蓮祖の本地内証外用の事

富士宗学要集第三巻

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蓮祖の本地内証外用の事

 凡そ蓮祖大聖人は若し外用を論ぜば本化上行菩薩の再誕、諸抄の中に或は仏の御使と云ひ、或は霊山相伝等と云ふが如き是れなり。若し内証を論ずれば、久遠元初の本因妙の教主釈尊なり。諸文の中に、日蓮は日本国の一切衆生の主師親等と云ふが如き是なり。
 初心成仏抄廿十に云く、末法の当時は久遠実成の釈迦牟尼仏、上行、無辺行等の弘め給ふべき法花経廿八の肝心たる南無妙法蓮華経の七字計り弘めて利生得益あるべし云云。
 撰時抄上卅五に云く、問ふ何なる秘法ぞ、先づ名を聞き、次に義を聴んと思ふ。此事若し実事ならば釈尊二度世に出現したまふ歟。上行菩薩重ねて涌出したまふ歟。急々慈悲をたれられよ等云云。
 廿八品の肝心とは、是れ法要なり。意の妙法なり、下種の妙法なり。即ち文底深秘の大法なり、深く之を思ふべし。深く之を思ふべし。
 問ふ、釈尊は是れ師、上行は弟子なり。何ぞ倶に本とするや。
 答ふ、外用浅近は実に所問の如し。若し内証の辺は実に是れ一体なり。而も惣別有らん、若し惣に即して別を論ずれば四大菩薩なり。別に即して惣を論ずれば即ち是れ釈尊なり.
 問ふ、其の意如何。
 答ふ、四大菩薩は即五大なり。謂く火は是れ理数として虚空に上り行く、故に上行は是れ火大なり。風は辺際無くして法界に行く、故に無辺行は風大なり。水は是れ清浄にして日夜東に行る、故に浄行是れ水大なり。地は是れ草木等を安立として四節遷り行く、故に安立行は地大なり。此の四大菩薩は常に下方の空中に居す、故に知んぬ所居は即ち是れ空大なり。故に惣に即して別を論ずれば四大菩薩なり。此の五大妙法蓮華経の五字を以て、本因妙の釈迦の一身を造るなり。
故に別に即して惣を論ずれば、只是れ久遠元初の釈尊の一身なり。故に蓮祖大聖を以て、或ひは上行の後身と云ひ或ひは本因妙の教主釈尊と云ふなり。若し深く此の意を識る則んば、内証外用の相伝天晴地明ならん云云。
具に撰時抄愚記の如し云云。地脈抄に云く、本地自受用報身垂迹上行菩薩再誕日蓮等云云。当に知るべし、外用の辺は自受用の垂迹なり、故に従本垂迹に当るなり。内証の辺は自受用の再誕なり、故に発迹顕本に当るなり。故に知んぬ、 久遠は今に在り今は即ち是れ久遠なり。秘すべし。秘すべし云云。

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