弁殿御消息

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弁殿御消息の概要

【文永九年七月二十六日、日昭他、聖寿五十一歳、真筆完存】 
不審有らば諍論無く書き付けて一日進らしむべし。
この書は随分の秘書なり。已前の学文の時もいまだ存ぜられざる事粗之を載す。他人の御聴聞なからん已前に御存知有るべし。
総じてはこれよりぐしていたらん人にはよりて法門御聴聞有るべし。互に師弟と為らんか。恐恐謹言。
七月二十六日  日蓮花押 
弁殿 大進阿闍梨御房 三位殿  大進阿闍梨御

◆弁殿尼御前御書 
【文永十年九月十九日、弁殿尼、聖寿、真筆完存】 
しげければとどむ。弁殿に申す。大師講ををこなうべし。大師とてまいらせて候。三郎左衛門尉殿に候御文のなかに涅槃経の後分二巻・文句五の本末・授決集の抄の上巻等、御随身あるべし。
貞当は十二年にやぶれぬ。将門は八年にかたふきぬ。
第六天の魔王、十軍のいくさををこして、法華経の行者と生死海の海中にして、同居穢土をとられじ、うばはんとあらそう。
日蓮其の身にあひあたりて、大兵ををこして二十余年なり。日蓮一度もしりぞく心なし。
しかりといえども、弟子等檀那等の中に臆病のもの、大体或はをち、或は退転の心あり。
尼ごぜんの一文不通の小心に、いままでしりぞかせ給はぬ事、申すばかりなし。
其の上、自身のつかうべきところに、下人を一人つけられて候事、定めて釈迦・多宝・十方分身の諸仏も御知見あるか。恐恐謹言。
九月十九日  日蓮花押 
弁殿尼御前に申させ給へ。

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