bO1 焼物
焼物に関してよく使われる言葉の解説
◎日本六古窯
信楽・備前・唐津・瀬戸・丹波・常滑・越前の六つの古窯、中世より現代に至るまで生産を継続してきた窯。
戦後、小山富士夫が提唱したことばだが、現在ではほかにも幾つかの中世窯が確認されており、あまり使われていないようです。
◎遠州七窯
江戸時代の大名茶人・小堀遠州の指導によって好みの茶器を作った七つの窯。
志戸呂 しどろ (静岡)
膳所 ぜぜ (滋賀)
上野 あがの (福岡)
高取 たかとり (福岡)
朝日 あさひ (京都)
赤膚 あかはだ (奈良)
古曽部 こそべ (大阪) … 伊賀とするも説あり
◎焼物の分類
土器 … 低火度で無釉 (かわらけ)
せっ器 … 無釉で焼きしめ (備前・信楽)
陶器 … 施釉 (京焼・瀬戸)
磁器 … 施釉して高火度 (九谷・有田)
○楽焼について
手づくねにより成形をして、比較的低火度(750〜1100℃)で焼かれた陶器です。
☆楽焼の素土
窯の中からの「はさみ出し」に耐えられるような、急熱急冷に強いものが必要。
そのためには素土を多孔質にする必要があり焼粉(シャモツト)といって粘土を、一度1200℃くらいに焼いたものを、可塑性の大きい粘土に30ー40%くらい混合した坏土を用いて、素地を作ります。
楽焼素地は、一般に少し黄色ですが、白い素地のほうが、釉を塗った場合、色が冴えます。
☆赤楽
素地の上に鉄分の多い粘土(黄土)を塗って、釉薬をかけて焼くと、鉄分が赤く発色します。
☆黒楽
楽釉薬に酸化鉄を混ぜて素地にかけます。 この場合、酸化鉄が1050℃位で熱分解して
Fe2O3 → FeO+Fe2O3(Fe3O4)
磁鉄鉱の形になったとき、急冷すると真っ黒になります。
黒楽は初代樂長次郎、二代常慶の作品では光沢が少ないが、これは黒楽用の顔料(鉄をふくむ京都の加茂川石)が、高熱でないと融けないためです。
三代道入になって、ふいごを用いて風を送ることを採り入れたため、焼成温度を高めることが出来るようになり、さらにこれを水中に投じて急冷するため、光沢のある、いわゆる「のんこう黒」がうまれました。
○長次郎七種
樂家初代長次郎の作った代表的な茶碗を七種選んだもので、利休好みでもあるので利休七種とも呼ばれます。
「大黒」 黒 形が大振りであることから小黒に対しての大黒といわれた
「東陽坊」 黒 利休門人の僧・東陽坊が所持していた
「臨済」 赤 山の形を連想させる景色より京都臨済宗の五山にちなんだ
「木守」 赤 柿の実の最上のものを一つだけ木守りとして残すいわれから
「鉢開」 黒 托鉢をするという意味から
「早舟」 赤 大坂で茶会を催したとき京から早舟で取り寄せたことから
「検校」 赤 検校とは盲目の僧侶の最上位のこと
また外七種は、「雁取」 「閑居」 「太郎坊」 「横雲」 「小黒」 「一文字」 「聖」 です。
参考文献
入門やきものの科学 共立出版
やきもの事典 平凡社
陶磁大系 長次郎 平凡社
「喫茶去」表紙に戻る