大般涅槃経 (だいはつねはんぎょう) 関連語句 涅槃。涅槃経疏 涅槃経
『涅槃経』『大経』と呼ばれ、釈尊の入涅槃とそれに先だって説かれた教説を記した経典。多数の涅槃部経典があるが、大きくは小乗涅槃経と大乗涅槃経に分けられる。大乗涅槃経として漢訳が現存するものは次の三本を数える。 ①『大般泥経』六巻十八品。東晋の法顕と仏陀跋陀羅が義煕十四年(418)に訳出。 ②『大般涅槃経』四十巻十三品。北涼代の曇無讖が元始十年(421)に訳出。大本涅槃・北本と呼ばれる。 ③『大般涅槃経』三十六巻二十五品。劉末代の恵観・恵厳・謝霊運の共訳。南本ともいい、章安潅頂の『涅槃経疏』はこの南本に拠っている。この三本の他に、唐の若那跋陀羅が訳出した「大般涅槃経後分」二巻がある。順序としては、六巻『泥経』が成立し、それを踏まえて四十巻本(北本)が後三十巻を増補して成り、さらに三十六巻本(南本)がそれを改編して訳出されたという。 梵名のマハー・パリニルヴァーナ・スートラは「偉大な完全な寂滅を説く経典」と訳され、小乗涅槃経が仏の入滅を中心とした出来事を主説するにの対して、大乗涅槃経ではその死を踏まえて釈尊が永遠の存在たることを明示することに努めている。つまり、仏の本質を常住不滅の法身ととらえ、この法身仏が衆生成仏を可能にする因子たる仏性としてはたらくことを説く。それは「一切衆生悉有仏性」という句に代表され、またそれまで成仏の可能性を一切否定されていた一闡提の成仏を説くところに象徴される。 |