若狭小浜は東アジアとつづく海の玄関である。海道を通して世界とつながることで、このまちの存在が大きくなる。
小浜の町は海から見るのが最高の景観である。当施設は、まさに海の玄関にふさわしい場所にシンボル的に建つ。この施設を基点として、若狭小浜から文化発信(食文化、歴史、あらゆる文化創造も含む)をしていくことが新しい世紀の小浜の発展につながる。
私は、小浜市に船籍があり外国航路を走る唯一の船、小浜水産高校の雲龍丸にてこの小浜から続くいくつもの海道を体験的に確かめた。小浜から北海道の函館へ、隠岐へ佐渡へ、青森の十三湊へと船で行き来し、小浜の大きさと重要さを認識した。
とうとう、小浜から韓国への海道もつながり、水産高校生が小浜から韓国へ、韓国から小浜へと船で行き来して3年目となる。
「若狭」の語源は諸説があるが、朝鮮語の「ワッソ、カッソ」(行ったよ、来たよ)が小浜港にフィットしている。人の出入り、交流、にぎわいにこの言葉のイメージが合う。
関西や中京をはじめ全国、世界から小浜へ来た人が、この施設を訪問し、展示や仕掛け、発信に対する情熱を目の当たりにして、この港は行き止まり港ではなく、ここから全国、世界につながっていく夢海道であることを知って感嘆する。人生に夢なくして航海はできない。夢あるところに海道は続いてゆく。
2002.9.1