富士宗学要集第一巻
上行所伝三大秘法口訣
日興之を記す 能く是の経を持つ者は………三大秘法の中の本門の妙法蓮華経。 諸法の義に於いて……………諸法実相。 名字及び言辞に於いて………首題の五字は一部の名字なり。 楽説窮尽無きこと 風の空中に於いて一切無障礙なるが如く…御書に云はく種々の大難有りと雖も今に相違無きなり。 如来の滅後に於いて仏の所説の教の因縁及び次第を知つて…末法の五百年なり。教主釈尊一代五十年。御書に云はく多く外典漢書等の例を引く。 義に随つて実の如く説かん…御書に云はく天晴れぬれば地皆明かなり。 日(本門に譬ふ)月(迹門に譬ふ)の光(躰本)明(用迹)。 能く諸の幽冥を除くが如く…御書に云はく生死の長夜を照らす大燈明。 斯の人世間に行じて…………五道の中の人道に託す、高祖は人間に御誕生。 能く衆生の闇を滅し…………御書に云はく元品の無明を切る大利劔。 無量の菩薩をして……………此の経を持つ人を菩薩と名づく。 畢竟して………………………必定と云う事なり。 一乗に…………………………運載荷負の義なり、一乗とは三大秘法の中の本門寿量の本尊と云云、一切衆生の生死の愛河を荷負する船筏にして煩悩の嶮路を運載する車乗なり。 住せしめん……………………即身成仏。 是の故に智あらん者は………爾前迹門の機を愚人と名け、本門寿量の機を智者と名く。 応に斯の経を…………………三大秘法の中の本門戒。 受持すべし……………………持戒清潔にして作法受得の義なり。 是の人仏道に於いて決定して疑ひあることを無けん。…持戒の人の決定成仏これなり。 三大秘法口訣 畢り (同く裏書き) 受持即受戒なり、経に云く是を持戒と名く、釈に云く持経即理戒に順ず。 編者曰く要山辰師より更に精師(本山十八世)嘉伝日悦等の転写本を以て此を写す。 |