『守護国家論』である。詳しくは『守護国家論』の資料・解題を往見されたい。