真間釈迦仏御供養逐状
真間釈迦仏御供養逐状の概要 【文永七年九月二十六日、富木常忍、聖寿】 釈迦仏御造立の御事。無始広劫よりいまだ顕れましまさぬ己心の一念三千の仏、造り顕しましますか。はせまいりてをがみまいらせ候はばや。「欲令衆生 開仏知見〈乃至〉然我実成仏已来」は是なり。 但し仏の御開眼の御事は、いそぎいそぎ伊よ(予)房をもてはたしまいらせさせ給ひ候へ。 法華経一部、御仏の御六根によみ入れまいらせて、生身の教主釈尊になしまいらせて、かへりて迎い入れまいらせさせ給へ。自身並に子にあらずばいかんがと存じ候。 御所領の堂の事等は、大進の阿闍梨がききて候。かへすがへすをがみ結縁しまいらせ候べし。 大進の阿闍梨 いつぞや大黒を供養して候ひし其後より世間なげかずしておはするか。 此度は大海のしほの満つるがごとく、月の満ずるが如く、福きたり命ながく、後生は霊山とおぼしめせ。 九月二十六日 日蓮花押 進上富木殿御返事 |