真言七重勝劣事
真言七重勝劣事の概要 【文永七年、富木常忍、聖寿四十九】 一 法華大日二経の七重勝劣の事。 一 尸那扶桑の人師一代聖教を判ずるの事。 一 鎮護国家の三部の事。 一 内裏に三宝有り内典の三部に当るの事。 一 天台宗に帰伏する人人の四句の事。 一 今経の位を人に配するの事。 一 三塔の事。 一 日本国仏神の座席の事。 法華・大日二経の七重勝劣の事。 〈已今当第一〉 ・本門第一
尸那扶桑の人師一代聖教を判ずるの事。
般若経第一 吉蔵の義 〈梁代の人なり〉。
鎮護国家の三部の事。
内裏に三宝有り内典の三部に当るの事。
天台宗に帰伏する人人の四句の事。
四に身心倶に移らず弘法大師 今経の位を人に配するの事。 〈鎌倉殿〉
三塔の事。
日本国仏神の座の事。 問ふ、吾が朝には何れの仏を以て一の座と為し、何れの法を以て一の座と為し、何れの僧を以て一の座と為すや。 答ふ、観世音菩薩を以て一の座と為し、真言の法を以て一の座と為し、東寺の僧を以て一の座と為すなり。 問ふ、日本には人王三十代に仏法渡り始めて後は、山寺種種なりと雖も 又代代の帝王起請を書て山の弟子とならんと定め給ふ。故に法華経を以て法の一の座と為し、 答ふ、尤も然るべしと雖も、慈覚の御時、叡山は真言になる。東寺は弘法の真言を建立す。故に共に真言師なり。共に真言師なるが故に東寺を本として真言を崇む。 真言を崇むる故に、観音を以て本尊とす。真言には菩薩をば仏にまされりと談ずるなり。 故に内裏に毎年正月八日、内道場の法行はる。東寺の一の長者を召して行はる。若し一の長者暇有らざれば、二の長者行ふべし。三までは及ぼすべからず云云。 故に仏には観音、法には真言、僧には東寺法師なり。比叡山をば鬼門の方とて之を下す。 譬へば武士の如しと云て崇めざるなり。故に日本国は亡国とならんとするなり。 問ふ、神の次第如何。答ふ、天照太神を一の座と為し、八幡大菩薩を第二の座と為す。是より已下の神は三千二百三十二社なり。 |