第12集 親父のカローラ
第3章 下呂から
下呂から美濃加茂
フィットに寝袋積んでひた走るキャンプ気取りの還暦男
奥飛騨のせせらぎ街道溯り清美抜ければ異次元世界
滔々と流るる馬瀬の美しき素手ですくえば今すぐ飲める
馬瀬川で鮎釣る人の贅沢さ泳ぐ魚体はまるで宝石
山間に温泉街が出現す下呂は尾張の心の里よ
谷下り辿り着きたる美濃加茂市何はともあれ高速に乗る
車にて泊まる気力も若きうち還暦過ぎには家が一番
遺跡まつり
自治会が表に裏にサポートよ地域上げての遺跡の祭り
企業から協賛金の回収も自治会長の大きな仕事
テント張り足場組み立て椅子準備裏方さんも自治会仕事
団体や地域の人が次々と自治会長は休む間もなし
係りから貰ったビールと食券がこの夜を満たす夕食メニュー
朝8時テント建てから始まって家路付くのは夜の10時よ
翌朝の6時半にはグランドよ椅子の始末やゴミ拾いまで
小舞子海岸
海の日にのどかに遊ぶ家族ずれ 偶然見つけた小舞子の浜
高速の緊張抜けぬ徳光とゆったり感の小舞子の浜
もう一度家族で海に来たいよね 思わず出たる還暦夫婦
タイヤ新調
ピチピチと右後方に異音あり通勤前にごみ出し終えて
停止してタイヤハウスを覗き見ばゴムが剥がれて下地剥き出し
放任で親父乗りたるカローラに何があっても文句は言えず
速攻でスタッドレスに履き替えて始業時刻に飛び込む始末
溝あれど古きタイヤは要注意 高速長距離安心できず
ショップにてグッドイヤーに履き替える銘柄よりも値段魅力で
流石だね世界をかけるグッドイヤー何処を走れど信頼がある
年代車タイヤだけは新車にて日常の足しっかり確保
カボチャの蔓捲り
放任で蔓もカボチャも草林始末をせねば近所迷惑
蔓まくりエイヤッとばかり草刈り機菜園よりも荒れ地に近し
余りにも勢い強き雑草に気持ちも実成りも一歩引いたり
ビンビンとエンジン唸らせ一時間カボチャ畑が更地に戻る
新顔のそうめん南瓜好調であれよあれよと5つも付ける
7本で10個余りの吾がカボチャ 今年の苗では想定内よ
スイカ収穫
二株で10キロ弱が4個採れ今年の西瓜まずまずの出来
植え付けで雑草防止のマルチ掛け今年の西瓜の成功のカギ
雑草の中に3個の未熟玉中へ入って蔓をめくれば
お祭りの疲れが残る翌朝は頭動かず失敗多し
収穫を期待するなら接ぎ木だね自根苗では蔓枯れになる
8月の初め
後植えのマクワ接ぎ木の素晴らしき久方ぶりに黄色き姿
我が家の畑に合わぬ自根苗2年続けて蔓枯れしたり
20年我が家に居ついたオフロード軽トラ載せられ身売りに出され
全国をこいつで周る夢捨てて妻と二人でキャンカー旅行
信頼のホンダのカブもキャブ不調農舎の下屋に10年放置で
自前にて分解清掃挑戦で久方ぶりにカブの快音
素人は知識も道具も不十分パーツ一つでアイドル利かず
朝晩のバイク修理は楽しけれ時を忘れて歳も忘れて
草むらにスイカやマクワが隠れ居り畑に見えぬ我が家の畑
稲作が我が手放れた今年だがビックリするほど楽にはならず
ネギどもの生命力の強きこと干されたことで根性が付く
老後
キャンカーの車検経費は大きいが旅車なくては老後にならぬ
菜園と親の介護と自治会にプライベートが侵略される
コーヒーと飲酒と車とフォーク歌還暦男が迷い路する
親子とも傍から見ればがん患者川の流れに身を任せるか
夏祭りの歌
お盆まえ地元新保の夏祭り市議会議員に県会議員
朝八時テントを建てて椅子設置催し物のいつもの仕事
準備終え焼肉ビールで腹満たす壮年会はこれが楽しみ
大型のトラック荷台がステージよ足場要らずで省エネ志向
ステージの催し物や露店では何処のまつりも子供が主役
人寄せる特効薬の抽選会老若男女の目の色変わる
夏祭りメインはやはり盆踊り叔母ちゃん達と役員踊る
花火終えみんなで掛かる後始末すべて済ませて帰りは十時
お盆の食事会
北陸の新幹線で里帰り新婚さんの弁護士夫婦
車にて迎えに行けば普段着でどこから見ても普通の夫婦
新調の仁平浴衣が良く似合う花火帰りの若者風で
チャン付けが先生となり大笑い宴会席で娘呼ぶのに
税理士と弁護士二人が名刺出し盆の食事がビジネスもどき
いつもなら厨房仕切る我が息子祭りに取られ外注ばかり
お祭りと盆の食事が重なりて自治会長はゆっくり出来ず
車検切れ
重たくて加速悪くて油食う室内以外にレジの道なし
自動車は移動のための道具なり部屋の利用は二次的なもの
バイクとは比較にならぬ利用価値昭和時代のセダンと言えど
車検切れ間近かに迫るレジアスを何処から見てもワクワク感なし
還暦を過ぎた小爺の愛車には身の程に合う小さなセダン
カブの復活
軒先に10年放置のカブ50復活できるかバイク屋売るか
稲わらとドラム缶とに挟まれて廃棄寸前2台のバイク
トタン抜け車体半分雨ざらしさすがの名車も錆には勝てず
ダメもとで何年振りかのキャブ掃除フロートジェット垢にまみれて
薬品と針金使って垢取れば神の助けかエンジン掛かる
吹き上がりアイドリングも快調でこれは行けると保険に入る
夏過ぎて
夏野菜すべてを終えて耕運機すべてリセット畑と心
大根と白菜レタスにキャベツ達気温見ながら植え付けを待つ
サトイモにヤーコンサツマの芋連中夏が過ぎれど何も変わらず
種からの白菜レタスの難しき小さき故に四苦の八苦よ
涼風が吹けば本番秋野菜床の準備は暑き夏から
さらばレジアス
9年で10万キロのレジアスが9万円で我が手離れる
憧れのミニバン持って舞い上がり見よう見まねでキャンプ仕様に
週末は京都に松江に荻窪と娘住みたるマンションめざす
弁護士と旦那を得たるわが娘 巣立ち終えればレジなど要らず
わが夫婦一つの時代が終わりけり親の介護と地域が残る
軽トラとカローラあれば不足なし職場と地域の活動なれば
クルマ事情
存在が良くも悪くも気にならず空気のような白いカローラ
軽トラと二台のカブで気分変えカローラのみは退屈のはず
アルデオもレジもキューブも今はなく残る愛車は軽のトラック
復活の二台のカブが鎮座するガランと空いた用済み農舎
専用の車を持てる贅沢さバイク主役のアジア思えば
エコならば自転車程度が丁度良しエンジン付きは資源の浪費
九月に入り
淡々と季節過ぎ行く今年かな稲作委託で何をせずとも
迷走の台風日本を駆け上がり北の大地に大雨被害
残暑にもしっかり耐えた播種大根昨夜の雨でやっと芽を見せ
軽トラとカローラあれば我が家では車生活不便感じず
カブ乗って久方ぶりのツーリング視界広いし感動新た
夏過ぎて準備が進む秋野菜 春と違って静けさの中
盆前にトレーに蒔いた白菜の成長具合いは直蒔きに負け
レジアスが定位置だった玄関に俺が代わりと軽トラがいる
アクティとカローラ並ぶ玄関が自治会長に妙に似合いし
軽トラ放せば
軽トラを放せば残り3台か吾ら夫婦の生活の足
最盛期6台動かす時あれど終はフィットキャンにカローラ
就職と結婚終えし子供たち吾ら夫婦の仕事も終わる
子育てが終わった夫婦は何をする介護だけでは我が身が持たぬ
新世紀入れど気分は世紀末10年先の世界が読めぬ
結婚も子育てもせぬ新世代日本の明日の未来が見えぬ
北極の永久凍土が溶け出して放出メタンが温暖加速
文明はいずれ環境破壊する住めぬ地球に未来託せず
毎日の野菜の世話も4年経ち熱意も抜けて手抜きが目立つ
親父乗る電動カート復活よ 介護負担の割合減って
カート乗り元気が出たかわが親父一日3度は畑へ通う
古いカローラ
アクティとカローラ共に高寿命乗り潰せるか吾が終わるか
還暦の爺が乗るにはぴったりか13年目の古きカローラ
日常の足と使いしカローラは趣味ではなくて三度の飯よ
フィットに趣味の領域任せるか荷物は載るしデザインもよし
親睦旅行
久方の親睦会のバス旅行座った途端に酒が盛られる
再任がバスのラウンジ陣取って飲み屋のごとく大騒ぎする
蝋燭で柱も建具も黒尽くめ室町時代の京の旅籠よ
カラザまで取ってくれたる店の人加茂の川床すき焼き食えば
見本置き見よう見まねで菓子作る観光客にて賑わう店よ
朝からの酒浸りなる小旅行帰りのバスは疲れ果てたり
再任も今年最後になるならば職場旅行も最終なるか
富山一人旅
連休も妻が出られず一人旅キャンパ―繰って白馬を目指す
九州に上陸したる台風が北信越に不気味に迫る
予報では日程コース全て雨油彩道具の出番はなしか
酒飲んで1人寝したる有磯海先発の風キャンパー揺らす
台風で休暇計画丸つぶれ無念なれども富山で降りる
魚津市の埋没林のミュジーアムプールに沈む古代杉居り
初めてのキャンパー使った一人旅何を使えど寂しさ同じ
かおりの前撮り
庭覆う養浩館の緑には赤の打掛けお花のごとく
白無垢の花嫁衣裳のわが娘うつむく姿に妖気漂う
朝からの和装洋装着せ替えで娘も彼もお疲れモード
美しいとの言葉しか出てこない娘の前撮り終わってみれば
目の玉を押さえて払う写真館プロの写真は違うけれども
弁護士の娘夫婦を送り出し緊張とけてダウンの妻よ
第4章 いきいき文化祭
いきいき文化祭
年一度地区の年寄り集まって歌舞音曲で同窓会よ
自治会が手足で動く文化祭公民館が主催なれども
彫り物に手芸に絵画の展示物 人の評価も励みになりし
何有れど弁当目当てのお年寄り 好きな人には酒まででるよ
昼時は弁当準備に酒お酌こんなお世話も自治会仕事
文化祭最後を飾る抽選会景品全て花の鉢だよ
ご近所の畑仲間も勢ぞろいちょっとお洒落なよそ着を装い
9月末
軽トラと古いカローラ足にして親の介護に畑の仕事
キャンパーの車検取れども動かせず地域の行事や娘のことで
何一つ田圃せずとも米貰う神と仏にお礼言うべし
台風で秋の連休台無しよキャンパーあれど何処へも行けず
今秋の大きく育った大根葉ちくわと一緒に煮物になりし
目を凝らし青虫探すキャベツの葉どこまで残るかいつもの勝負
本当は行きたくないと愚痴る父デイサービスに行くその朝に
乾燥で器量の悪いサツマ芋株多くして量は十分
休日はカローラ繰って遠乗りよ20走ればプリウス気分
アクティトラック
フル四駆ミッドエンジンツーシーターアウディでなくホンダアクティ
マニュアルの5速ミッション駆使をしてつづらの峠勇んで下る
セカンドとサードが元気に吹き上がる速度は出ぬが体感は良し
エアコンと音楽かけた遠乗りは視点高くてキャンパーのよう
折りたたむ椅子を取り出し休憩よ室内狭く寛ぎは無理
アクティも山中走れば快適よ雨風防ぐバイクと思えば
4駆にて18走れば御の字よ負担かからぬコンパクト並み
カローラ一本
通勤に地域の連絡ゴミ出しに孫の迎えとすべてカローラ
高速の安定性や静粛さ目立ちはせぬが遠乗りこなす
大荷物汚れ物やら畑物セダン無理なら軽トラ出番
老親の通院買い物ぴったりよ車体低くて乗り降りが楽
目立たぬも信頼得たる白セダン還暦過ぎた男の車
購入費燃費含めたトータルは最先端の車に負けぬ
パラソルを立ててリアにて一休み並みのセダンがワゴンに変わる
ある意味でマニアライクの面白さ唯一無比の白いカローラ
ミニバンやSUVやスポーツ車エコの時代に立つ瀬はあるか
シビックでスタートしたるカーライフ幾多乗り継ぎカロにて終わる
秋祭り
定刻になっても神主現れず誰も忙し秋祭りかな
三宝に米と野菜と酒スルメお供え物は古代と同じ
ウォーッと唸り声にて神を呼ぶ神と民では言葉通じず
役員が順に玉串奉奠も榊足らずにリサイクルする
神主が大幣振るう神輿まえ法被の子らが頭を垂れる
本来は子供神輿が練り歩く少子化進み大人が担ぐ
閉鎖感
子育てと現役仕事すでに終え自由な時間を謳歌のはずが
予定外大事な老後に割り込んだ老いた二人の親の介護よ
いつまでもあると思うなわが命永遠なのは大地と時のみ
カローラで満足ごっごもいつまでかいずれ剥がれる偽り心
雨風にじっと耐えたるキャンピング早く使えと悲鳴聞こえる
軽トラで一日かけてツーリングいくら走れど泥沼抜けず
家のフィット
洒落ていて室内広く燃費良し走りも良いが乗りごこち不可
通勤も荷物運びも買い物も使い良いけど慰安得られず
凹凸で車体振られるコンパクト二輪のように道ばかり見る
震動で妻が寝られぬシートでは日帰りできても遠乗りは無理
高速も一般道もそれなりで疲れ残れどそれもまた良し
小さくも用途の広いミニワゴンシート倒せば一泊できる
如何あれどバイク思えば天国よ荷物は乗るし雨風防ぐ
レジアスもアルデオもない我が家ではたまの遠乗りフィット頼み
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