第5集 猛暑日
第4章 夏の島根
アルデオで松江
くたびれたアルデオ繰って島根行く高速静かで以外に良くて
休憩を小まめに取りて腰伸ばす腰痛出れば旅にはならず
大学の周りに多い食処行くたびごとに飲み屋が変わる
普段には自炊している我が娘この時ばかりと肉魚食べ
他国にて勉学励むわが娘成果どうでも健康第一
朝起きて冷房かかる部屋出れば日差しの中に小鳥鳴きたり
目にまぶしコントラストに温き風小鳥が鳴いてここはハワイか
八重垣神社
スサノオが妻を囲った古代の地八重垣神社となりて伝わる
白木なるヒノキの鳥居そびえ立つ由緒正しき神社の証し
お清めの水の前には若き女 話し弾んでしばし離れず
若き巫女古代の姿そのままに笛と太鼓で舞を舞たり
獅子舞の音に似たりし笛太鼓起源は同じと想わせたりし
半分の願い事しか叶わぬと50円玉100円に替え
二礼して二拍手のあと礼二つ妻と娘と3人並んで
スサノオが古代に詠みし「八雲立つ」石碑に刻まれ皆に愛さる
神秘的林の中に鏡池イナダの姫が姿を映す
10円を載せた薄紙池沈め彼と彼女の行く末占う
スサノオの足跡残る出雲の地神話でなくて歴史の一つ
稲刈り2
台風で雨が来るとの朝の父「刈ってまおか」と出掛けに告げる
半休をとって急ぎで駐車場にわかの雨に足が止まりし
車窓から稲刈る作業見えたるもコンバインみな止まっていたり
近づけば路面濡れずの農道にはかどる作業の予感がしたる
モミ袋散らばる横にコンバイン父と母とがへたりと座り
稲刈るも土軟らかく難儀する台風後なら機械入れず
雨雲の流れ見ながら慌て刈りいつもながらの稲刈り親子
旧型のコンバインにはモミ袋積み出す作業はまだまだ続く
刈り取りを終えたる夜は鯛造りシャワーの後にハニーへ走る
ビール飲みうつらうつらで横になる窓打つ雨が耳ここちよし
保育参観
聡一も我が家の血筋が流れてる仲間入らず離れて遊ぶ
保母さんの前ではおとなしオムツ換え家であれほど動き回るに
緊張の中で一日過ごす孫朝夕甘えも仕方ないかな
同級の奴がやってる保育園賑やかなりしも苦労目に見ゆ
祖父母呼ぶ保育園の参観日いくらなんでも「敬老」はない
籾摺り
籾摺りの準備今年は皆でする昨年までの父の替わりて
毎年の始末に困る籾殻に装置取り付け手を抜くさんにょ
調子よく臼が回るもしばらくでぐうぐう唸って動きを止める
あれこれとカバー外して籾出すも原因わからずサービス頼み
籾殻の装置直して動き出す目からうろこの専門家なり
トラブルも考え方でプラスなるお蔭で機械に詳しくなりて
お昼時息も絶え絶え頼み来る近所の仲間「刈ってくれぬか」と
大型の近所の機械興味あり二つ返事で父手伝いに出る
予定外近所手伝う親父抜け午後の作業に力が入る
9月の水晶浜
美しき海と砂浜愛されて夏のひととき人で埋まれし
生活に電気がいると思えども不釣合いなり原発施設
夏過ぎて水晶浜を独り占めこの時期好むベテランの客
砂浜でバーベキューする大人達解放感かビキニが多い
気温良くハワイのような爽やかさ福井で見つけた絶品の場所
ローライダー
偶然に寄りし今庄スキー場古きアメ車が集まり来たる
秋晴れに色鮮やかな古アメ車個性豊かな車体が並ぶ
アメリカの古い車を磨き上げ世界に一つを楽しむマニア
真夜中に密かにPA集まりて自慢の車見せ合うことも
年一度夏のスキー場借り切ってパーティ開きて憂さを晴らせり
本来は米の若者やったこと古き車で自由を得たり
FJクルーザー
今庄で見たこともないトヨタ車が2台並んで駐車しており
ランクルの派生の車と推測も改造車でなくラインの車
調べれば米国向けのオフロードランクルベースの逆輸入車よ
すぐ横でオーナー二人談笑す希少なるゆえ情報交換
日本では無用の長物覚悟でも個性抜群好き者もいる
砂金取り
ある場所に砂金が取れる場所がある聞けばおのずと心が躍る
薄皿にシャベルにブラシ用意して一獲千金休日を待つ
情報と道具仕入れて砂金取り何はともあれ現地へ走る
隙間ある岩から砂を掘り出して平皿揺らして砂金を探す
苦労して黄色き小砂見つけしも金だか石だか見分けがつかぬ
夢中なり砂掘り皿を回せども腰の痛さに我に帰れり
夕暮れで視力も気力も落ちにけりやり方だけは覚えたつもり
習わずにまずは一人でやってみる今まで歩いた自分の流儀
ミニバンの旅
全国を車で旅する夢がありいつの間にやらレジアス手元に
キャンパーは長きバカンス過ごすもの日本の休みは発展途上
寝泊りの基地となりたる道の駅クルマ旅でのオアシスとなる
フラットのシートとテレビ必需品食事とトイレは施設で出来る
ミニバンがこれだけ売れる訳がある道の駅ならこれで十分
一人旅サポートできるレジアスに経費かかれど魅力を感ず
キャンパーに改造したるレジ君をもう少しだけ使ってみたし
ベンツ並み丈夫な車体とエンジンは設計古いが値打ちはあるぜ
無の心地
今日の日は明日にもう来ぬ大事な日子供のように楽しみ坊主
生きているだけで人生もうけものわかりし人の数は少なし
白峰の緑の中で横になりせせらぎの音に耳をゆだねる
1/fのゆらぎの中に身を置きて力を抜きて無を感じたる
50余年よくぞ生きたりわが身体ご苦労様と声掛けをする
あれこれとやってきた身に不足なく川の流れに身をまかす日々
焼き鳥
足見ても顔つき見ても良く似てる恐竜滅びて鳥類になる
恐竜に逃げ惑いたり哺乳類一億年の長き月日を
焼き鳥をほおばり食べる痛快さ竜の子孫に仕返ししたり
大量に食わぬが良いぜ牛や豚先祖同じで共食いになる
秋の連休
田んぼ済み行事入らぬ連休はここぞとばかり車走らす
奥深き紀伊半島に興味あり吉野から入り熊野へ抜ける
名所なる瀞八丁の深き谷車幅広くて冒険できず
こっそりと釣り竿と糸持ち行きて熊野灘にて釣り楽しまん
今度こそ熊野本宮訪れん海岸沿いは幾たび通るも
平城京
悠久の1300年の時を経て平城京が姿を見せる
広大な京のすべてが農地にて残りしことを不思議に思う
勇壮に復元されし朱雀門平城京を見据えていたり
巨大なる大極殿の大柱豪族たちの寄進で成り立ち
天皇の威厳を示す大極殿地方の首長を圧倒したる
秋の日の平城京の夢の跡 観光客で賑わいたりし
奈良の友人
その朝に電話を入れて飯を食う久しぶり会う奈良の友人
橿原の田舎に出来た大規模店一歩はいれば都会の雰囲気
最新の200の店舗軒連ね京阪神の客を呼びたり
ディズニーの店の前にて待ち合わせ大規模店でもここなら分かる
奥さんの趣味が高じた韓流の料理で祝う旧友夫婦
食後には自作の歌集で盛り上がる昔のことも歌題にありて
北山道
高千穂の峰を離れた神武王熊野灘から大和へ向う
神武軍苦労を重ね橿原へ抜けたる道は北山峡かも
偶然か古き友人生まれたる山間深き北山の村
バス乗りて奈良へ出るにも3時間林業のみの清流の村
眼前の国道分岐の看板は大台ケ原へ続く細道
貯水量最大クラスの池原ダム行けども行けども湖面が続く
貯水湖にモーターボートを走らせてバス釣りをする客の多さよ
都会なら観光客が殺到す風光明媚な七色湖なり
地形ゆえダム計画は多くとも辺境ゆえに実現少なし
熊野宮
新宮で世界遺産の看板に速玉大社へ車を入れる
本宮と何処が違うか分からない同じ神様奉りたりしも
手付かずの自然が残る熊野川大社とあわせ世界遺産に
熊野川河原へ乗り入れ遊びたり四駆が入れる川は珍し
公営の駐車場なく戸惑いし 観光地ならあって当然
本宮の鳥居くぐりて段登る歴史の割に磨り減りがない
江戸の世の熊野詣での最盛期本殿施設は中州にありし
旧来の本宮大社壮観で1万余坪に幾多の社殿
明治末洪水ありて流されし今の本宮高台にある
それなりに社殿に参る人多し熊野詣での最終地なり
参り終え雰囲気良くて茶の店へ入ったけれど注文来ない
山間の食処
山間で夕食とりて寝泊りし夫婦で営む食処にて
看板の鮎に天ぷら定食は旅の二人に十分なもの
朝までの駐車許可得て生ビールこの楽しみはキャンパーならでは
本来は静かなはずの駐車場 夜中に吼える犬に迷惑
北陸の福井市からと言い出せば今でも雪があるかと問われ
田辺から嫁に来たとの店の人亭主の魅力田舎に勝る
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