定時制高校でプチディベート
福井県立若狭高等学校 教諭 渡邉久暢
はじめに
一日の仕事を終えて、疲れた体で学校に来る定時制の生徒たち。
彼らに「講義型」の授業を行っても「お休みタイム」となるだけである。
「脱講義型」の授業として本稿では、
毎年一年生対象に行っている「プチディベート」を紹介したい。
ア 授業のねらい
1 論理的思考力の育成
2 複眼的思考力の育成
3 コミュニケーション能力の育成
中学校時代は不登校で、ほとんど学校に来ていない生徒もいるが、
ペア学習の時間を多くとることから(写真参照)、
生徒たちは「授業に参加せざるを得ない」状況に追い込まれる。
ここで、注意したいのは、あくまでも
「ディベート的手法を用いて学習を展開する」
ということ。
「ディベートのやり方を学ぶ」授業ではない。
そのため、「プチディベート」と名付けている。
メリット・デメリット方式にもこだわらずに行っている。
イ 論題
若狭高校定時制は頭髪・アクセサリーに 関する規定を廃止すべきである 是か非か |
意見を出しやすくするために、身近な論題を扱う。
ウ 学習過程
1時間目 論題を提示し、
賛成・反対の根拠をそれぞれ5つ 「〜から」という形で、 ノートに書きなさい |
と指示。
10分後、一人一個ずつ発表。黒板に書き出していく。
生徒には自分の思いつかなかったものについては
板書を写すよう指示。
出そろったならば、黒板から気に入った二つずつを選ばせる。
選んだ根拠を、もう少し詳しく説明する形で、
短文による「立論もどき」を作成させる
2時間目 ペアスピーチ
前時の「立論もどき」を、二人ペアにして発表しあう。
ペアの片方が話し、もう片方がノートにメモをとる。時間は一人45秒。
ポイントは
聞き手はメモをしっかりとる 話し手はメモがとれているか確認しながらスピーチする |
こと。
あらかじめ
次時には本格的な立論を作成することを予告し、
なるべく人の良い意見を頂くよう促す。
お互いの立論が読み終わると、
しばしお互いの意見について雑談。
その後、ペアをチェンジ。
それを時間が来るまで行い続ける。
3・4時間目 立論作成
肯定側1時間。否定側1時間。
完成したものから、教師に見せる。適宜書き直しを指示。
できたものは、他の生徒の相談にのる。
5時間目 反駁ゲーム。
前時までに作った立論について、
ペアで反駁ゲーム。
立論ができなかった生徒には、
前年の生徒が書いたものを、コピーして渡す。
立論→反駁→再反駁まで行う。
メモをきちんととりながら反駁するように指示。
時間が来るまで、ペアチェンジ
6〜9時間目 立論をホームページに作成
反駁を受けた点を参考にして
肯定・否定とも立論を再作成しホームページ化する。
(ホームページビルダーを使用)
途中の過程でお互いが、人の意見を見られるようにしておく。
考査では、立論を書いてもらうことを予告。
考査までに仕上げるよう指示をして終了
10時間目 考査
考査は3問。
1 肯定・否定双方の立論を書く(根拠は双方とも一点のみ)
2 反駁テスト(私の立論を聞いて反駁文を書く )
3 クラスメートのページを見ての感想(このためパソコン教室で試験を行う)
おわりに
学力・年齢が多様な集団である定時制だが、
それを気にせずできるのが、このプチディベートの良いところ。
生徒の作成したホームページは下記にあるので、是非参照して頂きたい。
http://homepage2.nifty.com/hisawata/kokugo.htm
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