16h フォーラムA IT流通

2002.11.16 Sat.15:40~18:50 107教室

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フォーラムA 
 「農業をビジネスするIT流通」

コーディネータ:山田 優氏(日本農業新聞)

パ ネ リ ス ト:若森資朗氏(首都圏コープ事業連合)、浅川芳裕氏((株)農業技術通信社)、大松重尚氏(日本農業IT化協会)

1.話題提供

山田:ITが農業を変える、実は厳しいものだった。なぜ変わらなかったのか。うまくいった側と失敗側とで意見交換をしてほしい。

若森:1都6県8生協連合売上は1230億、青果は22〜23%、産直を目指している。無店舗事業が個配で急成長。インターネット事業は3年前から別会社つくって委託。
オンラインパルは、インターネット組合員で登録者(現在6万2千人)のみを対象とする。
インターネットで注文している人は週2万7千人、売上げは週2億円、年間では約100億円。登録者の41%の人が実際に注文している。物流コストがかかるから既存のルートに乗せる。しかし、紙媒体だと3〜4ヶ月前の情報となるが、インターネットだと2週間前に注文をとれ、価格のブレが無くなる。青果では事業となる、とくに農家の生産状況に合わせて情報を提供できる。インターネットパル・く苦戦している。2年前よりファーマーズネットを稼動。農家の栽培の詳細を載せ、生産者が直接情報を消費者に流す。これによって情報開示し、消費者に安心させることができる。60程度の生産者が参加している。
ココットネットのなかに、生産者からなるファーマーズネットコミュニティを設け、生産者の意見交換。インターネオリジナルはインターネット限定商品のみを販売する。オリジナルは商品数が少なット会員は現在6万人であるが、10万になれば組織を独立出来ると考えている。

浅川:農通インフォマートは出版事業とコンサルティングによって農産物流通に取り組んでいる。
フーズインフォマートは1998年に日本発のサイトを立ち上げ、今では日本一の食材流通のBtoBサイトとなっている。ひとつのホームページのなかに、売り手と買い手が受発注するシステムを提供している。買い手は商品を検索し、売り手は代行システムで決済する。フーズインフォマートで、売り手2450社で買い手は2650社で、売り手市場となっている。農業技術通信社は、フーズインフォマートの売り手の一社として参入し、農業経営者のネットワークをつくる機能を果たしている。買い手が何をいつ調達したいかを登録する。売り手が買い手を検索できる仕組みは従来にない。とくに農業技術通信社が買い手と売り手のコミュニケーションを助けている。スーパーにコーナーをつくって生産者毎の場所を固定する。そして生産者単位の売れ行きを調査し、消費者の購買動向をさぐる。データを生産者にみせ、販売ノウハウを教える。経営者のための雑誌として月刊農業経営者を出版。農通インフォマートは単なる卸としての機能だけでなく、生産者が有効な農業経営を行うための推進者として業務している。

 質問

本田(NHK?)農通インフォマートとの契約農家数、開業以来の成績は?

浅川:出店者220、商品360、参加者情報は配布雑誌の最後に掲載。顧客は毎週1社の割合で増加し現在160社。固定客は90〜100社。

大松:トレス問題が起こる前の1999年からシステムを作り始めた。食品とは本来安全が前提。ITが全てではない。ITは既存の枠組みを変化させる。トレーサビリティは本当に実現し得るかわからない。商業的安全性(商業的トレス:どういう形でトレスを提示したらよいか)、その必要十分条件は、1)生産者によるデータ登録(携帯電話にのせられる技術ならよい)、2)商品情報と流通がリアルタイムである、3)生産・流通・消費の各段階での情報が必要(消費者に回答)、4)データの保存と改ざんを防ぐシステムであること、5)情報管理に第三者性が確保されていること、の5つである。

・トレスの推移 海外からのITの導入:ウォルマートがかかわり超小型チップ(単価6円)を貼り付けなど、青果物への第三者監査制度、GAP(米国)など青果事業強化、生協の消費者教育

・枠組みの変化

・生産の意識変化:「生産〜出荷販売」の考えから「生産〜販売」へシフト。

流通の意識変化:安全性、品質を検索してから予約注文、市場流通は市場外流通の影響をうける、販売側の利益確保

消費の意識変化:食品としての安全性、新たな危害情報への反応、メディア情報と個人間情報の提供、特定銘柄にクレームをつくる消費者、生産者と消費者の多様な関係を築く

・トレーサビリティの方法

生産者と消費者との対話、商品履歴情報をどういう形で流す、

【意見】

藤本肇(福井県稲作農業者):減農薬、環境ホルモン等の問題、商品流通などを考えるうえで、トレスの重要性を生産者も消費者も考える時期にある。

山田:最後の討論で取り上げる。


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2.討論

岩 崎:農家にITを進める指導体制が十分でない。

山田:失敗ケースは?

佐々木(和歌山):ネットワーク販売。有田みかん 5〜10ケース/月・農家しか出ない。中間業者に利益がいくので1農家では困難。かといって楽天市場に出品しても5〜6万円/月で高い。生鮮物ではネット販売は無理。中間業者が益を得ている。

山田:モクモクでも中元3万個のうちネット販売は1%でしかない。成功例は?若森さん、首都圏に売るにはどうすればよいか? 1農家が生協へ出したい場合は?

若森:生協の基準(減農薬など)に合致する必要有り、消費者との交流意識も重要。大事にしている。現実には農家より組織を対象にしている場合が多い。山田:農通インフォマートの今後の展開は?

浅川:始まったばかり。1年目の目標。売り手を募集し、スーパー50社、レストラン40社、加工業10社、卸など声をかけた。次は、取引の仕方。スーパーの場合、生産者が直接店舗に配送して消費者の声を聞くことができる、体制。直接配送は手間が多く、売上げがある場合はいいが、生産者によっては従来の方法と検討が必要。

山田:ブロードバンドの増加はビジネスチャンスか?

若森:生協の扱っている方法で従来のOCRが一番低コスト。ITは今後主流になるだろう。ITをツールとして使う今の子供たちが大人になった時の為にインターネットに入れ込んでいるが、ビジネスモデルを今後作っていかねばならない。宅配は高いから、既に生協がもっている地域での配達網をどう使うか、など。

山田:特徴あるものが必要。ITを準備しただけでは儲からない。BtoBで成功しているワイズシステムの山本さん、いかがですか。

山本:2000年から花に関しては600社(売・買手) は横ばいで10数億円、野菜は農薬の問題があり落ちている。ITより全体を含めた売り方が問題、マーケティングが重要であり、スーパーでの商品の見せ方に注目している。山田:マーケティングとトレスについて、森本さん、いかが?

森本(愛媛直販):第三者認証(トレーサビリティ)問題あり。おばちゃんの顔と声が大事。科学より心情に訴える。テレビの放映効果でもITでも利益出た。

山田:大松さん、トレーサビリティの動きはいいのか悪いのか?正常か?

大松:商業的安全性。消費者と生産者ときっちり対話する必要がある。安全とはなにか。国産だからできる安全性の確保。将来はトレーサビリティの仕事がなくなることがよい。暗号化と商品IDがROMチップに埋められる。コードを管理するだけで1億円かかる。タグはROMチップとRAMチップがある。ID管理のコストは高い。この費用を安全性コストというか。コストが3円になればまわるので、国内でトレーサビリティを確立するのが最も良い。

農業センター:佐々木さんはBtoCがうまくいかないというが、情報を集積する必要があると思う。情報を集めないとだめ。

富士通:農業の受注生産は可能か。受注政策に問題があるのでは?こういう商品がいるんだけど、誰か作る人いない?

熊本農家:売りチャンネルをたくさん持っている。テレビ効果は大きい。ITもそのうちの一つ、楽しみながら

神奈川農家:大松さん、大きな手間と経費がかかるトレーサビリティをそこまでやる必要があるか。

佐々木:トレーサビリティについて国が予算づけ、知っているか

山本:農水はアイデアなし、ガイドラインも作らない。自分たちで独自にやれということでは? 統一規格の方が並べやすい、売れやすいのが現実。それを打ち破るものがあれば良い。

3.まとめ

大松:消費者が多様化している。近いうちにトレーサビリティが簡単にできるということがわかるようになる。

若森:インターネットでは個人の出す情報の質が大事。場所代がかからないのは利点。物流が大きな問題(低コストで配る)

浅川:受注生産を目指している、今年3名で始めている。信頼と情報交換、心の通じる関係を作っていきたい。

  山田:ITは枠組みを変えるための道具であり、ITでもFAXでも本質はかわらない。マーケティングの議論や物流の議論が重要である。今回、JAが話題に登らなかったのは残念。

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