付・正信覚醒運動の意義
 
 正信覚醒(しょうしんかくせい)運動とは、簡単にいえば、大聖人の仏法を濁りなく、そのままに伝えていこうとする運動です。その目的に沿って、全国の正信会寺院・布教所では、僧侶と信徒とが、大聖人の仏法をまじめに研鑽し、実践しています。
 
 私たちは、人びとが真の幸福を得るために、この仏法を学び、正しく信仰しなければならないと訴えていますが、日蓮正宗の歴史のなかで、ときには自分の勝手な考えにまかせて、仏法を悪用し、かえってほんとうの教えを隠してしまう人も出てきました。
 
 たとえば、仏法とは何の関係もない自分の学説を広めるために、便宜的に大聖人の教えを借りたり、経済的な繁栄を得ることを目的とし、さらには政治的な意図ををもって大聖人の仏法を利用しようとするものです。こうした態度はすべて、まず自分の考えが中心にあって、その考えに合わせて仏法を見ていくというもので、その結果、大きな間違いをおかし、たいせつな仏法に傷をつけ、濁りを与えてしまうのです。
 
 大聖人は、「たとえ仏法を用るといっても、その敬い方を誤ると、かえって国が亡びてしまいます。」と述べています。そこで私たちは、大聖人の教えをそのままに伝えていくために、少なくとも、つぎのようなことに注意しなければならないと思います。
 
 *自分の勝手な欲望にもとづいて、仏法を解釈し、また利用したりしない。
 
 *どこまでも正しく仏法を学び、人を欺かず、ごまかさない。
 
 *自分に間違いがあれば、率直に反省する。 
 
 *たとえ権力や権威をもっている人であっても、誤りがあればその人に同意せず、その  誤りを指摘していく。
 
 こうした姿勢が私たちになければ、大聖人の仏法を信じているといいながら、その教えを曲げてしまうことになります。
 
 先に、正信会が富士門流の流れを正しく受け伝えていると述べましたが、いま、大変残念なことに、「日蓮正宗」の看板をかかげる阿部宗門では、「法主・管長」を名乗る一人の人間が、「自分だけが大聖人の仏法をすべて受けついでいる。」と主張し、周囲の人たちもその人を絶対視している状態なのです。また、その人を仏と信じてしたがわなければ、仏法の功徳はないと説き、大聖人の教えを独占するという誤った考え方にとらわれています。
 
 いっぽうで、「大聖人の仏法を信仰している」と主張する在家団体として、池田大作氏ひきいる創価学会がありますが、この団体も、池田氏という一人の人間を絶対視しています。池田氏を頂点とするその強固な組織は、日本の国勢をも左右するほどの大きな力をほこり、会員は組織に従属しています。
 
 創価学会の主張は、大聖人の仏法とはまったく異質なもので、彼らは「創価仏法」と称していますが、どう会が組織維持のために大聖人の教えを盗んで使っているため、日蓮正宗の本来の教えが、国民に大きな誤解を与えている現状です。
 
 今後、みなさんが折にふれて学んでいくように、かっては創価学会も、名目上は日蓮正宗の信徒団体として活動していました。ところが組織が発展してくると、創価学会が本来もっている考えと、日蓮正宗の教えとの間に、大きなギャップがあることが明らかになってきます。そこで創価学会は、あわよくば宗門を儀式・法要をおこなう一部門として、自分たちの組織に従属させようと試みたのです。また、それがかなわなければ、宗門と別れて独立し、日蓮正宗とは違った宗教団体として進んでいこうとしました。この路線が昭和五十二年(一九七七)に公になったことから、私たちは創価学会の企を、「五十二年路線」と呼んでいます。正信覚醒運動は、この「五十二年路線」を直接の発端としてはじまった運動です。
 
 運動には、創価学会の間違いを指摘するにとどまらず、宗門自体に、創価学会に依存する体質があるから、それを改めよう、大聖人の教えを濁りなく、正しく伝えていく宗門にしていこうという目的がありました。
 
 しかし残念なことに、宗門の法主・管長を名乗るようになった阿部師は、創価学会を「自分の意のままにできる」と錯覚し、またその財力に目をうばわれ、正信会を強引に宗門から追放してしまいました。
 
 いま、阿部宗門は「意のままにならない創価学会を破門し、双方のあいだで、激しい紛争が起こっています。こうした争いは、先にも述べたように、自分の勝手な考えや欲望にもとづいて仏法を解釈したり利用し、反省することを知らず、人を欺き、権力や権威をふりかざし、またそのような人にへつらうという、さまざまな誤りを土台として起こっているのですから、そこには、けっして大聖人の真実の仏法はありえません。
 
 私たち正信会は、信仰者として、大聖人の教えのままに生きていこうと願っています。名聞名利にとらわれず、真実の人生をめざして仏法を学んでいこうと願っているのです。
 
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